開業
2024/10/07
1人 で飲食店を開業してみたいと思っているものの実際何から手をつけたら良いか分からない方も多いのではないでしょうか?また大規模な店舗にして人を雇った方が儲かると思う方もいるかもしれませんが、実際はそんなことありません。今回の記事では、1人で飲食店の開業を考えている人が悩む疑問点、
「飲食店を1人で開業することのメリット・デメリットってどんなこと?」
「注意点とその対策はどんなこと?」
「そもそも1人で飲食店の経営って出来るものなの?」
について説明していきます!是非悩みを解決して1人での飲食店開業を検討してみましょう!
1人で開業するとなると「本当に1人で経営できる?」「どのようにすれば良いの?」と悩まれる方も多いと思います。ここでは1人で飲食店を経営する際のメリットについてまずは説明していきます。
飲食店の経営で大きくかかる経費として人件費が挙げられます。1人で飲食店を経営すると、売上が伸び悩んだ際に人件費が圧迫して経営破綻になることが少ないため、簡単には潰れないというメリットがあります。1人で経営した場合と人を雇った際にどれくらいの違いがあるか簡単に計算してみましょう。
お客様が10人来て、「ランチ代1,200円」「原価率30%」「アルバイト1人」「11:00〜14:00(3時間)」「時給1,000円」だとすると、
■売上計算
10人×1,200円として売上12,000円
■経費計算
アルバイトの給料 3時間×1,000円=3,000円
原価 12,000円×30%=3,600円(人件費と原価のみの経費)
3,000円+3,600円=6,600円の経費がかかります。またここから光熱費や家賃も引くことになります。
家賃12万円、光熱費6万円、毎月25日営業
■1日あたり家賃計算
120,000円÷25日=4,800円
■1日あたりの光熱費計算
60,000円÷25日=2,400円(家賃と光熱費のみの経費)
4,800円+2,400円=7,000円
1日で7,000円ですが、ランチタイムのみの計算となるので7,000÷2=3,500円の経費がかかってきます。
売上-各経費
12,000円-6,600円-3,500円=1,900円の利益となります。店長の単純時給としては1,900円÷3=633円となります。
アルバイトを雇っていない場合、3,000円の経費はなくなります。12,000円-3,600円-3,500円=4,900円の儲けとなります。
大雑把な計算ですが、人を雇ってしまうと利益が中々残らないことが分かります。今回の場合だと、ランチタイムの売上が16,500円以上あれば人を雇うことでも5,000円ほどの利益を残せます。
客数 14人×1,200円=16,800円
16,800円-5,040円(原価)-3,000円(人件費)-3,500円(家賃等)=5,260円
今回は必要最低限の経費で計算しましたが、実際は販促費などもかかってきます。もし人を雇うか悩まれた時は一度このように計算してみることをオススメします。
人件費を削減することで、利益を最大限に保つことができ、資金の再投資や店舗の品質向上につながります。
小規模な運営では、オーナー(店長)自身が直接顧客対応を行うため、顧客対応も全て自分なので仲良くなりやすいことがあげられます。
お客様の中には店長とコミュニケーションをとりたい人も多く、仲良くなると常連さんになってもらえるというメリットもあります。
これにより、顧客の好みやニーズを直接把握しやすくなり、リピーターを増やすことが可能です。
顧客との親密な関係は、特に地域密着型のビジネスにおいて強力な競争力となります。
お店に雇われていたりすると最終決定権は自分にありませんが、全て決定権が自分にあります。
誰かと一緒に開業した場合も決める際には相談する必要があります。自分1人での開業は自分のやりたいようにできるだけでなく、やりたくないことはやらないという選択肢もあります。
1人で店を運営することで、経営上の意思決定を迅速に行える点も大きなメリットです。
新しいメニューの導入や営業時間の変更、マーケティング戦略の調整など、すべて自分の裁量で行うことができます。
この柔軟性が、市場の変化に応じた迅速な対応を可能にし、競争優位性を保つための鍵となります。
1人で飲食店を経営する場合、小さい店舗のため店全体を確認しやすくお客様に満足したサービスを提供することができます。
大きな店舗の場合、お客様が店員を呼びたいのに中々気づいてもらえないというクレームもあります。小さな店舗だからこそお客様一人一人にこまめなサービスが提供できて喜ばれるのも1つのメリットと言えるでしょう。
