飲食店を法人化するメリットは?デメリットも知りタイミングを見極めよう

経営

2024/05/12

飲食店を法人化するメリットは?デメリットも知りタイミングを見極めよう

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飲食店を開業する際に、個人事業主として進めるべきか、法人化するべきか悩む方も多いのではないでしょうか。そもそも飲食店を法人化するメリットがわからないと不安で進められないでしょう。

そこで今回は、飲食店を法人化するメリットに焦点を当てて解説していきます。

「飲食店を法人化するメリットを具体的に知りたい」
「飲食店を法人化するデメリットはあるの?」
「飲食店を法人化する良いタイミングっていつ?」

上記のような疑問や悩みをお持ちの方は、ぜひ最後までお付き合いください。

飲食店を法人化するメリット

飲食店の店長飲食店を法人化すると、主に以下のメリットが得られます。

  • 社会的信用度の向上
  • 経費にできる範囲の拡大
  • 税率一律による節税効果
  • 消費税が2年間免除
  • 役員報酬・退職金の損金参入
  • 厚生年金保険への加入
  • 事業の引継が容易
  • 決算期の設定・変更が可能

それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

社会的信用度の向上

飲食店を法人化するメリットの一つは、社会的信用度の向上です。個人経営の場合よりも、法人としての信用が高まります。

仕入れ先や金融機関などとの取引では、法人としての信頼度が高いため、スムーズな取引が期待できます。

法人を登記した際に発行される登記簿謄本は、会社の情報が公に開示されるため、信頼性が増します。

経費にできる範囲の拡大

個人事業主では認められない経費が、法人化によって経費として認識され、税金を節約することができます。

例えば自宅を社宅として扱い、家賃や光熱費の一部を経費として計上したり、出張に伴う交通費や宿泊費以外にも日当を経費として計上したりできます。

交際費、会社設立時の費用や税理士の顧問料も経費として考慮されます。

個人事業主が経費としてカウントしにくい部分でも、法人化によって広範な経費対象になり、税金を節約できる点が大きなメリットです。

税率一律による節税効果

法人化することで、税金のレートが一律になります。法人で飲食店を開業する利点は、この一律の税率です。

例えば、平成30年4月1日以降に開始した中小法人の場合、税引前利益が800万円以下なら税率は一律で23.2%です。多くの新規事業はこの範囲内に収まるため、税率は利益に関わらず23.2%となります。

個人事業主の場合、所得900万円を超えると税率は33%に上昇するため、法人化は大きな節税対策になるのです。

消費税が2年間免除

このメリットは特に個人事業主から法人に移行した方に当てはまりますが、個人事業主から法人化すると、2年間は消費税の納税が先延ばしになります。

通常、消費税の納税は2年前の事業年度の売上が1,000万円を超える場合に義務付けられますが、法人化すると売上がリセットされ、2年間は納税義務が免除されます。

個人事業主の場合は、2年前の売上が1,000万円を超えると納税義務が生じますが、法人化すればこの負担を回避できるのです。

税務上の負担を軽減するために、法人設立を検討する際の重要な理由のひとつと言えるでしょう。

役員報酬・退職金の損金参入

法人化するメリットのひとつは、役員報酬や退職金が用意できるところです。

退職金とは、役員が退任する際に支給される金額で、税制上、比較的優遇される所得です。

たとえば、20年間の勤続で800万円の退職金を受け取った場合、税引き後の受け取り額は800万円になります。

退職金は勤続年数が増えれば控除額も多くなるため、早期に法人化し、勤続年数を増やすことで多くの退職金を得られます。

また、個人事業主の場合、所得は事業所得として一括して課税されますが、法人化すると役員報酬が導入され、経費として計上できます。

厚生年金保険への加入

個人事業主が社会保険に加入する場合、国民健康保険と国民年金が一般的ですが、法人化すると社長1人でも厚生年金保険に加入できます。

厚生年金保険は会社と社員が支払いを折半する仕組みで、負担が増える可能性があることからデメリットと捉えられがちです。

しかし、厚生年金に加入することで基礎年金額が増え、国民健康保険では受けられない生活保障制度も利用できるメリットがあります。

事業の引継が容易

法人としての事業承継は、個人事業主よりもスムーズです。個人が事業を親族に引き継ぐ場合、全ての資産が相続の対象となり、贈与対象となります。

しかし、法人としての承継では基本的に自社株のみを引き継ぐ必要があるため、手続きが簡素化されます。

個人事業主の場合、極端なことをいうと事業主がいなくなれば事業は廃業となります。これは仕入れ先の取引業者にとってもリスクです。

法人化をおこなえば、社長の死亡が事業の存続に直接的な影響を与えなくなります。

決算期の設定・変更が可能

個人事業主は、毎年12月31日が締め日であり、翌年の3月15日までに確定申告で税金を支払わねばなりません。しかし、法人は決算期を自由に設定できます。

業務や税務の都合を考慮し、繁忙期を避けて決算日を決めることができます。

また、納税と資金繰りを調整し、財務的な余裕のある月を納税月に合わせることも可能です。

飲食店を法人化するデメリット

飲食店の法人化で得られるメリットは大きいですが、デメリットが存在することも忘れてはいけません。デメリットも理解したうえで、飲食店を法人化するか否かを判断しましょう。

