経営
2023/02/16
飲食店の開業を検討している方は「長年愛されるお店にしたい」「開業を成功させてお店を大きくしていきたい」など、それぞれ目標を持っていることでしょう。そんな目標を達成するために必要となる要素が「売上予測」です。
売上予測は飲食店の存続を左右する重要なものであり、開業前に知っておくべき知識のひとつと言えます。
「飲食店を開業する際に必要な売上予測って何?必要なの?」
「飲食店の売上予測ってどうやって計算するのか」
「正しい売上予測を立てるためのポイントは?」
そこで今回は、飲食店の開業を予定している方に向けて、上記の疑問を徹底解説していきます!事前に正しい知識を吸収し、正確な売上予測を立てていきましょう。
飲食店を開業するにあたって「売上」は日々考える必要がある指標です。お店が長く継続するためには、この売上を数値化して予測する「売上予測」が欠かせません。
まずは、飲食店の売上予測の基本知識について解説していきます。
そもそも「売上予測」とは、過去の売上や客数、稼働率などのさまざまなデータに基づいて売上を予測することです。飲食店を開業する際にはもちろん、開業後の経営戦略や営業戦略などを検討する際にも必要なデータとなります。
売上予測の期間は1週間・1ヶ月・1年とさまざまな単位で分析します。
売上予測と売上目標は混同されやすいですが、2つは違った意味を持ちます。売上予測は過去のデータを分析して導き出した数値ですが、売上目標は到達したい希望の目標数値です。
【売上目標】「今年は景気が良いため、去年より200万円売上を増やしたい」
【売上予測】「去年1月は500万円の売上があり、平均成長が20%を見込めるため今年は売上600万円が予測できる」
このように、希望を含んでいるものは売上目標、現実的に達成できるものは売上予測という違いがあります。
「そもそも売上予測って絶対に必要なものなの?」と疑問に感じている方もいるでしょう。しかし、売上予測を適当におこなうと在庫管理や資金繰りに問題が生じる可能性があります。
多くの飲食店では売上予測によって算出した数値をもとに事業計画を立て、その計画に沿って経営します。そのため、不正確な売上予測をもとに食材を発注してしまうと不良在庫や材料不足が起きてしまうのです。
また、人数が必要ない時間帯や曜日に多くのスタッフを出勤させ、必要以上の人件費がかかってしまうケースもあるでしょう。飲食店のあらゆる管理をおこなうためにも、より正確な売上予測が重要です。
ここからは、飲食店における売上予測の立て方をご紹介します。飲食店を開業するにあたって、自分のお店にはどの程度の売上が想定されるのかを実際に予測してみましょう。
基本的に、飲食店の売上予測を立てる際は 以下の計算式で算出できます。
計算式:売上予測=「客席数」×「客単価」×「回転率」×「客席稼働率」
計算式に用いる4つのデータをきちんと理解しておくことで、より正確な売上予測を立てることができます。
①客席数②客単価③回転数④客席稼働率の考え方は、以下の説明を参考にしてください。
客席数は、飲食店内でお客さんが利用できる席の合計を指します。まだ開業前で客席数が判明していない場合は「坪数×1坪あたり座席数」の計算式から求めると良いでしょう。
「1坪あたりの座席数」は業種や店舗の雰囲気などによって異なりますが、レストランや居酒屋は1.3~2席、ファストフード店は2.5席が目安です。
客単価とは、お客さん1人あたりの利用金額を指します。例えば、1人で来店したお客さんがパスタランチ1,200円とスイーツ400円を注文された場合、客単価は1,600円です。
すでに飲食店が開業している場合、客単価の算出は実際の過去データを引用して問題ありません。
開業前に客単価を算出する場合は、来店されるお客さんになりきってオーダーを考えて金額を算出する方法がおすすめです。
女性3人組、サラリーマン2人組、若いカップルなど、飲食店のターゲットに合わせた客層を数種類に分類してから複数のオーダーを予想することで、より正確な平均客単価を導き出せます。
回転数とは、飲食店の1営業あたりの客席の稼働具合のことで「1日の客数÷客席数」の計算式で算出できます。例えば、客席が30席の飲食店に1日60人のお客さんが来店した場合は「60÷30席=2回転」と求められます。
開業前の飲食店の回転はなかなか設定しづらいですが、オフィス街の近くにある飲食店の場合はランチや金曜日の夜の回転数が増えるなど、店舗の立地や業種などを参考に想定すると良いでしょう。
飲食店の回転率に関する記事はコチラ
客席稼働率とは、飲食店の客席がどの程度使用されているかを図る指標です。「現在の客数÷満席時の客席数」から求められ、一般的に70%以上 が好ましいと言われています。
例えば、4人掛けテーブルが5卓ある店内の全席にお客さんが座っていれば、客席稼働率は100%です。しかし実際は4人掛けテーブルを2人や3人で利用するケースもあり、その分売上を逃すことになってしまうのです。
飲食店内のすべてのテーブルが埋まっていたとしても満席とは限りません。飲食店の雰囲気やコンセプトに合わせながら、カウンター席や2人掛けテーブルを設置するなど、客席稼働率を上げる工夫も必要になります。
飲食店を開業する際は、詳細で正確な売上予測が重要な指標であることが分かりました。最後に、飲食店の売上予測を立てるときに押さえるべきポイントをご紹介します。
売上予測は正確なものである必要がありますが、多くの時間をかけるべきものではありません。時間をかけず素早く立てることがポイントです。なぜなら、飲食業界は変化が激しく、良くも悪くも結果が出るスピードが早いからです。
時間をかけて売上予測を立てていると、どんどんデータは古くなり、予測にズレが生じてしまいます。スピード感を持って正確な売上予測を立てることを意識しましょう。
意外と見落としがちなポイントが、スタッフの能力です。正確な売上予測を立てるにはスタッフのスキルを把握する必要があります。
飲食店において発生する接客・調理・レジ対応・清掃などのタスクはスタッフの能力によって回転率に変化が起きるため、売上予測を立てるうえで重要なデータと言えます。
多様なデータを収集することも、売上予測を立てる際のポイントです。1つ2つの少ないデータでは、正確な売上予測を立てることはできません。
商品別の売上や月別の売上などの過去のデータ分析はもちろん、時期やトレンドなども考慮して予測しましょう。
この記事では、飲食店を開業する際に重要な売上予測についてご紹介しました。売上予測は飲食店の経営戦略や様々な管理に必要なものです。
飲食店における売上予測は①客席数②客単価③回転数④客席稼働率の4つの要素から計算することができます。その他、スタッフの能力や多様なデータを用いて、より正確な売上予測を導きましょう。
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