経営
2026/10/04
飲食店を経営していると、「他店は月にどれくらい売り上げているのか」「自店の売上は平均より高いのか」と気になる方も多いでしょう。
本記事では、飲食店の売上平均や月商・年商の目安、自店に必要な売上の計算方法、売上・利益を伸ばすポイントまで解説します。
個人経営の飲食サービス業では、年間売上平均は約1,127万円、単純に12か月で割ると月商約94万円が一つの参考値です。
ただし、飲食店の売上は業態・店舗規模・立地などによって大きく異なるため、この金額だけで自店の売上水準を判断することはできません。
飲食店の売上平均を確認する際に参考になるのが、総務省の「個人企業経済調査」です。
公的統計を基にした集計では、個人経営の「飲食サービス業」における1企業あたりの年間売上高は、約1,127万円というデータがあります。
単純に12か月で割ると、
年間売上約1,127万円÷12か月=月商約94万円
となります。
ただし、この数字はあくまで調査対象となった個人企業の平均です。法人が経営する飲食店は含まれておらず、店舗規模や業態によっても売上は大きく異なります。
そのため、「飲食店なら月商94万円が平均」と一律に考えるのではなく、自店と近い業態や店舗規模なども考慮して比較する必要があります。
飲食店では、1か月の売上を「月商」として確認することが一般的です。
例えば年間売上が1,200万円なら、
1,200万円÷12か月=月商100万円
年間売上が3,600万円なら、
3,600万円÷12か月=月商300万円
となります。
ただし、実際の飲食店では毎月同じ売上になるとは限りません。
忘年会需要が増える12月や大型連休、観光シーズンなどに売上が伸びる店舗がある一方、季節によって閑散期が発生する店舗もあります。
そのため、月商を確認する際は単月だけを見るのではなく、前年同月比や直近3~6か月、年間平均など複数の期間で比較するとよいでしょう。
1日の売上は、月商を営業日数で割ることで計算できます。
例えば、月商300万円で月25日営業する店舗の場合、
300万円÷25日=1日平均12万円
となります。
月商400万円で月25日営業する場合は、
400万円÷25日=1日平均16万円
です。
ただし、1日平均売上についても、曜日や時間帯によって大きく変わる場合があります。
平日のランチ需要が強い店舗、金曜日や土曜日のディナーに売上が集中する居酒屋など、業態によって売上が発生するタイミングは異なります。
そのため、1日平均だけではなく、曜日別・ランチとディナーなど時間帯別の売上まで確認すると、店舗の売上構造をより正確に把握できます。
飲食店の売上平均は、自店の状況を確認する一つの参考にはなりますが、「平均以上だから経営が順調」「平均以下だから経営状態が悪い」と判断することはできません。
例えば、10坪の個人経営店と50坪の大型レストランでは、必要となる売上や固定費が大きく異なります。
飲食店の売上を比較する際は、
なども考慮する必要があります。
また、売上が高くても、食材費や人件費、家賃などのコストが大きければ十分な利益が残らない場合があります。
そのため、飲食店経営では「平均より売れているか」だけを見るのではなく、坪月商や原価率、人件費率、営業利益率などもあわせて確認することが重要です。
最終的には、他店の平均売上よりも、「自店はいくら売れば必要な利益を確保できるのか」を把握することが重要になります。
飲食店の売上は、客数や客単価、席数、回転率などに分解して考えることで、売上が伸びない原因や改善すべきポイントを把握しやすくなります。
飲食店の売上を考えるうえで、最も基本となる計算式が「客数×客単価」です。
売上=客数×客単価
例えば、1日の来店客数が100人、客単価が1,500円の場合、1日の売上は以下のようになります。
100人×1,500円=150,000円
月25日営業する場合は、
150,000円×25日=月商3,750,000円
となります。
このように売上を客数と客単価に分けて考えると、「客数が不足しているのか」「客単価が低いのか」を判断しやすくなります。
売上アップを考える際も、単純に「売上を100万円増やす」と考えるのではなく、「客数を何人増やすのか」「客単価をいくら上げるのか」まで具体化することが重要です。
店内飲食を中心とする飲食店では、席数と回転率を使って売上を試算する方法もあります。
基本的な考え方は以下のとおりです。
売上=席数×満席率×回転数×客単価×営業日数
例えば、
という店舗の場合、
30席×80%×2回×3,000円×25日=月商3,600,000円
となります。
特に新規開業時の売上計画では、「月商300万円を目指す」といった目標だけを設定するのではなく、席数や回転率などから実現可能性を確認することが重要です。
ランチとディナーの両方を営業する飲食店では、それぞれを分けて売上を計算するのがおすすめです。
一般的に、ランチとディナーでは客単価や回転率、来店目的などが異なります。
例えば、
ランチ売上=ランチ客数×ランチ客単価
ディナー売上=ディナー客数×ディナー客単価
として計算し、最後に合計します。
ランチは客数が多くても客単価が低く、ディナーは客数が少なくても客単価が高いなど、時間帯によって売上構造が異なる場合があります。
それぞれを分けて管理することで、「ランチの客数を増やす」「ディナーの客単価を上げる」といった具体的な改善策を考えやすくなります。
テイクアウトやデリバリーを実施している場合は、店内飲食とは別に売上を管理するとよいでしょう。
例えば、
など、販売チャネルごとに売上を分けます。
チャネルごとに売上だけでなく、原価や手数料、包装資材などのコストも異なるためです。
特にデリバリーではプラットフォーム利用に伴う手数料などが発生する場合があります。単純な売上だけではなく、「どの販売方法がどれだけ利益に貢献しているのか」まで確認することが重要です。
