飲食店財務の基礎知識|利益・経営判断に活かすポイント

経営

2026/02/17

飲食店財務の基礎知識|利益・経営判断に活かすポイント

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飲食店経営では「売上はあるのに手元にお金が残らない」という悩みが非常に多く見られます。その原因の多くは、売上管理ではなく財務管理の弱さにあります。本記事では、飲食店における財務の基本から資金繰り改善、利益を残すための具体的な管理方法までを実務目線で解説します。

飲食店における「財務」とは何か

女性飲食店経営者まずは飲食店における財務の定義を整理します。会計・経理との違いを理解することで、単なる記帳作業ではなく「経営判断に活かす数字」の視点が見えてきます。

財務と経理・会計の違い

経理や会計は「過去の数字を記録する業務」であるのに対し、財務は「将来の経営を安定させるための資金管理・戦略」を指します。

例えば売上や経費を入力するのが経理、そこから資金繰りや投資判断を行うのが財務です。飲食店では日々忙しく、記帳や申告で終わってしまうケースが多いですが、本来はその数字をもとに仕入れ量や人員配置、出店判断などを決めていく必要があります。

つまり財務とは、単なる記録ではなく経営判断のための数字活用と言えます。

飲食店における財務の役割

飲食店の財務の役割は、資金ショートを防ぎ、利益を安定させることです。

売上が好調でも、家賃や人件費、仕入れの支払いタイミングによって資金が不足することがあります。財務管理を行うことで、いつ資金が不足するかを事前に把握でき、融資や支出調整などの対策が可能になります。

また、新規出店や設備投資の判断材料にもなるため、飲食店にとって財務は攻めと守りの両面で重要な役割を持ちます。

財務が弱いと起きる問題

財務管理が弱い店舗では、売上があるにもかかわらず資金不足に陥るケースが多く見られます。仕入れや給与の支払いに追われ、利益が出ているかどうか分からない状態になると、値付けや仕入れの判断も感覚頼りになってしまいます。

また、金融機関からの融資を受ける際も、資金計画が曖昧だと審査が通りにくくなります。飲食店の財務とは「将来の資金を守るための管理」であり、弱いままだと黒字でも倒産するリスクが高まります。

飲食店の財務とは、売上や利益だけでなく資金の流れを管理し、経営を安定させるための数字戦略であると言えます。

飲食店経営で財務が重要な理由

売上だけを見ていても経営は安定しません。飲食店は現金商売のイメージがありますが、実際は支払いタイミングのズレや固定費負担が大きく、財務視点が欠かせません。ここでは財務が重要な理由を整理します。

黒字でも倒産する理由

飲食店では黒字でも資金が尽きて閉店するケースがあります。これは利益と現金が一致しないためです。

例えば、売上が月末に入金されても仕入れや家賃が先に支払われると、一時的に資金不足になります。また設備投資や改装費用を一度に支払うと、利益が出ていても現金が不足します。財務管理ができていれば、こうした資金の流れを事前に把握し、融資や支出調整で対応できます。

資金繰りが経営の生命線

飲食店経営は資金繰りが最重要と言われます。材料費や人件費は毎月必ず発生するため、売上が少し落ちるだけでも資金が不足する可能性があります。

特に開業直後や閑散期は売上が安定しないため、資金繰り管理が甘いとすぐに経営が不安定になります。資金繰り表を作成し、数か月先まで現金残高を予測することが、安定経営の基本となります。

借入・投資判断に直結する

出店や設備投資には大きな資金が必要です。その際、財務管理ができていないと「感覚」で投資判断をしてしまい、返済負担が経営を圧迫する原因になります。

逆に財務状況を把握していれば、借入可能額や返済余力を数字で判断でき、無理のない投資が可能になります。金融機関も資金計画を重視するため、財務管理がしっかりしている店舗は融資を受けやすくなります。

多店舗展開の基盤になる

2店舗目以降の出店は、1店舗目の財務状況が安定していることが前提となります。利益が出ていても資金繰りが不安定な状態では、多店舗展開は非常に危険です。複数店舗になると人件費や仕入れの管理も複雑になり、財務の重要性はさらに高まります。