店舗の規模が小さいと、在庫管理や店舗の清掃、顧客管理など、すべての業務を自分で把握しやすくなります。
これにより、無駄の少ない運営が可能となり、経営の効率化が図れます。
また、小規模ながらも細かい顧客の要望に応じたサービスを提供することで、顧客満足度を高めることができます。
先ほどは1人で飲食店を開業するメリットをお伝えしましたが、今からはデメリットについて説明していきたいと思います。
小さい店舗で席数に限りがあるため、売上の上限が低いことが挙げられます。
小さい店舗だと大人数での利用が中々困難なことや、カウンターのみの場合やテーブル数が少ない場合、複数人のお客様にご利用頂くことも難しいかもしれません。
客入りが少ない時間帯などにタイムセールなどの工夫をすることで売上を上げることも可能です。
一人で飲食店を経営する場合、店舗の規模や手が届く顧客数には限りがあります。これが売上の上限となり、大きく事業を拡大することが困難です。
例えば、一般的な飲食店の平均年収は約400万円程度とされており、これ以上の収益を上げるには、新たな支店を開くか、他のビジネスモデルへの転換が必要になるでしょう。
スタッフがいないため、注文から提供までの一連の流れを1人で担当しなければならず、特に忙しい時には顧客を待たせてしまうことがあります。これは顧客満足度の低下に繋がり得ます。
1人で接客から料理までするため時間がかかります。
最近のお客様はファーストフードのような早い料理提供に慣れているため、時間がかかってしまうとクレームやリピーター獲得の機会損失になってしまいます。
1人で運営する飲食店では大量仕入れができず、大手チェーン店のように仕入れコストを大幅に下げることができません。
仕入れ業者からの額がどうしても割高になったりします。
現在は小売店だけでなく業務スーパーや市場、卸売ネット通販なども増えてきているため、コンセプトにあった業者や適正な仕入れ価格の業者から仕入れるようにしましょう。
また仕入れ価格が見直せるように定期的に仕入先業者も確認すると良いでしょう。
1人で飲食店を開業すると代わりに店を任せるスタッフがいないため、しんどい時でも無理に働かなくてはいけなかったり、病気や体調不良などで休業することも起こりうるデメリットとして挙げられます。
これにより売上の損失だけでなく、顧客からの信頼を失うリスクもあります。予期せぬ休業が続くと、リピート客が減少し新規顧客の獲得も難しくなるでしょう。
1人で誰も雇わずに小さなお店で開業するから開業費用はそんなにかからないと思われがちですが、そんなことはありません。
お店のコンセプトによって開業資金は変わってきます。1人で経営する場合でもスタッフを雇って経営する場合でも実は開業資金が大きく変わるとは言いにくいです。
初期投資として、物件のリース料、内装、厨房設備の購入などが必要です。
これらの費用は一人で支払わなければならないため、特に資金繰りが困難な場合はビジネスのスタートが遅れる原因にもなります。
公的支援を利用しても、初期費用の全額をカバーすることは難しく、多くの場合は個人の貯金やローンを利用する必要があります。
ここまでで1人で飲食店を開業するメリット、デメリットについて説明しました。今からは1人で開業を目指すためのするべき準備について説明していきたいと思います。
コンセプトをしっかりと作ることで、どのようなお店にするかが決まってきます。ターゲット層がファミリー向けか少人数かで、客単価やメニューなども決まってきます。逆にコンセプトが決まっていないと、方向性がブレてしまい口コミが広がらなかったり集客することが難しいと言えます。
もしコンセプトが決まっていなければ、「5W1H」でコンセプトを作ってみましょう。
Who(誰に) | ターゲット・顧客 | 会社員のランチタイム、会社帰りのサラリーマン |
---|---|---|
When(いつ) | 営業時間 | 11:00〜23:00 |
Where(どこで) | 場所 | 東京(オフィス立地) |
What(何を) | 商品 | 天然素材を生かした料理 |
Why(なぜ) | 創業目的 | オフィス立地で疲れた人に天然素材で優しい味を食べてもらいたいと思ったから |
How(どのように) | サービス | ランチタイムはお酢ジュース1杯無料 |
「5W1H」とはビジネス用語で使われる言葉で「誰に、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように」を指し示す言葉で伝えたいことが明確に伝わります。上記具体例は少し簡易的になりましたが、もしコンセプトに迷ってしまったら是非「5W1H」を意識して具体的に書いてみてください。
