飲食店の保険って重要?経営者のための保険選びの注意点とポイント

経営

2023/09/25

飲食店の保険って重要?経営者のための保険選びの注意点とポイント

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飲食店を経営していると、予測できない問題が発生し、経営に大きな影響を及ぼすことがあります。一般的な問題の中で特に深刻なのは、食品中毒などの衛生問題です。

また、火災による設備や備品の損害、顧客への事故など、思わぬアクシデントがビジネスに悪影響を及ぼすリスクがあります。そのため、飲食店経営者にとって保険に加入することは不可欠です。

しかし、以下の疑問を持つ飲食店経営者の方は少なくありません。

「飲食店の保険はどれがおすすめ?」
「飲食店の保険に加入する際に注意すべきことは?」
「飲食店の保険を選ぶ際のポイントは?」

そこでこの記事では、飲食店における保険の重要性や入るべき保険の種類、および適切な保険の選び方について説明します。

飲食店の保険の重要性

飲食店経営をする女性冒頭で述べた通り、飲食店経営には様々なトラブルが潜んでおり、予測できないリスクが存在します。これらの予測不可能な事態に備え、飲食店では保険が重要になってくるのです。

例えば、突然の休業が必要になった場合、利益損失が生じます。このような突発的な休業に備えて、店舗保険に加入することで損失の一部をカバーできます。

それでは、具体的にどのようなリスクが飲食店経営には潜んでいるのか、保険を見直すタイミングはいつが良いのか、詳しく見ていきましょう。

起こり得るリスク

飲食店や食品業の経営には、さまざまなリスクが潜んでいますが、最も深刻なのは食中毒のリスクです。厚生労働省によれば、2019年だけで1000件以上の食中毒が報告され、多くが飲食店から発生しています。食中毒は賠償責任を問われる可能性があり、被害も深刻です。

また、火災のリスクも無視できません。自店の火災対策が万全でも、隣の店からの火の移動があるかもしれません。

さらに、従業員の業務中の事故や病気も考えられます。

飲食店経営者としては、これらの様々なリスクに備え、適切な保険を検討することが大切と言えるでしょう。

保険を見直すタイミング

飲食店の保険は開業時だけでなく、経営のさまざまな局面で見直すべきです。経済状況や自然災害、感染症など、世界は絶えず変化しています。保険もそれに合わせて見直すことが大切です。

保険見直しのタイミングとして、以下の6つをおすすめします。

改装を検討するとき

店舗の改装を計画すると、リスク要因が変わることがあります。この際、保険の見直しを行いましょう。

事業の追加や変更を考えるとき

新たな事業を始めるか、既存の事業内容を変更する場合、リスクも変わる可能性があるため、保険の再評価が必要です。

年度が変わるタイミング

年度が変わる際は、新たな保険プランを検討する好機です。経営状況に合わせて保険を見直しましょう。

保険料が高いと感じるとき

保険料の負担が重く感じる場合、他のプランや提供業者を探ることでコストを削減できるかもしれません。

保険の更新時期

保険契約の更新時には、現行の保険内容が依然として適切かどうかを検討しましょう。

近隣で自然災害が発生したとき

近隣で自然災害が発生した場合、自身の店舗もリスクにさらされる可能性があるため、保険の充実が重要です。

また、近年はテイクアウトを主力とする飲食店が増えており、提供方法に変化がある場合も保険の見直しが必要です。

保険に不安を感じる場合は、迅速な見直しを検討しましょう。自店に合った適切な保護策を見つけることが重要です。

飲食店におすすめの保険

飲食店スタッフ先に述べたさまざまな危険から飲食店経営者を保護してくれるのが”保険”です。今回は、飲食店経営に不可欠な保険に焦点を当てて紹介します。

火災保険

初めに、災害時に貴重な保障を提供する保険について考えてみましょう。飲食店の運営には、高額な備品が不可欠です。

例えば、業務用冷蔵庫、厨房設備、アンティーク家具などが挙げられます。これらのアイテムが火災や損傷によって使用不能になると、再び備品を調達するには相当な費用がかかり、経営に大きな打撃を与えることなりかねません。

こうした状況に備えるために、火災保険や地震保険に加入することは飲食店には必須と言えます。

施設賠償責任保険

飲食店経営には、お客様に怪我をさせたり物品を損壊させたりするリスクがあります。こうしたトラブル時に頼りになるのが、施設賠償責任補償です。

施設賠償責任保険とは、例えば床が濡れていて転んだお客様や、厨房の水漏れで被害が発生した場合、損害をカバーしてくれる保険です。

水漏れや看板の倒れなどによる被害も補償の対象になるため、飲食店にとって心強い者になるでしょう。

PL保険

PL保険は、飲食店が食中毒や異物混入などで賠償責任を負った際に、賠償金をカバーする保険です。

食中毒の防止には、適切な調理が行われていても十分ではありません。「乾燥しているきざみのりからノロウイルス中毒が発生した」という事例も実際に起きています。

注意していても食中毒は発生する可能性があり、その被害は大きなものとなることがあります。そんな食中毒が起きた場合の医療費や慰謝料に備えるために、PL保険(生産物賠償責任保険)が必要です。

