経営
2023/04/17
キャッシュレス決済が普及しつつある現在ですが、日本の飲食店では、まだまだ現金支払いが多く見られます。売上以外にも店舗の消耗品を購入する際など、さまざまなシーンで用いられるため、お金の管理は厳格におこなうべきであるといえるでしょう。
しかし、飲食店経営者のなかにはお金の管理に関して、以下のような疑問や不安をお持ちの方も少なくありません。
「飲食店のお金の管理ってどうしてる?」
「飲食店のお金の管理方法には何がある?」
「飲食店でお金を安全に管理する方法を知りたい」
そこで今回は、飲食店におけるお金の管理について、現状や管理方法について徹底紹介いたします!飲食店のお金を安全に管理するポイントについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
現在多くの飲食店は実際にどのようなお金の管理をしているのでしょうか?まずは、飲食店におけるお金の管理の状態について見ていきましょう。
2019年から政府がキャッシュレスを推進し始め、現在ではクレジットカードや交通系電子マネーだけなく、PayPayやLINEPayなどのQR決済や店舗独自の決済方法など、さまざまな決済方法が見られるようになりました。
しかし、飲食業界は他の業界と比較して客単価が低い傾向にあるため、まだまだ現金で支払われるケースが多い現状にあります。
そしてこれからも完全に現金支払いが無くなるとは考えにくく、飲食店に現金はつきものとして、お金の管理は継続することが求められるでしょう。
お金はお客さんからいただいたサービスの対価です。飲食店経営者は自らそのお金の管理を厳格におこなう姿勢を見せ、スタッフにお金を扱うことへの緊張感を持たせることから始めなければいけません。
では、実際に飲食店のお金の管理はどのようにおこなっているのでしょうか。
毎日営業後に残る売上金は、店舗または経営者の自宅でおこなうケースが多数派で、そのほかには、店舗の金庫内に保管するケース、銀行ATMに入金するケース、レジで保管するケースも見られました。
商業施設のテナントとして入る飲食店は施設内に売上金を入金することもあり、お金の管理は規模や店舗数、施設テナントか路面店かによっても異なるようです。
先述したように、飲食店のお金の管理方法はさまざまですが、セキュリティ面で不安を感じている経営者も少なくありません。
飲食店におこなったアンケート結果では、お金の管理方法について「不安を感じる」と回答した割合は10%、「やや不安を感じる」と回答した割合は35.5%となっており、全体で45.5%がお金の管理を不安視していることがわかりました。
多くの飲食店経営者が管理方法は正しいのか、セキュリティ面は万全なのか、という不安を感じ、自信のないままお金の管理をしているということです。
アンケート結果からわかるように、飲食店のお金の管理にはさまざまなリスクがあります。とくに飲食店は、日々お客さんの会計時や仕入れ業者への支払い、ちょっとした備品の買い出しなど、現金の出し入れが頻繁におこなわれます。
お金の管理や日々のやり取りのなかで、主に以下のリスクが考えられます。
このように、現金管理によるトラブルは起きやすいため、どのくらいの金額をどのように管理すべきかを悩む飲食店経営者は多いでしょう。
こうしたトラブルを回避するための安全な管理方法についても後述していますので、ぜひ参考にしてください。
飲食店のお金をさまざまなリスクから守るには、管理を徹底していくしかありません。店舗にある現金を以下の3種類に分け管理をおこない、少しでもリスクを軽減しましょう。
レジ現金とは、飲食店の営業に必要なお釣り用の現金のことです。お釣り用の現金の金額は店舗によって異なりますが、毎日適当な金額をレジ現金として設定してはいけません。なぜなら「昨日は2万円、今日は5万円…」など、日によってレジ現金が異なると、正確にお金の管理ができないからです。
「お釣り用は◯◯円」と定め、その金額をレジ現金として入れるようにしましょう。「5千円札は◯枚、千円札は◯枚、500円玉は◯枚…」というように、小銭やお札の数も揃えるようにするのもおすすめです。
営業後には、レジ現金から売上の金額を差し引き、開店前に用意してあるつり銭と差額がないかを確認すると、過不足が出たときの早期解決につながります。