まず最初に物件を探しましょう。最初に資金調達をするんじゃないの?と思われる方もいるかもしれませんが、資金調達は物件が決まってから進めましょう。
何故資金調達が後かというと、融資の際に物件の見積書の提出が必要なためです。物件を仮押さえをする場合はいつから家賃が発生するかも確認することも忘れないようにしましょう。
また物件を探すコツとして、一番重要なのは自分1人でやりくりできる物件を見つけることです。また実際に物件を決める前に、内見の際に施工業者に同行してもらうと良いでしょう。
店舗の立地は、飲食店の成功に直結する非常に重要な要素です。人通りが多く、ターゲットとする客層がよく訪れる場所を選ぶことが大切です。
また、賃料のコストも開業後の経営を大きく左右しますので、予算内で最適な物件を選ぶ必要があります。
資金調達について、どれくらいの資金が必要なの?と思われる方も多いでしょう。
ですが、開業資金についてはどれくらいかかると言い切ることができません。物件が居抜き物件かスケルトン物件かでも変わってきます。
飲食店の規模にもよりますが、開業資金は平均1,500万円と言われています。
自己資金が足りない場合は金融機関の融資を借りることも検討しましょう。
開業資金の調達方法としては、自己資金だけでなく、銀行ローンや政府・自治体の助成金・補助金を利用する方法があります。
特に初めての事業者に対する支援制度は多く存在しており、条件に合致すれば低利の融資を受けられることがあります。
1人で飲食店を経営する際は開業する前の下準備が重要です。水のセルフサービス、食洗機、物の配置など1人でも切り盛りできるような動線を作ることがポイントと言えます。
飲食店の運営に必要な厨房設備やインテリア、レジシステムなどの初期投資は計画的に行いましょう。
予算内で効率的な設備を選ぶことがコスト削減につながります。
どのようなポイントがあるか紹介していきます。
コンセプト次第ですが、券売機を置くことでオーダーを聞く手間が省け、またお会計をする必要もないため、1人で飲食店を経営する場合にはとても効率が良いでしょう。
これにより、オーダー取りの手間を省き、調理に集中できます。
券売機を設置しない場合、レジ会計かテーブル会計かでもレジの設置場所が異なってきます。
また、釣り銭の管理や売上の現金管理も意外と時間のかかる要因の1つです。釣り銭の出る可能性がなくスムーズに決済ができる電子決済を取り入れるというのも1つの方法です。
お水のおかわりなども混んでいる時間帯には中々手が回らないことも多々あります。
ですが、お水のおかわりが中々こないとクレームにも繋がります。テーブルにピッチャーを置いたり、給水機を設置するなどしましょう。
セルフサービスのシステムを取り入れることで、注文や精算、飲食物の取り分けなどのプロセスを顧客自身に行ってもらうことが可能になり、人件費を削減できます。
ランチタイムなどの混む時間帯は洗い物をする時間はないといって良いでしょう。そのため、食器の数が少ないと配膳する際に足りないという事態が起こり得ます。食器の数は多めにしたりしておくと良いでしょう。
先ほどの理由により食器の数も多く、また洗っている時間も混雑時には難しいため、食洗機の導入はした方が良いでしょう。
下膳した食器のスペースを作っておくことは後回しにされがちですが、この下膳した食器は意外とスペースをとります。食洗機の導入も検討した上で下膳した食器のスペースをおく場所も作っておきましょう。
テーブルにするか、カウンターにするかはお店のコンセプトによりますが、もしテーブルを置く場合は4人テーブルを1つ置くのではなく、2人テーブルを2つにして2名客にも対応できるようにしましょう。
4人テーブルでも2名客は座ってもらえますが、空席が出てしまうため売上の現象に繋がってしまいます。
多くの人に座ってもらえるようなテーブルの配置にしましょう。
限られた空間を最大限に活用するために、動線を考慮したテーブル配置を計画することが重要です。これにより、顧客の快適な食事の提供と、作業効率の向上が期待できます。
1人で飲食店を開業することは、多くの挑戦とともに大きな報酬をもたらす可能性があります。
今回の記事では、1人で飲食店を経営する際のメリット、デメリットや開業するための準備についてご紹介しました。
1人で飲食店を経営すると人件費がかからないため、売上が低迷した時でもすぐに潰れるといったこともありません。開業前なら物件や動線をしっかりと決めて1人で経営しやすい店作りを目指しましょう。