経営
2021/11/19
これから飲食店の経営を始めようとしている方がどのようにして売上予測を立てるか調べた時に「回転率」という聞きなれない言葉が出てくるのではないでしょうか?しかし、この回転率が売上につながるといっても過言ではありません。
今回の記事ではこれから飲食店の経営を考えている方、開業したけど思うように売上が伸びず悩んでいる方に役立つ情報を書いていきます!
「回転率って何?」
「満席率(客席稼働率)って何?」
「回転率を上げるにはどうしたら良いの?」
飲食店の開業を検討している方皆様が思う疑問をこの記事で説明していきます。回転率について正しく理解し、ポイントを押さえて売上を上げていきましょう!
売上につながる回転率について、回転率の意味とどれくらいを目安にすれば良いか説明していきます。
飲食店の回転率とは、簡単に言うと「お客様が1日に何回入れ替わったか」のことです。計算式で表すと以下のようになります。
回転率=1日の来店客数÷全席数
例えば、全部で40席あるお店で1日の来客数が80人だった場合、80÷40=2回転となります。回転率と言うとパーセンテージで表すのではないかと思う方もいるかもしれませんが、飲食業界では「1日に○回転」と表現します。
またここで注意したいのは分母が全席数ということです。空席(4人席に2人のみの利用)があれば満席率(客席稼働率)は下がってしまいます。4人席に4人で利用してもらうと満席率も100%となり売上につながります。次の項目ではこの満席率(客席稼働率)について説明していきたいと思います。
満席率とは、満席時に全客席のうち、何席埋まっているかのことで客席稼働率とも言われています。簡単に言うと「どれだけ多くのお客様が席に座るか」です。40席あるお店で全ての席(40席)が丸々埋まることはほぼありません。満席率(客席稼働率)を出す計算式は以下のようになります。
満席率(%)=客数÷席数×100
4人席に2人を案内したら50%の満席率となります。全席40席のお店が満席になった時に客席利用数が30人の場合は、満席率は75%となります。
ここまでで回転率と満席率(客席稼働率)について説明しましたが、満席率によってどれくらい売上が変わってくるのかを試しに考えてみましょう。
今回はランチタイムで以下の条件で計算します。ランチタイムとあえて記載したのは、ランチタイム、ディナータイムがあるお店では客単価(1人のお客様が平均して使う金額)や回転率をランチとディナーで分けて計算して、それぞれを足して1日の売上を出すためです。
平均客単価1,000円、席数40席、回転率2回として、満席率(客席稼働率)を50%と75%で考えてみます。
満席率(客席稼働率)50%
1,000円(客単価)×40席(全席数)×50%(満席率)×2回(回転率)=40,000円
満席率(客席稼働率)75%
1,000円(客単価)×40席(全席数)×75%(満席率)×2回(回転率)=60,000円
満席率50%と75%と少し極端な例となってしまいましたが、満席率によって売上に20,000円の差が出てくるため、できる限り空席は減らすように心がけた方が良いと言えます。
一般的に飲食店の満席率の平均は60~70%と言われています。もし満席率が低い場合はテーブルに座れる人数を見直しましょう。2人客が多い場合、4人テーブルを少なくして2人用テーブルを増やすなど空席がなくなるようにする工夫が必要です。また2人テーブルはくっつけて4人テーブルに出来たりもするのでテーブルの配置を考える際にそこも考慮するようにして下さい。
またカウンターがあるお店の場合、1人や2人のお客様を積極的にカウンターに案内するなどもしましょう。スタッフにも1人や2人のお客様の時は4人テーブルに案内するのではなく、カウンターや2人テーブルに案内するように指導しておくことも大切です。
では、飲食店を開業した場合、どれくらいの回転率を目指せば良いのか?と思われる方が多いと思います。ですが、目標回転率は業態に変わってくるので一概にこれだけと言うことができません。
例えば、ファーストフードやラーメン店、牛丼屋などは特に客単価が低いため、多くのお客様に利用してもらうことが必要になるため回転率が高い必要があります。高級料理店ではコース料理などで滞在時間なども長くなり回転率は低くなりますが、客単価が高いため売上につながります。
このように店舗業態によって回転率を重視するか、客単価を重視するかが変わってきますので、客層やメニューを分析してお店の回転率が正しく設定できているか確認してみましょう。
