経営
2023/09/19
飲食店を立ち上げたい方の中には、お店のコンセプトをどう作れば良いのか、そして設計の手順を知りたいと考える方が多いのではないでしょうか。さらに、有名店や人気店のコンセプトにも興味を持つ方も多いことでしょう。
そこで本記事では、飲食店の開業におけるコンセプト作成について解説します。
「飲食店のコンセプト設計とは?たとえばどんな例がある?」
「飲食店のコンセプト設計の決め方を知りたい」
「飲食店のコンセプトシートってなに?」
上記の疑問を持つ方も、本記事を読めば解決できます。ぜひ参考にしてください。
飲食店のコンセプトとは、お店の特徴やイメージを明確に定めたものです。店の個性や提供する料理のスタイル、ターゲット顧客などを具体的に表現し、お店の方向性を示します。
コンセプトはそのお店が提供する価値や方向性を示し、お店から顧客に対してのメッセージにもなります。コンセプトを設計せずとも開業できますが、決めるべき事項の判断軸にもなるため、飲食店を開業したい人はコンセプトを作ることを検討してみましょう。
一意性を持ち、顧客に魅力を伝えることが成功のカギです。
そんなコンセプト設計の重要性と、他の企業が掲げるコンセプトを知り、イメージを膨らませましょう。
飲食店に明確なコンセプトがあることで、お店の方向性が定まり、経営の基盤が強化されます。
コンセプトに沿って物事を決めることで、新規開店のお店でも家具やメニューなどの判断がスムーズに進みます。
また、競合店との差別化ができ、ラーメン屋なら「早い提供スピード」や「高いコストパフォーマンス」をコンセプトにすることで、顧客が足を運ぶ要因になるでしょう。
さらに、融資の際にもコンセプトは役立ちます。事業の方向性が伝われば、金融機関からの信頼が高まり、融資が通りやすくなります。逆にコンセプトのない事業は信用が得られず、融資の審査に通りにくくなるかもしれません。
このように、飲食店においてコンセプト設計は非常に重要なものだと言えるでしょう。
コンセプト作りの参考になるよう、大手企業のコンセプトを紹介します。
「ホテルのロビーを目指す喫茶室ルノアール」「都会のオアシス喫茶室ルノアール」の2つのコンセプトを掲げ、快適な空間とコミュニケーションを重視。
一流の料理を驚くほど安く提供し、2時間制のシステムで高回転率を実現
「サードプレイス」として、リラックスできる場所を提供し、コーヒーを通じて新しい発想を生み出す。これらの企業はコンセプトを堅持し、顧客の心に響くアプローチを追求。
これらの大規模チェーンの飲食店は非常にシンプルで抽象的なコンセプトを持っています。それでも、忠実にそのコンセプトを実践することで、根強いファンを獲得し、繁盛店となり成功しています。
規模の小さいお店では同じように進めるのは難しいかもしれませんが、これらのコンセプトは参考になるでしょう。
以下では、飲食店のコンセプト決定方法について解説します。
4つの段階に分けて、コンセプトの決定プロセスを説明します。
飲食店のコンセプトを決める際には、まず最初に目的とビジョンを明確化することが重要です。目的はお店の存在意義や提供する価値を示し、ビジョンは将来の理想像や目指す姿を表現します。
例えば、「地域の人々に健康的な食事を提供すること」や「ファミリー向けのアットホームな空間を提供すること」など、明確な目的とビジョンを持つことで、コンセプト設計の方向性が定まります。
次に、ターゲットとなる顧客層を把握することが必要です。どのような顧客に向けてサービスを提供するかを把握することで、コンセプトの焦点が絞られます。
例えば、若い女性をターゲットにしたカフェならば、明るく可愛らしい雰囲気やInstagram映えするメニューが重要と考えられます。
顧客のニーズや好みを理解し、共感を生むコンセプトを作り上げましょう。
ターゲット顧客を把握したら、様々なアイデアを出し合いましょう。他の飲食店の成功事例を調査することも役立ちます。
次に、客観的な視点で出たアイデアを評価し、より適切で魅力的なものを絞り込んでいきます。
ターゲット顧客に対して共感を得られるようなアイデアを重点的に選定しましょう。