安定した拡大を目指すなら、1店舗目から財務基盤を整えておく必要があります。

飲食店財務で必ず見るべき重要指標

財務管理では売上だけを見るのではなく、利益やコスト構造を示す指標を把握することが重要です。ここでは飲食店が必ず確認すべき基本指標を整理します。

売上・利益

売上は最も分かりやすい指標ですが、重要なのは利益です。利益には営業利益、経常利益など複数の種類があり、どの段階で利益が出ているかを確認する必要があります。

売上が高くても原価や人件費が膨らめば利益は残りません。月次で利益を確認し、前年同月や目標値と比較することで、経営状態を把握しやすくなります。

原価率

原価率は売上に対する食材費の割合を示します。一般的な目安は30%前後ですが、業態によって適正値は異なります。

原価率が高すぎると利益が圧迫され、低すぎると品質低下のリスクがあります。メニューごとの原価率を把握し、看板商品で利益が出ているかを確認することが重要です。

人件費率

人件費率は売上に対する人件費の割合です。飲食店では25〜35%程度が目安とされます。売上が減少した際に人件費が高止まりすると、利益が一気に減少します。

シフト調整や営業時間の見直しなど、売上に応じた人件費管理が必要です。

FLコスト

FLコストとはFood(原価)とLabor(人件費)の合計です。飲食店ではこの合計を60%以内に抑えることが理想とされます。

FLコストが高いと、家賃やその他経費を支払った後の利益が残りません。FLコストは経営状態を把握する上で最も重要な指標の一つです。

損益分岐点

損益分岐点とは、利益がゼロになる売上額のことです。この金額を下回ると赤字になります。損益分岐点を把握していれば、最低限必要な売上を明確にできます。特に開業直後は、このラインを超えられるかが重要な判断基準となります。

キャッシュフロー

キャッシュフローは現金の流れを示します。利益が出ていても、現金が不足すれば経営は続けられません。入金と支払いのタイミングを把握し、常に手元資金を確保しておくことが重要です。

飲食店財務が悪化する原因

財務が悪化する店舗には共通点があります。原因を把握することで、事前に対策を講じることが可能になります。ここでは典型的な悪化要因を整理します。

原価率の上昇

食材価格の高騰や仕入れ管理の甘さにより、原価率が想定以上に上昇するケースは多く見られます。特に値上げができていない状態で原価だけが上がると、利益は急速に圧迫されます。

メニューごとの原価率を把握しないまま運営している店舗ほど、気付いた時には利益が出ない構造になっていることがあります。定期的な原価率チェックと価格調整が不可欠です。

人件費管理不足

人件費は売上と連動して調整すべき費用です。しかし、シフト管理が曖昧だったり、売上減少時も人員配置を変えないままだと、人件費率はすぐに上昇します。

特に繁忙期を基準に人員を確保し続けると、閑散期に利益が出なくなります。売上に応じた人員配置と、時間帯別の人件費管理が重要になります。

固定費の増加

家賃やリース料、サブスクツールなどの固定費は一度増えると削減が難しい費用です。売上が伸びている時に固定費を増やし過ぎると、売上が落ちた際に一気に資金繰りが苦しくなります。

固定費は「売上が落ちても払えるか」を基準に判断する必要があります。

投資判断ミス

設備投資や2店舗目出店を、十分な財務分析なしに行うと資金繰りが悪化します。売上が好調な時ほど投資意欲は高まりますが、返済負担や固定費増加を考慮しないと、後に経営を圧迫する要因になります。

投資は感覚ではなく、財務数値をもとに判断することが重要です。

数字を見ていない

最も多い原因は「数字を見ていない」ことです。月次試算表を確認していない、利益を把握していない状態では、問題が発生しても気付くのが遅れます。

最低でも毎月1回は売上・利益・資金残高を確認する習慣をつけることが必要です。

飲食店の財務改善方法

飲食店の店員財務は改善可能です。現状を把握し、優先順位を決めて改善していくことで、安定した経営に近づけます。ここでは実務的な改善策を紹介します。

原価率改善

原価率改善の基本は、仕入れ見直しとメニュー設計です。仕入れ先の変更やロス削減、ポーション調整で原価は下げられます。また、利益率の高いメニューを目立たせることで、全体の原価率をコントロールできます。

単純な値上げではなく、売れ筋商品の構成を見直すことが重要です。

人件費最適化

人件費は削減だけでなく「最適化」が重要です。売上に応じてシフトを調整し、繁忙時間帯に集中して人員配置することで効率化できます。また、業務オペレーションを見直すことで、少人数でも回せる体制を作ることが可能です。

価格戦略

価格設定は財務改善に直結します。値上げが難しい場合でも、セットメニュー化や高単価商品の提案で客単価を上げることができます。価格改定は一度に大きく変えるのではなく、小幅調整を継続的に行うのが効果的です。

固定費見直し

通信費、サブスク、リース契約などの固定費は定期的に見直す必要があります。使っていないサービスを解約するだけでも利益改善につながります。固定費は売上減少時のリスクになるため、最小限に抑える意識が重要です。

資金繰り改善

資金繰り改善には、支払いサイトの調整や融資活用が有効です。金融機関との関係を築き、早めに相談することで資金ショートを防げます。資金繰りは「問題が起きてから」では遅いため、余裕がある時から準備しておく必要があります。

飲食店における資金繰りの必要性についてはこちら→「飲食店 資金繰り」記事へ

飲食店オーナーが陥りやすい財務の誤解

誤った認識が財務悪化の原因になることもあります。飲食店経営では現場優先になりがちなため、数字の捉え方にズレが生じやすいのが実情です。代表的な誤解を理解し、正しい財務視点を持つことが安定経営への第一歩となります。

売上があれば安心

売上が伸びていると経営が順調だと感じがちですが、売上と利益は必ずしも比例しません。原価率や人件費率が上昇していれば、売上が増えていても利益は減少している可能性があります。

