経営
2024/01/22
飲食店をこれから開業しようとしている方、もしくはすでに開業している方の中には、以下のような疑問や問題を抱えている方が多いのではないでしょうか。
「なぜ従業員が辞めるのか知りたい」
「飲食店の離職率が高い理由を知りたい」
「飲食店に従業員を定着させるにはどうしたらよいか」
この記事では、飲食業界のなぜ従業員は辞めるのか、その背後に潜む問題を明らかにし、離職率の現状を探ります。そして、従業員が辞めない理想の飲食店にするための実践的な対策を提案します。
成功の鍵を手に入れ、従業員の定着を図りましょう!
人手不足や人材定着の難しさに悩む飲食店は多いですが、自店の離職率は把握していますか? 離職率を知る方法は、次の通りです。
(退職者数)÷(在籍者総数)×100
自店の離職率を算出できたところで、飲食業界の現状について、詳しく見ていきましょう。
厚生労働省による令和3年の雇用動向調査によれば、宿泊業・飲食サービス業の離職率は25.6%で、主要な産業の中で最も高いことが判明しています。これは全体の平均値13.9%よりも遥かに高い数字です。
さらに、宿泊業と飲食サービス業は新卒者の3年以内の離職率が51.5%と、入社後に半数以上が離職するという厳しい状況が現実としてあります。
多くの従業員が離職するということは、新規採用のコストを増加させるだけでなく、教育、研修に費やす時間も増加するため、飲食店にとってデメリットでしかありません。
飲食店の離職率が高いことはわかりましたが、他の業界はどのくらいの離職率なのでしょうか。主要な産業の離職率を把握しておきましょう。
これをみるとわかるように、業界自体の離職率が高く、人材定着は飲食業界全体の大きな課題と言えるでしょう。
ここからはなぜ従業員が辞めるのか、その具体的な理由を見てみましょう。
飲食店の従業員が辞める理由として多いのは、体力的な問題です。
飲食店のスタッフは、キッチンやホールでの仕事において、常に立ちっぱなし。休憩時間以外は座ることがほとんどありません。特に昼や夕食時などのピーク時は、急な忙しさに柔軟に対応しなければなりません。
これに加え、飲食業は長時間労働が一般的な傾向にあります。勤務時間の長さや急なシフト変更、店舗の営業時間外に行われる業務が、疲労の蓄積や退職の決断に影響していると考えられます。
普通の休日は、飲食店にとって売上がとれる絶好のチャンスです。
しかしその反面、飲食店の従業員は土日の休みを確保しにくく、さらにゴールデンウィークやお盆などの長期休暇も飲食店では繁忙期。周りが休んでいる時ほどスタッフは忙しく、休みを取りにくい状況は避けられません。
「少しは土日も休めると思っていたのに…」と従業員が退職を選ぶケースも少なくないのです。
給与の低さが離職の理由になることも飲食店にはよくあることです。
「令和3年分民間給与実態統計調査」の統計によれば、宿泊業・飲食サービス業の平均年収は全業種中最低の260万円、平均賞与も15万円と、全業種平均の67万円に比べて低いことがわかっています。
長時間労働で休日が取りづらく、体力的・精神的な負担が大きい中で、低い給与が続くとなると、退職を考える従業員が多いこともうなづけます。
飲食店の従業員が辞める原因の一つは、十分な研修制度が整備されていないことです。特に個人店では他の業務に追われ、新人へのOJT研修が軽視されがちと言えます。
しかし、最低限の研修は新人の不安を解消しスムーズな適応につながるため、重要視すべきものなのです。
また、入社後1、2カ月が重要で、仕事を理解しきったように見えても、新人はまだ不安定な状態にあります。まだまだ積極的なサポートが必要であり、心理的な負担になりやすい時期ということを忘れてはいけません。
では、従業員の定着率を向上させるためには、どのような対策が効果的なのでしょうか。従業員が長期的に働きたいと思えるような店づくりのために、きちんと押さえておきましょう。
評価制度の見直しは、従業員の退職を止める鍵となります。仕事への取り組みに見合った評価と報酬は当然の期待です。
飲食店経営者もその成果に応じて従業員に対して誠実な対応が求められます。公正な評価はモチベーション向上につながり、仕事の品質向上や顧客満足度の向上に大きくつながるでしょう。
まずは従業員の評価制度に対する満足度を調査し、必要に応じて改革を行ってください。同時に、従業員からの改善提案やアイデア募集を行い、独自の視点を評価・報酬に反映させることで、従業員自身が重要な存在と感じられます。
このように、長期間働いてもらえる環境を整えることが重要です。
長時間の残業や有給休暇が取得できない状況では、速やかな改善が不可欠です。なぜなら、労働時間を適正に保つことは、従業員の満足度向上に直結するからです。
特に若年層はプライベートな時間を尊重する傾向にあります。従業員への負担を軽減するため、新たな人材を採用することも選択肢のひとつです。
まずは従業員の希望に柔軟に対応し、家族構成や背景を考慮したシフトの調整を心がけるところから始めてみましょう。
飲食店の特長は、何よりも賄い制度でしょう。ただし、逆に言えば他の手当や制度が目立たないのが実情です。
例えば、退職金や住宅補助など福祉制度を導入することで、従業員の応募が飛躍的に増えるでしょう。ただし、これらの福祉制度を自社で導入するにはそれ相応のコストがかかります。
制度を導入するメリットデメリットをきちんと考え、慎重に決断しましょう。
飲食店での新人スタッフ教育にはマニュアル作成、チェックシートの活用、OJTなどがあります。
マニュアルは仕事の内容や手順を確実に伝え、動画やアプリを使って分かりやすさを追求すると良いでしょう。チェックシートは業務を明確にし、進捗状況を可視化し、複数人に対する管理も効果的です。
OJTは実践を通じてスキルや知識を習得させ、不安や疑問を解消します。これら手法を組み合わせて柔軟に適用することが、従業員の教育を効果的に進める鍵になります。
従業員の定着を促進するためには、採用プロセスの見直しでミスマッチを防ぐことも大切です。
採用段階でのミスマッチは、飲食店側にも社員にもメリットがありません。したがって、正確な情報伝達と候補者との調整が必要といえるでしょう。
具体的な対策には社員のインタビューの紹介、入社後の配属や業務内容の具体的な説明、会社のメリットだけでなくデメリットも伝えることが挙げられます。
従業員が辞めないお店作りのためのさまざまな対策をあげましたが、飲食店を経営するにあたって避けて通れないのが数値管理などの経理作業や事務作業です。
せっかく念願の飲食店を出店できても、慣れない作業に追われ、お店の営業に参加できない…そんな経営者も少なくありません。
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従業員が連続して辞めることは、新しい人材を雇い入れ、教育する必要があり、これが会社に大きな損失をもたらします。
この離職が連鎖すると、評判が悪くなり、新しい才能を獲得することが難しくなる悪循環を生み出してしまうのです。
従業員の安定を確保するために、会社の仕組みを見直し、離職率の原因を特定して改善していきましょう!