飲食店の保険って重要?経営者のための保険選びの注意点とポイント

経営

2024/06/06

飲食店の保険って重要?経営者のための保険選びの注意点とポイント

0

LineLine

飲食店を経営していると、予測できない問題が発生し、経営に大きな影響を及ぼすことがあります。一般的な問題の中で特に深刻なのは、食品中毒などの衛生問題です。

また、火災による設備や備品の損害、顧客への事故など、思わぬアクシデントがビジネスに悪影響を及ぼすリスクがあります。そのため、飲食店経営者にとって保険に加入することは不可欠です。

しかし、以下の疑問を持つ飲食店経営者の方は少なくありません。

「飲食店の保険はどれがおすすめ?」
「飲食店の保険に加入する際に注意すべきことは?」
「飲食店の保険を選ぶ際のポイントは?」

そこでこの記事では、飲食店における保険の重要性や入るべき保険の種類、および適切な保険の選び方について説明します。

飲食店の保険の重要性

飲食店経営をする女性飲食店向けの保険は「店舗保険」と呼ばれ、休業による利益損失を補償する役割があります。

飲食店を経営している方、またはこれから開業しようと考えている方で保険への加入を迷っている方に向けて、飲食店における保険の重要性をご紹介します。

リスク時の損害を抑えられる

店舗保険は、感染症の拡大や自然災害、雇用トラブル、食中毒事故など、予期せぬ理由での休業に備えています。これらのリスクに備えるために、保険に加入することは重要だと言えるのです。

保険に加入することで、損害賠償金や休業時の売上補填が可能となり、万が一の場合でも損失を最小限に抑えることができます。

保険料は減税にもなる

飲食店を経営する際には、保険料にかかる税金も重要です。しかし、保険を上手に活用することで、減税効果を期待することができます。

飲食業においては、損害保険料も経費に計上することができます。これは、建物や機械、自動車など事業用の物品にかかる損害保険の費用を指します。

保険料が貯蓄性がなく、契約期間が1年以内の場合、保険料全額を当期の経費として計上することができます。

経費の一部として計上することで、税金を軽減することができます。

起こり得るリスク

飲食店経営者としては、様々なリスクに備え、適切な保険を検討することが大切です。

それでは、具体的にどのようなリスクが飲食店経営には潜んでいるのか見ていきましょう。

損害リスク

飲食店の保険には、損害リスクを回避する重要な役割があります。

自然災害や偶発的な事故による損害は予測が難しく、その際には大きな経済的負担を強いられる可能性も否定できません。

例えば、火災や水害などの自然災害、突発的な漏水や盗難による被害が挙げられます。

店舗内の設備に損害が生じた場合でも保険を利用できるため、安心して営業に集中できます。

自然災害や偶発的な事故はいつ起こるかわからないため、保険に加入し、万が一の際に備えた対策を準備しておくことが重要です。

賠償リスク

飲食店の保険では、賠償リスクにも対応しています。具体的には、建物や施設が原因となった事故や提供した商品による食中毒、接客中の賠償事故などが該当します。

特に多いのは、提供した商品が原因で起きた食中毒です。経営者が食中毒対策を徹底していても、ゼロリスクはありません。

また、店舗の看板が落下して通行人にケガを負わせたり、店内の床が濡れていて来店客が転倒した場合も保険が適用される可能性があります。

保険に加入しておくことで、これらのリスクに対する安心感を得ることができます。

休業リスク

飲食店の保険では、休業リスクに対する特約が用意されています。

火災や自然災害、食中毒などの緊急事態が発生し、店舗の営業が一時的に停止される場合でも、保険によって営業損失が補償されます。
この特約は、経営者が突発的な災害や感染症の影響によって営業を停止する際に、損失を最小限に抑えるための重要な保障です。

ただし、保険会社ごとに補償範囲が異なるため、契約前に補償内容を確認することが必要です。

保険を見直すタイミングにも注意

飲食店の保険は開業時だけでなく、経営のさまざまな局面で見直すべきです。経済状況や自然災害、感染症など、世界は絶えず変化しています。保険もそれに合わせて見直すことが大切です。