また、売上が増えるほど仕入れや人件費も増えるため、資金繰りが悪化するケースもあります。売上だけで判断するのではなく、「いくら残ったか」を確認する習慣が重要です。

利益=現金

会計上の利益が出ていても、手元に現金があるとは限りません。減価償却費や売掛金、借入返済などの影響で、利益と現金残高は大きく異なります。

特に設備投資を行った後は、利益が出ていても資金が不足することがあります。現金残高と資金繰りを別軸で管理することが、飲食店経営では不可欠です。

税理士に任せればOK

税理士に記帳や申告を任せていても、経営改善まで自動で進むわけではありません。税理士からの月次資料を確認し、数字をもとに経営判断を行うのは経営者の役割です。「任せきり」にしてしまうと、問題の発見が遅れます。

税理士をパートナーとして活用し、定期的に数字を確認する姿勢が重要です。

資金繰りは後回し

資金繰りは問題が起きてから考えるものではありません。資金が不足してから対策を取ろうとしても、融資や支払い調整が間に合わないケースがあります。

理想は3〜6か月先の資金残高を予測し、早めに手を打つことです。日々の売上だけでなく、将来の支払い予定まで見据えた管理が必要になります。

税理士と連携した財務管理の重要性

財務改善には専門家の視点が不可欠です。飲食店特有の原価構造や資金繰りの特徴を理解した税理士と連携することで、経営判断の精度は大きく向上します。数字を共有しながら改善を進めることで、問題発生前に対策を打てる体制が整います。

月次数字の確認

月次試算表をもとに売上・利益・原価率・人件費率を確認することで、問題の早期発見が可能になります。数字は1か月単位で変化するため、年1回の決算確認では遅すぎます。

税理士と定期的に数値を確認し、改善ポイントを共有することで、利益体質の店舗へと変えていくことができます。

資金繰り相談

資金繰りは飲食店経営の生命線です。税理士と連携することで、資金不足が予測される段階で対策を講じることができます。支払いサイトの調整や借入計画の見直しなど、専門家の視点からの提案は大きな助けになります。

余裕がある時から相談しておくことで、資金ショートのリスクを大幅に減らせます。

融資対応

金融機関からの融資を受ける際は、事業計画書や資金繰り表の精度が重要になります。税理士が関与することで、説得力のある資料作成が可能になり、融資成功率が高まります。

また、借入後の返済計画も含めた長期的な財務設計ができる点も大きなメリットです。

経営判断サポート

出店や設備投資などの重要な意思決定は、財務数値をもとに判断する必要があります。税理士と連携することで、投資回収期間や利益への影響を事前にシミュレーションできます。

感覚ではなく数値を根拠に判断することで、経営リスクを抑えることができます。

飲食店における税理士の必要性についてはこちら→「飲食店 税理士」記事へ

FOODOAGの飲食店向け財務サポート

飲食店の従業員FOODOAGでは、税務顧問にとどまらず飲食店経営に特化した財務支援を行っています。開業前から多店舗展開まで、数多くの飲食店を支援してきた実績をもとに、現場に即したアドバイスを提供しています。

資金計画サポート

開業時の資金計画から運転資金設計まで、飲食店特有の資金構造を踏まえたサポートを行っています。実際の相談では「開業後すぐに資金不足になった」というケースが多いため、余裕を持った資金計画を作成します。

これまで多数の飲食店開業支援を行ってきた実績をもとに、現実的な資金設計を提案できる点が強みです。

利益改善支援

原価率や人件費率を店舗ごとに分析し、具体的な改善策を提示します。単なる数値報告ではなく、徹底的に踏み込んだ提案を行います。これまでの支援実績では、利益率改善や資金繰り安定につながったケースも多く、現場目線でのアドバイスを重視しています。

数値見える化

毎月の数値を分かりやすく可視化し、経営判断に活かせる形で共有します。「数字が苦手」というオーナーでも理解しやすいレポート形式で提供するため、経営状況を把握しやすくなります。数値を見える化することで、改善スピードが大きく向上します。

伴走型支援

FOODOAGの特徴は、単なる税務代行ではなく経営伴走型の支援である点です。開業前相談から多店舗展開まで、長期的な視点でサポートを行っています。実際に多くの飲食店オーナーから継続的な相談を受けており、現場に寄り添った支援体制を構築しています。

飲食店特化の豊富な実績をもとに、経営全体を見据えた提案が可能です。

飲食店に強い税理士へのご相談

まとめ

飲食店経営において財務管理は利益と資金を守る重要な要素です。売上だけでなく、原価率・人件費率・資金繰りなど複数の指標を把握することで、経営の安定度は大きく変わります。

財務が弱い状態では、売上があっても資金不足に陥る可能性があります。一方で、数字を定期的に確認し、改善を続けていけば安定した経営は実現可能です。まずは現状の数値を把握し、できることから改善を始めていくことが重要です。

  • ●売上だけでなく利益と資金を確認
  • ●資金繰り表を作成
  • ●原価率と人件費率を管理
  • ●投資判断は数字で行う
  • ●専門家と連携して改善

安定した飲食店経営を実現するために、財務の視点を経営に取り入れていきましょう。

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