経営
2023/04/28
飲食店の経営を検討するうえで、売上平均はどのくらいなのか把握したい方も多いのでは無いでしょうか。
実際、飲食店の売上平均はいくらなのか、安定した経営を続けるためにどのくらいの売上が必要なのか知ることで、適切な売上予測や数値コントロールにもつながります。
そこで今回は、飲食店の売上平均において気になる以下の疑問について解説していきます。
「飲食店の売上平均は1日・1ヶ月・年間どのくらい?」
「飲食店の売上平均ってどのように求めるの?」
「飲食店の売上平均はどうやって上げる?」
飲食店の売上平均の目安や考え方、売上管理に必要な知識を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
飲食店全体の売上平均は845.5万円といわれています。ただし、飲食店にはさまざまなジャンルや業態があるため、全体の平均はあまり参考にならないでしょう。
ここでは、業種別の売上平均や個人飲食店の売上平均をご紹介します。
飲食店の売上平均は、経営する店舗の規模や業種によって大きく異なります。社団法人日本フードサービス協会「外食企業経営および関連データ」の統計による売上平均は以下のとおりです。
業種 | 平均売上(月) |
---|---|
ファストフード | 834.5万円 |
ファミリーレストラン | 903.6万円 |
居酒屋 | 1083.4万円 |
ディナーレストラン | 1942.9万円 |
喫茶店 | 603.9万円 |
あくまで飲食店全体の売上平均ですが、1つの目安として参考にしてください。
1日の売上平均は「客単価×席数×回転数」によって算出できるため、開業後は日々の売上を把握して月の平均売上を数値化することを習慣づけましょう。
飲食店を個人経営する場合、年間の売上平均は1,000〜2,000万円程度です。そのため、1ヶ月だと83〜167万円、1日だと2.7〜5.5万円になります。
規模・立地・業種により売上は変動しますが、経営するには食材費や家賃、水道光熱費、人件費、広告宣伝費などの費用がかかるため、個人飲食店では従業員1人当たり1,000万円程度の売上がないと運営の継続は難しい傾向にあります。
飲食店を経営するにあたり、売上平均は事前に設定しておきたい項目です。飲食店の売上平均は家賃・ FL比率・売上予測によって求められます。
それぞれの考え方と計算方法をみていきましょう。
賃貸物件で飲食店を経営する方に限られますが、家賃によって売上平均の目安を算出することができます。飲食店における家賃比率は10%以内に抑えることが望ましいため、そこから逆算して飲食店に必要な平均売上の目安を求める方法です。
たとえば、30万円の飲食店の経営を検討している場合「30万円÷10%=300万円」の計算式で求められ、1ヶ月あたりの適正な売上は300万円になるというわけです。
また、1日に必要な売上平均を把握したいときは300万円を1ヶ月あたりの営業日数で割ると算出できます。ひと月25日営業するなら、12万円(月間300万円÷25日)が1日に必要な売上です。
飲食店の家賃比率についての記事はコチラ
FL比率の計算式を活用して売上平均を求めることも可能です。FL比率とは、飲食店の売上に対する食材費(Food Cost)と人件費(Labor Cost)の割合を示した数値を指します。
「FL(食材費+人件費)÷FL比率」という計算式から飲食店に必要な売上平均の目安が求められるため、開業後に売上平均を求めたいときや自身の所有物件で経営する方は活用すると良いでしょう。
具体的な数値を用いて求めてみましょう。
食材費と人件費を合わせたFLコストが150万円かかる飲食店で、適正FL比率が60%の場合は「450万円÷60%」の計算式になり、1ヶ月あたり750万円の売上が必要であると分かります。
規模や業種によって適正FL比率は変動するものの、60%以内を目安にしている飲食店が多いため、1つの指標として覚えておくと良いでしょう。
飲食店の売上予測は「客単価×座席数×回転数」で求められます。客単価とは1人あたりの支払い金額、回転数は1日に飲食店の座席が埋まる回数を指します。
たとえば、1日の売上が30万円、席数30の飲食店で1日300人来店したなら、客単価は1,000円(30万円÷300人)回転数は10(300人÷30席)ということです。
この計算式を用いて売上平均を算出すると、客単価1,500円で席数40、回転数5の飲食店は「1,000円(客単価)×30(席数)×10(回転数)=30万円(売上予測)」となります。
飲食店の開業前でも、メニューやターゲット層や同業種を参考にして数値を設定し、売上平均の目安を求めてみましょう。
飲食店の売上予測についての記事はコチラ
飲食店の売上平均を求めて数値を意識することはとても重要ですが、利益管理も欠かせないポイントです。
飲食店の売上管理を適切におこなうためには「損益分岐点」と「営業利益率」についての理解も深めておきましょう。
損益分岐点とは、飲食店の売上と費用が等しく、利益も損失も出ていない状態を指します。つまり、損益分岐点以上は黒字状態、損益分岐点以下は赤字状態であるということです。
損益分岐点を理解していると、どのくらいの利益・費用であれば経営を安定させられるのか、という判断ができるようになります。
損益分岐点は「固定費÷{1-(変動費÷売上高)}」という計算式で求められ、家賃や正規雇用の人件費などは固定費、食材費や光熱費、アルバイトの人件費などは変動費に該当します。
営業利益率とは売上に対する営業利益の割合のことで、飲食店が現在どのくらい安定しているか判断するための指標のひとつとして用いられます。
そもそも営業利益とは売上からさまざまな経費を差し引いた金額で、計算式で表すと「売上高-売上原価-経費」です。
営業利益率は「営業利益÷売上高×100(%)」によって算出でき、数値が適正か否かによって飲食店の収益の安定性を判断します。
「小企業の経営指標調査 2020」の業種別経営指標によると、食堂は3.6%、中華料理店は3.2%、西洋料理店は2.9%、そば・うどん店は6.0%、喫茶店は2.7%が営業利益率の目安となっています。
飲食店の開業後は営業利益率を常に把握し、同じ業種の指標を目安にしながらコントロールしていきましょう。
飲食店の売上平均をアップさせるためには、どのような行動を起こしていけば良いのでしょうか。最後に、利益を上げるための方法をご紹介します。
飲食店の売上自体をアップさせることは、売上平均の底上げに直結します。
売上アップの工夫はさまざまですが、オペレーションを効率化して回転数を上げる、セットメニューを開発して客単価を上げる、ポイント制度を導入して来店頻度を増やす、SNSを活用して新規顧客を獲得するなどが挙げられます。
まずは先ほど紹介した「席数」「回転数」に改善できるところはないか考え、行動するところから始めましょう。
飲食店の費用には固定費と変動費がありますが、これら費用のなかで削減すべきところはないかみていきましょう。同じ売上だった場合でも、無駄な費用を削減することで手元に残る利益は変動します。
固定費は家賃や給料など、すぐに削減するのは困難な費用が多いですが、変動費は比較的削減しやすい費用です。
高額な広告費をかけていないか、アルバイトの人数は適正か、食材ロスは多く無いかなど、費用の適正化をおこないましょう。
この記事では、飲食店の売上平均についてご紹介しました。
飲食店の売上平均は規模や業種、立地などによって異なりますが、家賃や回転数などを利用して目安の算出は可能です。飲食店を経営するにあたって必要な知識をつけ、安定収入を目指しましょう!