最終的なコンセプトを決定したら、それを具体的に落とし込んでいきます。店内のデザインやメニュー構成、サービスの提供方法など、全ての要素がコンセプトに合致するように計画しましょう。
コンセプトに一貫性を持たせることで、お店のアイデンティティが明確になり、顧客に強い印象を与えることができます。
飲食店のコンセプトに深く関連する項目は、店名・接客スタイル・料理の味と見た目です。これらの要素はお店独自の色を出すのに重要であるため、統一感を持たせるために意識して設計しましょう。
飲食店のコンセプトにおいて、店名は非常に重要な要素です。なぜなら、店名はお店のイメージやコンセプトを顧客に伝える手段となるからです。
例えば、洋食店の場合は店名に「ベーカリー」「ブリストロ」「キッチン」などの単語を使用することで、洋食店であることを視覚的に伝えることができます。また、店名に地名や特定のキーワードを組み込むことで、地域性や専門性を強調することも可能です。
重要なのは、店名がコンセプトと一致していること。店名だけでお店の雰囲気や料理のテーマ性が伝わるような工夫が大切です。
接客も飲食店のコンセプトを具現化する上で欠かせない要素のひとつです。接客のスタイルや態度はお店の雰囲気を決定づけるため、コンセプトに沿った接客が求められます。
例えば、高級レストランの場合は上品で丁寧な接客が求められるでしょうし、カジュアルな飲食店の場合はアットホームでフレンドリーな接客が適しています。つまり、コンセプトに応じた接客トレーニングやマニュアルの策定が必要です。
また、従業員の服装や髪型、メイクなどもコンセプトに合ったスタイルを提案することで一体感を演出することができます。
飲食店のコンセプトに合ったメニュー構成は重要です。コンセプトに応じて、どのような料理やドリンクを提供するかを検討しましょう。
例えば、イタリアンレストランの場合は本格的なピザやパスタをメインに、イタリアの食材や料理法を活かしたメニューが求められるでしょう。メニューにはコンセプトに基づいたユニークなアイテムを取り入れることで差別化を図ることもできます。
さらに、メニューのデザインや表現方法もコンセプトに合ったものにすることで、お店の雰囲気を一層引き立たせることができます。
しっかりとしたコンセプトに基づいたメニュー構成を行うことで、お客様に一貫性のある体験を提供することができます。
コンセプトシートはコンセプト設計に役立つ便利なツールです。具体例と活用方法を解説します。
コンセプトシートとは、飲食店のコンセプトを明確化するための重要なドキュメントです。ビジネスプランや経営戦略の一環として使用され、開業やリニューアル時に活用されます。
このシートには、お店の独自性やコンセプトに関連する項目が盛り込まれており、経営者やスタッフが一貫した方向性を持って店舗を運営するのに役立ちます。
コンセプトシートに含めるべき項目は以下の9つです。
重要なのは、メインコンセプトと他の8つのコンセプトが相反していないかを確認することです。理想的なコンセプトに合致しているかを再確認しましょう。
コンセプトシートは、作成するだけでなく、うまく活用することが非常に重要です。
記入した全ての項目を俯瞰して、統一感や一貫性があるかを確認しましょう。違和感があれば、基本コンセプトに合わせて他の項目を調整し、コンセプトをシンプルかつ明確にする必要があります。
また、コンセプトシートは経営者だけでなく、現場で働くスタッフとも共有することが重要です。スタッフ間でのイメージの食い違いから接客や商品提供時のずれが生じると、お客様が混乱してしまう恐れがあります。
全スタッフが一丸となって、オーナーと同じ想いで仕事に取り組む「チーム運営」の実現は、コンセプトシートの共有から始まります。
飲食店のコンセプトは、お店の特徴やイメージを明確にして方向性を示す重要な要素です。目的とビジョンを明確化し、ターゲット顧客を把握し、アイデアを絞り込んでコンセプトを具現化しましょう。
店名や接客スタイル、料理の味と見た目も重要で、コンセプトに合致した要素を統一させることが大切です。
コンセプトシートを活用し、一貫性を持たせたコンセプトを実現しましょう。
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