この保険にオプションを追加することで、訴訟に関連する弁護士費用、見舞金、事故調査費用なども補償されるケースがあります。

店舗総合保険

店舗総合保険とは、火災保険、施設賠償責任保険、PL保険(生産物賠償責任保険)など、複数の保険が一つにまとまったものです。言い換えれば、一般的な火災保険に加え、飲食店経営に伴う多岐にわたるリスクに対処する保険と言えます。

飲食店は衛生管理の問題や自然災害による食材供給の中断などで、一時的に休業する可能性がある事業です。休業してしまうと、期間中に予定されていた利益が消えてしまいます。

店舗総合保険には、こうした休業に伴う損失の一部をカバーする制度も含まれている点から、飲食店経営者に強くお勧めできる保険です。

その他:リスクに備える様々な保険

その他にも、飲食店で加入がおすすめの保険が数多くあります。

借家人賠償責任補償

テナントとして店舗を借りている場合、火災や爆発などの被害で損害賠償責任が問われることがあります。家主による補償を確保できます。

人格権侵害賠償責任補償

無銭飲食が発生し、お客様を誤って拘束し、人格権侵害による損害賠償責任が生じる場合、この保険が補償対象となります。

テナント保険

火災、風災、水災、盗難などによる設備費用や第三者への賠償責任を補償します。火災保険に比べて柔軟性が高いです。

設備什器等補償

火災や水災などによりテナント内の設備や機器が使えなくなった場合に補償されます。

無断キャンセル保険

予約客がキャンセルし、キャンセル料を得られなかった場合、補償金が支給されます。

飲食店が保険に加入する際の注意点

飲食店を経営する場合、営業中に予測されるリスクに備える保険への加入は極めて重要です。ただし、保険に入ればどんなトラブルでも必ず補償されるわけではなく、把握しておくべき留意点があります。

適用外となるケース

飲食店の保険では、事故が発生した際、店舗側に重大な過失や故意の行為がある場合は補償の対象外となります。

たとえば、利用者に意図的に飲食物をこぼす行為や、期限切れの材料を使用して食中毒を引き起こすような事例は、保険金の支払いが受けられません。

保険に入っているからといって安心せず、日常的に適切な管理体制を維持し、事故を防ぐことが極めて重要です。

支払限度額

契約の内容により、免責金額や支払い上限が設けられ、自己負担が発生することがあります。

たとえば、1つの事故に対する免責金額が10万円の場合、対象損害の最初の10万円は飲食店が負担しなければなりません。また、支払い上限が5,000万円の場合、損害が5,000万円を超える部分については自己負担が生じます。

免責金額を高く、支払い上限を低く設定すれば、月々の保険料は低く抑えられますが、保険金の支給が限定的になります。

保険契約時に、自身の店舗に合ったプランを選択する際には、補償を充実させたいか、保険料を節約したいかをよく考慮しましょう。

飲食店の保険を選ぶ際のポイント

チェックリスト保険の選び方を知らないと、意外な支出が発生したり、十分な補償を受けられないことがあるため、選び方を理解したうえで、自店での適切な保険の種類を把握しましょう。

Point①保険料と保証内容

保険会社によっては、保険料や補償内容が異なります。補償内容が充実すればするほど、保険料が高くなるため、自身の店舗に適した保険を選ぶことが肝心です。

具体的には、経営スタイル、提供する料理の種類、調理プロセス、規模、従業員数などが考慮すべき要因でしょう。

補償内容と保険料を比較し、検討の上で選択することが大切です。

Point②特約

特約とは、主契約の保険に、希望に応じて追加できるカスタマイズオプションです。

特約を選択することで、保険料や補償範囲、上限金額などの保険内容を調整でき、自分の店舗に最適な保険にカスタマイズできます。

ただし、特約を追加すると保険料が増加しますので、必要な特約だけを選択することが大切です。

Point③複数の会社を比較

保険商品を比較検討する際、異なる保険会社間で補償対象や支払保険金などが異なることを頭に入れておくべきでしょう。

例えば、店舗総合保険には、食中毒事故に対応する特定商品と、そのオプションを選ぶ形態があります。店舗のリスクに合った選択を行うために、リスクの種類や大きさを考慮して保険商品を選ぶと良いでしょう。

まとめ

この記事では、飲食店経営における保険の不可欠性に焦点を当てました。飲食業界は予測不能なリスクが常に存在し、突発的な問題に備えることが極めて重要です。

飲食店経営者は、リスクを最小限に抑えつつ、万が一の事態に備えるために、適切な保険の選択と定期的な見直しを行うことが成功への鍵です。

保険は事業の安定と継続に欠かせないサポートであり、適切な選択をしていきましょう。

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