開業
2022/12/11
こじんまりとした、雰囲気のある飲食店の開業に憧れている方は少なくありません。小さい飲食店には、一般的な飲食店には無い魅力があります。そこで今回は、小さい飲食店の開業に関する以下のような疑問を徹底解説していきます!
「小さい飲食店の開業のメリットって何?」
「小さい飲食店を開業するやコツってある?」
「小さい飲食店を開業する上でポイントは?」
「小さい飲食店」の大きさや席数などの定義についても説明しますので、ぜひ開業する際の参考にしてください。
そもそも「小さい飲食店」とはどのくらいの大きさや席数の店舗を指すのでしょうか。
実は、小さい飲食店を指す具体的な定義は定まっていません。しかし、一般的に「小さい飲食店」とされる大きさや席数の目安はあります。ここでは、小さい飲食店と言える店舗の大きさや席数、適した業態をご紹介します。
小さい飲食店の大きさは、店舗の面積が10~15坪程度のものが一般的です。1坪あたり約3.3㎡であるため、約33〜49.5㎡が小さい飲食店の範囲といえるでしょう。
一人ひとりイメージするサイズ感は異なると思いますが、目安として覚えておくと開業前の想定がしやすくなります。
小さい飲食店の席数は、店舗内にどのくらいの厨房を設置するか、カウンター席なのかテーブル席なのかによっても変動しますが、主に1坪に2.3席ほど配置するケースが多いです。
そのため、飲食するスペースが5坪の場合は10席、6坪の場合は12席ほど確保できます。席と席の間隔を狭くしてさらに席数を増やすこともできますが、その際はスタッフの数も考慮して、店舗を円滑に営業できるかどうかを見極めましょう。
小さい飲食店に向いている業態は、カフェやバー、寿司屋やラーメン屋などが当てはまります。大きな飲食店に比べ、小さい飲食店を利用するお客さんは1名で訪れることが多い傾向にあります。
そのため、1人の時間をゆっくり過ごせる飲食店やカウンターで食事を楽しめる飲食店、回転率の高い飲食店が適しているといえるでしょう。
小さい面積での飲食店開業は、大きい飲食店にはない特有のメリットが存在します。小さい飲食店の開業を検討しているものの、資金面や集客面に不安を抱える方も多いでしょう。
そこで、ここでは小さい飲食店ならではの開業のメリットをご紹介します。
1つ目のメリットは、開業資金や運転資金が抑えられることです。開業資金は店舗の面積が大きくなればなるほど高くなります。店舗が小さい分、物件を取得する際や内装・外装にかかる費用が少なくなり、資金面の負担を抑えることができるでしょう。
また、開業後に発生する家賃、光熱費、人件費などの運転資金も抑えられます。特に開業してまもない時期は売上が不安定なケースが多く、どれだけ固定費を抑えて経営していくかが重要です。小さい飲食店は運転資金が低いため、赤字経営になるリスクを回避しやすくなります。
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開業時に必要となる資格が少ないことも小さい飲食店ならではのメリットです。通常飲食店を開業する場合、「食品衛生責任者」と「防火管理者」の2つの資格が必要になります。
ただし、スタッフとお客さんを合わせた収容人数が30人未満の場合、防火管理者の取得は不要です。小さい飲食店は収容人数が少ないため、各自治体が実施する講習を受講すると取得できる「食品衛生責任者」のみで開業できるケースも多いでしょう。
小さい飲食店では、会計時に現金で支払われるケースが多いです。なぜなら、基本的に小さい飲食店は単価が安い傾向があり、クレジットカードや電子マネーよりも現金を使用されるからです。
大きな飲食店では様々な支払い方法があるため、売上が実際に入金されるまでに時間がかかります。その点、現金支払いが主流の小さい飲食店では手元に資金が残りやすく、資金繰りが苦しくなりにくいでしょう。
小さい飲食店の開業は、大きな魅力がある一方でデメリットともいえる注意点がいくつかあります。ここでは、小さい飲食店ならではの課題と対応策を見ていきましょう。
小さい飲食店の最も大きなデメリットは、売上の上限が低いことです。面積が小さい分どうしても席数が少なくなり、店舗に収容できるお客さんの人数が限られてしまいます。そのため、結果的に注文数も少なくなり、大きい飲食店と比べて売上の最大値が下がってしまうことになるのです。
小さい飲食店を開業する際は、顧客の満足度も考慮しながら回転率や客単価を上げる工夫をおこないましょう。
小さい飲食店は仕入れる食材の量も少なくなるため、仕入れ費用を安くすることができません。大きい飲食店では、1度に大量の仕入れをする代わりに費用を安くするケースが多くあります。
安く仕入れられない分、固定費を抑えやすいメリットを活かしてカバーしていくことを意識して営業しましょう。
小さい飲食店は1人もしくは少人数で営業することが多いため、自身が体調不良になったり、ケガや病気になったりした際は店舗の営業が困難になってしまいます。スタッフ1人ひとりに対する役割も自然と大きくなるため、欠員が出た場合にお店を回せなくなるリスクがあるでしょう。
小さい飲食店を開業する際には、予期せぬトラブルが起きたときの店舗の動きを決めておくなど、リスクを踏まえた計画を立てましょう。
小さい飲食店を開業し、安定した経営を続けるためにはコンセプト設計や物件選び、集客が重要です。最後に、小さい飲食店の開業を成功させるコツを3つご紹介します。
小さい飲食店の開業では、特にコンセプトが重要になってきます。何を・誰に・どこで・いつ・なぜ・どのように、といった要素を明確に決めていきます。コンセプトを具体的にすればするほど店名や内外装、メニュー開発をする際の判断の基になり、ぶれのない店舗が確立されます。
小さい飲食店の規模を活かしたコンセプト設計の例には、「隠れ家のようなレトロな喫茶店」「仕事帰りに思わず寄りたくなる居酒屋」などが挙げられます。他店との差別化も考慮しながらコンセプトを検討してみましょう。
小さい飲食店に限らず、物件は1度決めると簡単に変えられません。立地はもちろん資金面も重視して慎重に進めていきましょう。気をつけたいのは、資金調達の前に物件の契約はしないことです。もしも契約したい物件があったとしても一歩踏みとどまり、「仮押さえ」という形をとりましょう。
駅近で集客しやすそうな場所が空いているとついつい契約しそうになりますが、家賃が高い傾向にあります。一般的に家賃は売上の1割以内を目安にするべきだといわれており、それ以上の割合で開業するのはリスクが高いです。
デメリットでも挙げたとおり小さい飲食店は売上の上限も低いため、物件を契約する前に経営が安定する数値をしっかりと算出しましょう。
「飲食店開業時の物件選び」についてはコチラ
小さい飲食店は立地条件によって目立たないケースもあるため、有効な集客施策が必須です。開業の前からSNSのアカウントを作成して店舗情報を発信したり、ホームページやチラシを作成したりするなど宣伝に力を入れましょう。
開業時から注目を集める飲食店にするために、より多くの方の目に止まる宣伝を意識することが大切です。SNSでは、店舗の内装が出来上がっていく様子や商品のアップを開業前からおこなうなど、お客さんが惹かれるような投稿を意識しましょう。
開業後もショップカードやポイントカードを利用すると、再来店を促すことにつながります。
この記事では、小さい飲食店の開業について説明していきました。小さい飲食店は開業資金や運転資金が抑えられるメリットがある一方で、売上の上限が低い、欠員による休業のリスクなどのデメリットがあります。
小さい飲食店ならではの魅力を最大限活かせるように、成功のコツを抑えた開業を目指しましょう!