開業
2023/02/13
カフェやラーメン屋、レストランなどの飲食店の開業に憧れを持つ方は多いのではないでしょうか。その一方で、開業後のリスクを不安視する方も少なくないでしょう。
たしかに飲食店の開業にはさまざまなリスクがありますが、事前に把握し対策を講じることでリスクを最小限に抑えることができます。
「飲食店の開業はリスクが高いの?」
「飲食店の開業で起こるリスクには何がある?」
「飲食店開業のリスクを回避する方法は?」
この記事では、上記のような疑問や不安点を解消し、具体的な事前対策もご紹介します。これから飲食店の開業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
飲食店は新しく参入しやすい業界であるため、毎年多くの店舗が出店します。しかし、その一方で廃業率も高い業界です。飲食店の廃業率は開業後1年で30%、5年で70%とも言われており、長年安定して経営を続けるのは簡単ではありません。
「ついこの前オープンした飲食店がもう違うお店になっている」
このような場面を目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。そのため、リスクが高いと言われる飲食店を開業するときには、各リスクについてしっかり把握し対策することがとても重要です。
飲食店を開業すると起こり得るリスクは資金面や従業員など経営に関するものやトラブルによるものなどさまざまです。飲食店を開業する際には、これらのリスクを避けつつ、計画性を持って準備することが成功の秘訣と言えます。
ここでは、各リスクについて詳しくご紹介します。
1つ目は、資金不足のリスクです。飲食店を開業する際には物件取得にくわえて厨房や空調設備など、さまざまな初期費用が発生します。
さらに開業後は家賃や水道光熱費、仕入代金、人件費などの運転資金も発生するため 、資金不足に頭を抱える方も多いのです。
開業資金や運転資金が不足してしまう原因の多くは資金計画が不十分だったことです。事前に飲食店が軌道に乗るまでのランニングコストも含めた必要資金の目安を算出し、準備しておきましょう。
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資金計画を入念におこなっていても開業後に食材原価が高騰し、その分利益が低下するリスクも生じます。
飲食店のメニュー料金は開業前の仕入れ価格に基づいて設定されているため、開業後に仕入れ価格が高騰すると、思うように利益が得られなくなってしまうのです。
近年原価の高騰による仕入れ価格の値上げが続いており、多くの飲食店が対策を迫られています。利益を保つ工夫としては、在庫管理の徹底や仕入れ先の見直し、メニュー価格の引き上げなどがあります。
ただし、利益ばかりを優先して安い食材に変更したり価格を上げたりするとお客さんが離れてしまう可能性もあるため、顧客目線も考慮した対策を実施しましょう。
飲食店は人材確保に苦労しやすく、従業員の不足リスクが伴いやすい業界です。従業員が不足してしまうと、サービスの質の低下や従業員1人あたりの負担の増加が起き、悪循環を生み出してしまいます。
主に飲食店の従業員不足が起きる原因は労働環境が関係しているため、適切なシフト作成や労働量、職場環境の整備をおこない、人材の定着に努めましょう。
飲食店を開業する際のもっとも身近なリスクは食中毒の発生です。1度食中毒を発生させると、社会的な信用を大きく失ってしまいます。
食中毒の発生件数の約60%は飲食店で発生しているとも言われており、衛生面の徹底管理は必須です。食中毒の三原則とされる「付けない・増やさない・無くす」に加え「持ち込まない」も含めた4原則を意識して取り組みましょう。
食物アレルギーとは、特定の食材に反応を起こすアレルギー疾患のことで、重度の場合は意識障害や呼吸困難に陥るケースもあります。
食物アレルギーを起こしやすい食品:牛乳・卵・小麦・そば・甲殻類・落花生
多くの飲食店は食中毒に関する意識ばかり高く、食物アレルギーに関する認知度はまだまだ低いです。しかし、2017年から特定食品への表示が義務化されており、飲食店側がアレルギーに関する知識を持ち、理解したうえで営業することが求められています。
飲食店は料理で火を使うことになるため、火災のリスクが高くなりやすい業種です。店舗で火災が発生してしまうと、周辺のテナントや住民に被害が及ぶだけでなく、物件の所有者から損害賠償を請求される可能性もあります。
火災報知機や煙感知器、消火器、ガス漏れ感知装置などの設置義務のあるものはもちろん、定期的な消防検査や熱から厨房を守るステンレスの保護範囲を増やすなど、火災が起こりやすい状況を事前に回避することが重要です。
飲食店では接客や調理だけでなく、仕込み作業や清掃、在庫管理などさまざまな業務が発生します。人手不足で経営者の稼働時間が長くなることも多く、体力的に疲弊していくケースも少なくありません。
営業時間は接客や調理、閉店後は在庫管理やシフト作成、清掃、仕込みなどを全て経営者が担っていると、疲れによるサービスの質の低下や体調不調が起きてしまいます。
「自分は大丈夫、できる」と思っていても、体調を崩して営業が出来なくなっては元も子もありません。無理のない労働計画を立てる、従業員に1部の業務を任せていくなどの対応が必要です。
飲食店の開業に伴うリスクへの対策として有効なのは「入念な事業計画」と「保険加入」です。リスクに備えるために、この2つの対策は必ずおこないましょう。
経営面のリスクの対策としてもっとも有効なのは、入念な事業計画を立てることです。開業前にどれだけ現実的で細かな計画を設計するかによって店舗の成功を左右します。
飲食店の開業を進めるうえで必要な戦略や想定されるリスク、その対処法を多角的な視点でまとめましょう。
なぜ飲食店を開業したいのか、収支と支出のバランスは崩れていないか、コンセプトは明確か、メニューの価格帯や提供方法は適切かなど、1つ1つの項目を慎重に検討し決めていきます。
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飲食店開業後のトラブルリスクの対策には、飲食店向けの保険加入がおすすめです。いくら注意していたとしても、食中毒や火災リスクはゼロにはなりません。もしもの時のために、保険に加入すると良いでしょう。
飲食店向けの保険の具体例は、主に食中毒が起きたときの損害賠償に備えるために、生産物賠償責任保険(PL保険)など、店舗休業保険などがあります。
この記事では、飲食店の開業前に知っておくべきリスクについてご紹介しました。
飲食店に伴うリスクには、資金や従業員不足など経営に関するものと食中毒や店舗火災などトラブルによるものなどがあります。開業前からリスクを考慮した事業計画を設計し、リスクを最小限に抑えた経営をおこないましょう。