売上現金とは言い換えると「売上高」のことで、レジにあらかじめ用意しておいたお釣り以外のお金を指します。売上現金はキャッシュレス化が進んだ飲食店だと少なく、現金支払いが多いと高くなります。
売上現金の扱いは飲食店の規模によって異なり、小さなお店は売上金をそのままレジに保管しているケースも少なくありません。
しかし、紛失や横領、盗難のリスクを考えると売上現金をレジで保管しておく方法は好ましくなく、営業後に回収し別に保管しておくことをおすすめします。
レジ以外の保管場所としては、金庫や銀行入金が代表的です。とくに営業後に売上現金を銀行へ入金するとすぐに売上を通帳で見れるため、不正防止にもつながるでしょう。
小口現金とは、飲食店に必要なものが出てきた場合に使うお金のことです。足りない食材や業務に必要な備品などを購入するために設定しておく、比較的小さい金額のお金です。
売上にも関係なく、かつ小さい金額が設定されていることが多いことから、管理を雑にしている飲食店も少なくありません。小口現金を設ける際には必ず金額を設定し、レシートも一緒に管理するようにしましょう。
現金管理表を作成し、どの店舗で何を購入したのかを都度記入するルールにするなど、過不足がでないように工夫が必要です。
小さい金額だからといってレジの現金と一緒にしてしまうのは絶対に避けましょう。過不足が起きた場合にどこでミスがあったのか分からなくなるうえ、店舗全体のお金の管理に対する意識も下がってしまいます。
窃盗や盗難リスクがどうしても生じる飲食店のお金の管理ですが、管理方法の工夫によってそのリスクを少しでも軽減することができます。
では、具体的にどうしたらお金の管理を安全にできるのでしょうか。飲食店のお金の管理を安全におこなう工夫についてご紹介します。
日々の売上金は営業後、その日のうちに銀行に入金することで、泥棒リスクをほとんど0にできます。
夜間営業をおこなう飲食店では銀行窓口の営業時間内に入金することはできないため、銀行ATMや、銀行の夜間金庫を利用すると良いでしょう。最近はほとんどのコンビニに銀行ATMが設定されているため、店舗からそう遠くない場所で入金できます。
現金を持って移動するリスクは生じますが、売上をまとめて保管している自宅や店舗に泥棒が入られるより、被害は最小限に抑えられる方法です。
お金の管理に関する明確なマニュアルを作成しておくことも重要です。
レジ現金や小口現金の金額と扱い方、小口現金を補充する時期、レシートの管理場所、売上現金の入金する流れなど、細かく決めておけば過不足が出たときにもミスの発生箇所が見つけやすくなります。
もしも、飲食店でお金の管理をおこなうのであれば、固定式の金庫がおすすめです。固定式の金庫はレンタルすることも可能で、費用を抑えたい場合はレンタル金庫を活用しましょう。
レンタル金庫で用いられている金庫のカギは合鍵が作成できなかったり、いつ・誰が金庫開閉をおこなったのかという履歴も取れたりするなど、安全に管理しやすい方法です。
お金の管理方法を工夫することはもちろん、店内のセキュリティを整えることも大切です。とくに飲食店内で現金を保管するときは、防犯カメラを設置しておくと安全性を高められます。
防犯カメラがあることによってスタッフの緊張感も高まり、万が一の事態が起きた場合でも、映像を確認して犯人発見に繋がるでしょう。
毎日の売上が大きい飲食店や、スタッフによる窃盗リスクも最小限にしたい場合は、現金回収サービスを使うという選択肢があります。
現金回収サービスとは、警備員が現金輸送車で顧客店舗を巡回し、店舗の売上金を回収したり両替金を配達するサービスです。
保険付きの金庫や入金機を利用するため、飲食店内や保管中も高い安全性を確保できます。入金後の原因は保険金がかかるため、万が一のことが起きた場合でも売上が無くなることはありません。
飲食店のお金の管理にはさまざまなリスクが生じるため、少しでも安全な方法で管理することが大切です。レジ現金と売上現金、小口現金の3種類に分け、それぞれきちんと管理するようにしましょう。
日々の売上金は自宅や店舗で保管するのではなく、毎日銀行へ入金する、または現金化異種サービスを利用するなどの工夫によってリスクを最小限に抑えられます。
まずは、店舗全体でお金の管理をしっかりおこなうという姿勢からはじめましょう!
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