社会保険への加入が必須

これはメリットの点でも紹介したものですが、違う視点からみるとデメリットとしても捉えられます。

法人化すると、社会保険への加入が必須となります。健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つが含まれます。

特に、役員が1人の場合、全ての負担が1人であるため、支払額は役員報酬の約20%となり、利益に大きな影響を与えます。

ただし、社会保険料の負担は大きいものの、法人化により社会保険への加入が義務化されることで、社員の福利厚生が確保され、将来のリスクに備えることができる点も決して忘れてはいけない部分です。

決済や会計作業の複雑化

法人化には決済や会計作業が複雑化するというデメリットがあります。

法人化に伴い、法人税申告書や決算書の提出が必要となります。これらの書類は、年間の利益や費用を詳細に記載するため、事務作業が増加します。

このような作業をすべて自分で行うと負担が大きく、専門家に委託すればその分費用がかかります。

コスト削減のために自ら時間や体力を費やすと、本業の遂行がおろそかになる恐れがあります。したがって、コスト、時間、労力などのバランスを考慮しながら、適切な対応を取る必要があります。

設立手続きが面倒

法人化には、設立手続きが煩雑であるというデメリットがあります。

個人事業主は、住民票や戸籍で身元を確認できるため、税務や労務関連の手続きを行うだけで事業を開始できます。

しかし、法人は法律上の抽象的な存在であり、実態を確認するためには商業登記が必要です。この登記は、取引相手や第三者の権利を保護するために義務付けられています。

さらに、事業を終了する際にも解散や清算の手続きが必要であり、税務上も解散や清算に伴う申告や納税が必要です。そのため、法人は始めるときも終わるときも、個人事業主に比べて手間がかかります。

赤字黒字に関係なく税金が発生

法人化する際のデメリットの一つは、赤字や黒字に関係なく税金が発生することです。

個人事業主は、事業が赤字であっても所得税や住民税の負担がありませんが、法人は法人住民税が課されます。この法人住民税は、均等割と法人税割で構成され、法人の規模によって税額が決まります。

したがって、事業が赤字であっても法人住民税を納めなければなりません。

自治体によって税率が異なりますが、例えば東京では、資本金1,000万円以下で従業員50人以下の小規模法人の場合、年間7万円の法人住民税が課税されます。

飲食店の法人化でメリットを得やすいタイミング

飲食店の従業員これまで法人化のメリット・デメリットを見てきましたが、個人事業主から法人への移行には、利益や売上、それに伴うメリット・デメリットのバランスを踏まえて検討する必要があります。

法人化のメリットを最大限活用するには、以下の3つのタイミングを目安にすると良いでしょう。

  • 年間所得が700〜800万円を超えた場合
  • 年間売上が1000万円を超えた場合
  • 資金調達が必要な場合

まず、個人事業主の年間所得が700〜800万円を超えると、所得税率が23%となります。

同じ所得であれば、法人税率は15%(資本金1億円以下)と低くなるため、法人化を検討するタイミングの代表的なタイミングです。

また、年間売上が1000万円を超えると、消費税の納税義務が発生します。

法人化した場合、開業1年目が法人設立1年目として扱われ、2年後からの消費税の納税義務を回避できます。

ただし、資本金1,000万円未満かつ特定条件を満たす場合に限るため、その点だけ注意しましょう。

事業拡大のための資金調達を検討する際も最適なタイミングです。

法人は個人事業主よりも社会的信用が高く、補助金や助成金の利用が可能です。また、金融機関からの借入や外部からの出資を受けやすくなります。

まとめ

飲食店を法人化するメリットとデメリットについて解説してきました。

法人化には社会的信用度の向上や節税効果、事業の引継ぎや決算期の柔軟性などのメリットがありますが、一方で社会保険への加入や事務手続きの煩雑化、赤字でも税金が発生するなどのデメリットも存在します。

法人化を検討する際には、自身の事業状況や将来の展望を踏まえてバランスを考える必要があります。

自身の事業に最適な法人化のタイミングを見極めることが重要です。

飲食店の法人設立についてのご相談はコチラ

 

 

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