飲食店経営では、売上が大きいほど経営状態が良いとは限りません。原価や人件費などを差し引いたあとに、どれだけ利益が残っているかまで確認することが重要です。
「月商500万円の店舗」と「月商300万円の店舗」を比較すると、月商500万円の店舗の方が経営状態が良いように見えるかもしれません。
しかし、500万円を売り上げるために原価や人件費、家賃、広告費などで490万円を使っていれば、残る利益は10万円です。
一方、月商300万円でも経費が250万円であれば、50万円の利益が残ります。
そのため、飲食店では売上の大きさだけでなく、**「売上に対してどれだけ利益を残せているか」**を見ることが重要です。
原価率は、売上に対して食材などの原価がどの程度を占めているかを表します。
原価率=売上原価÷売上高×100
原価率が上昇すると、同じ売上でも店舗に残る利益は少なくなります。
食材価格の上昇や過剰な盛り付け、食材ロスなどが原因になっている可能性もあるため、店舗全体だけでなくメニューごとの原価も確認しましょう。
飲食店では食材費と並んで人件費も大きなコストとなります。
人件費率=人件費÷売上高×100
売上に対してスタッフ数が多すぎたり、売上の少ない時間帯に過剰な人員配置をしていたりすると、人件費率が高くなります。
時間帯別の売上を確認しながら、必要なサービス品質を維持できる範囲でシフトを最適化することが重要です。
FLコストとは、「Food(食材費)」と「Labor(人件費)」を合計した費用です。
飲食店では特に大きな割合を占めるコストであるため、売上だけではなくFL比率も継続的に確認する必要があります。
FL比率=(食材費+人件費)÷売上高×100
売上が増加していても、それ以上に原価や人件費が増えている場合、利益改善にはつながりません。
売上・原価・人件費をセットで確認することで、店舗の収益構造を把握しやすくなります。
営業利益率は、本業でどれだけ効率的に利益を生み出せているかを見る指標です。
営業利益率=営業利益÷売上高×100
例えば、売上500万円で営業利益25万円なら営業利益率は5%です。
売上600万円まで増加しても営業利益が24万円に減れば、営業利益率は4%となります。
売上自体は100万円増えていても、経営効率は悪化していることになります。
このように、「いくら売ったか」だけでなく「売った結果、いくら利益が残ったか」を毎月確認することが重要です。
利益とキャッシュの違いにも注意する
利益が出ているからといって、銀行口座に同じ金額の現金が残るわけではありません。
借入金の元本返済や設備投資、税金の支払いなどによって、損益計算書上では黒字でも現預金が減ることがあります。
そのため飲食店経営では、
売上→利益→キャッシュ
の順番で数字を確認することが重要です。
特に借入がある店舗や新規出店・設備投資を予定している店舗では、利益だけではなく資金繰り表や現預金残高まで確認しましょう。
飲食店の売上を伸ばすには、「客数を増やす」「客単価を上げる」「来店頻度を高める」という3つの方向から施策を考えることが基本です。
自店の課題に合わせて改善を進めましょう。
売上を伸ばす方法の一つが、新規顧客の獲得です。まずは店舗の存在を知ってもらい、来店するきっかけを増やす必要があります。
具体的には、Googleビジネスプロフィールを活用したMEO対策、InstagramやTikTokなどのSNS、SEO、Web広告、グルメサイトなどが考えられます。
すべての集客施策に取り組むのではなく、自店のターゲットが飲食店を探す際に利用している媒体を優先することが重要です。
新規顧客を獲得するだけでなく、一度来店したお客様に再来店してもらうことも売上の安定化につながります。
料理や接客の品質を高めることはもちろん、LINE公式アカウントやSNS、ポイントカードなどを活用し、再来店するきっかけを作る方法もあります。
来店客数だけを見るのではなく、新規顧客とリピーターの割合や来店頻度も確認しながら改善しましょう。
客数を大きく増やすことが難しい場合は、客単価を上げることでも売上を伸ばせます。
例えば、セットメニューやコース料理、ドリンク、デザート、トッピングなど、追加注文につながる商品を用意する方法があります。
ただし、単純な値上げや高価格商品の追加だけでは顧客満足度を下げる可能性があります。お客様にとって価値のある提案によって、自然に客単価を高めることがポイントです。
売上だけでなく利益を増やすためには、メニュー構成の見直しも重要です。
各メニューについて、
などを確認し、「よく売れて利益も残る商品」を把握しましょう。
人気があっても原価率が高すぎる商品や、ほとんど注文されない商品が多い場合は、価格や内容、メニュー数を見直す必要があります。
単純に売れる商品を増やすのではなく、店舗全体の利益につながるメニュー構成を作ることが重要です。
席数が限られている飲食店では、回転率や席稼働率を改善することでも売上を伸ばせます。
例えば、注文から料理提供までの時間を短縮する、予約管理を改善する、会計を効率化するなど、店舗オペレーションを見直す方法があります。
一方で、カフェや高単価レストランなど、滞在時間そのものが提供価値になっている業態では、無理に回転率を高めることが適切とは限りません。
自店の業態やコンセプトに合わせて、限られた席数・営業時間の中で売上を最大化する方法を検討することが大切です。
飲食店の売上平均は、自店の経営状況を確認する一つの参考になります。ただし、業態や店舗規模、立地によって必要な売上は異なるため、平均値だけで経営状態を判断することはできません。
POINT
重要なのは、「平均より売れているか」ではなく「自店はいくら売れば利益が残るのか」を把握することです。
売上・原価・人件費・利益・現預金を継続的に確認し、自店に適した売上目標を設定することが、安定した飲食店経営につながります。
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