また回転率を考える際に平日と休日、ランチタイムとディナータイムをわけて考える場合が多いです。分けて考えることによりしっかりとした1日の売上を出すことができ、売上予測が立てやすくなります。
ここまでで飲食店の回転率とは何かについて説明してきました。それでは、今からどのようにしていけば回転率を上げることができるかのポイントを書いていきたいと思います。
トッピングや事前に仕込めるものや用意できるものを準備しておくことで効率アップすることができます。前日の食材の残りを次のランチ用に前菜として使用することで食材のロスを防ぐと共に仕込むこともできます。
ラーメン屋ではトッピングや具材の作り込みをしておくことでスムーズに料理提供することが可能です。
効率の良い料理提供でお客様が待つ時間を短くするようにしましょう。厨房から料理ができても料理提供するスタッフの提供が遅ければお客様を待たせてしまいます。せっかく熱かった料理も冷めてしまってはお客様の満足度指数も下がりクレームの原因や次につながるはずの機会損失にもなりかねません。
混雑時にスタッフの人員が足りなく料理提供が遅れる場合は人員の増加をしたり、厨房とホールスタッフの連携をうまくするようにオペーレーションを見直しましょう。
また注文時にスタッフが注文を聞くスタイルもありますが、券売機や最近ではタッチパネルで注文するオーダーエントリーシステムもあるので是非導入も検討してみて下さい。
また満席でウェイティングのお客様がいる場合は、ただ待っていてもらうのではなく待ち時間にメニューを見てもらうなども工夫しましょう。もう少しで案内ができそうな場合は、注文を聞いておいて案内時に提供できるようにしておくと時間の短縮につながります。
中間下げは、片付けをスムーズにするため食べ終わったお皿を下げることです。お客様が帰った後に全てを片付けるのではなく、適宜片付けをすることがポイントです。
ですが、ここで注意して欲しいのは、お客様が食事中にお皿を下げてしまったり、食べ終わってすぐに片付けてしまうと追い出そうしているのではないかとお客様に思われないようにすることです。お客様のタイミングを見計らって中間下げをするようにしましょう。
また中間下げの際は、お客様がいる状態で空いたグラスやお皿を下げることになるため、お客様が汚れないように気をつけましょう。忙しい時は中間下げを徹底したいところですが、慌てすぎてお客様にご迷惑をおかけしては元も子もありません。
特に落ちやすいスプーン、フォークなどのカトラリーを小さなお皿の上に乗せたままだと落ちやすいため、安定して置ける大きめのお皿の上に置いたりと工夫をしましょう。また一度に下げようとするのではなく、他のスタッフと連携していきましょう。
今までの人生で、店員さんが打ち間違えた状態でお会計をしてしまい返金処理してもらったりお会計のやり直しなどを経験された方も多いのではないでしょうか?できる限りこのようなトラブルを避けるためにも、手打ちなどをなくしオーダーエントリーシステムと連携しているPOSレジなどのシステム導入をするとヒューマンエラーは防ぐことができます。
また釣り銭の補充も忘れないように時間を決めて確認するようにしましょう。終日開店かランチとディナーのみかの営業時間にもよりますが、混雑する時間帯を避けたランチタイム前やランチタイムのお会計ラッシュが終わった後に釣り銭などの確認をするようにすると良いでしょう。
回転率を重視するお店の場合、居心地が良すぎると長く滞在されてしまうため回転率が下がってしまいます。
ファーストフードや牛丼屋の場合は会社員の限られた昼休憩にすぐ食べれるように利用するお客様が多いかもしれませんが、若いカップルや女性客をターゲットにしている喫茶店やカフェの場合、ふかふかのソファやWi-Fiがあるとお客様はついつい長く過ごしてしまいます。もちろんふかふかのソファにWi-Fiは集客するのにぴったりのサービスなので決して悪いわけではないので、あえて腰が痛くなるような椅子にする必要もありません。
居心地の良い空間をコンセプトにされているお店で回転率をあげたい時は、混雑する時間帯のみ時間制限を設けるなどの工夫をしてみて下さい。
今回の記事では回転率の意味と上げるためのポイントについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?売上を上げるにはいかに空席をなくしてお店の回転率をあげるかがポイントになってきます。
回転率が思うように上がらず悩んでいる人は是非今回の記事で説明した、提供時間や会計時間の短縮、机の配置などを見直しなどをしてみて下さい。