保険見直しのタイミングとして、以下の6つをおすすめします。

改装を検討するとき

店舗の改装を計画すると、リスク要因が変わることがあります。この際、保険の見直しを行いましょう。

事業の追加や変更を考えるとき

新たな事業を始めるか、既存の事業内容を変更する場合、リスクも変わる可能性があるため、保険の再評価が必要です。

年度が変わるタイミング

年度が変わる際は、新たな保険プランを検討する好機です。経営状況に合わせて保険を見直しましょう。

保険料が高いと感じるとき

保険料の負担が重く感じる場合、他のプランや提供業者を探ることでコストを削減できるかもしれません。

保険の更新時期

保険契約の更新時には、現行の保険内容が依然として適切かどうかを検討しましょう。

近隣で自然災害が発生したとき

近隣で自然災害が発生した場合、自身の店舗もリスクにさらされる可能性があるため、保険の充実が重要です。

また、近年はテイクアウトを主力とする飲食店が増えており、提供方法に変化がある場合も保険の見直しが必要です。

保険に不安を感じる場合は、迅速な見直しを検討しましょう。自店に合った適切な保護策を見つけることが重要です。

飲食店におすすめの保険

飲食店スタッフ先に述べたさまざまな危険から飲食店経営者を保護してくれるのが”保険”です。今回は、飲食店経営に不可欠な保険に焦点を当てて紹介します。

火災保険

初めに、災害時に貴重な保障を提供する保険について考えてみましょう。飲食店の運営には、高額な備品が不可欠です。

例えば、業務用冷蔵庫、厨房設備、アンティーク家具などが挙げられます。これらのアイテムが火災や損傷によって使用不能になると、再び備品を調達するには相当な費用がかかり、経営に大きな打撃を与えることなりかねません。

こうした状況に備えるために、火災保険や地震保険に加入することは飲食店には必須と言えます。

施設賠償責任保険

飲食店経営には、お客様に怪我をさせたり物品を損壊させたりするリスクがあります。こうしたトラブル時に頼りになるのが、施設賠償責任補償です。

施設賠償責任保険とは、例えば床が濡れていて転んだお客様や、厨房の水漏れで被害が発生した場合、損害をカバーしてくれる保険です。

水漏れや看板の倒れなどによる被害も補償の対象になるため、飲食店にとって心強い者になるでしょう。

PL保険

PL保険は、飲食店が食中毒や異物混入などで賠償責任を負った際に、賠償金をカバーする保険です。

食中毒の防止には、適切な調理が行われていても十分ではありません。「乾燥しているきざみのりからノロウイルス中毒が発生した」という事例も実際に起きています。

注意していても食中毒は発生する可能性があり、その被害は大きなものとなることがあります。そんな食中毒が起きた場合の医療費や慰謝料に備えるために、PL保険(生産物賠償責任保険)が必要です。

この保険にオプションを追加することで、訴訟に関連する弁護士費用、見舞金、事故調査費用なども補償されるケースがあります。

店舗総合保険

店舗総合保険とは、火災保険、施設賠償責任保険、PL保険(生産物賠償責任保険)など、複数の保険が一つにまとまったものです。言い換えれば、一般的な火災保険に加え、飲食店経営に伴う多岐にわたるリスクに対処する保険と言えます。

飲食店は衛生管理の問題や自然災害による食材供給の中断などで、一時的に休業する可能性がある事業です。休業してしまうと、期間中に予定されていた利益が消えてしまいます。

店舗総合保険には、こうした休業に伴う損失の一部をカバーする制度も含まれている点から、飲食店経営者に強くお勧めできる保険です。

その他:リスクに備える様々な保険

その他にも、飲食店で加入がおすすめの保険が数多くあります。

借家人賠償責任補償

テナントとして店舗を借りている場合、火災や爆発などの被害で損害賠償責任が問われることがあります。家主による補償を確保できます。

人格権侵害賠償責任補償

無銭飲食が発生し、お客様を誤って拘束し、人格権侵害による損害賠償責任が生じる場合、この保険が補償対象となります。

テナント保険

火災、風災、水災、盗難などによる設備費用や第三者への賠償責任を補償します。火災保険に比べて柔軟性が高いです。

設備什器等補償

火災や水災などによりテナント内の設備や機器が使えなくなった場合に補償されます。

無断キャンセル保険

予約客がキャンセルし、キャンセル料を得られなかった場合、補償金が支給されます。

飲食店が保険に加入する際の注意点

飲食店を経営する場合、営業中に予測されるリスクに備える保険への加入は極めて重要です。ただし、保険に入ればどんなトラブルでも必ず補償されるわけではなく、把握しておくべき留意点があります。

適用外となるケース

飲食店の保険では、事故が発生した際、店舗側に重大な過失や故意の行為がある場合は補償の対象外となります。

たとえば、利用者に意図的に飲食物をこぼす行為や、期限切れの材料を使用して食中毒を引き起こすような事例は、保険金の支払いが受けられません。

保険に入っているからといって安心せず、日常的に適切な管理体制を維持し、事故を防ぐことが極めて重要です。

支払限度額

契約の内容により、免責金額や支払い上限が設けられ、自己負担が発生することがあります。

たとえば、1つの事故に対する免責金額が10万円の場合、対象損害の最初の10万円は飲食店が負担しなければなりません。また、支払い上限が5,000万円の場合、損害が5,000万円を超える部分については自己負担が生じます。

免責金額を高く、支払い上限を低く設定すれば、月々の保険料は低く抑えられますが、保険金の支給が限定的になります。

保険契約時に、自身の店舗に合ったプランを選択する際には、補償を充実させたいか、保険料を節約したいかをよく考慮しましょう。

飲食店の保険を選ぶ際のポイント

チェックリスト保険の選び方を知らないと、意外な支出が発生したり、十分な補償を受けられないことがあるため、選び方を理解したうえで、自店での適切な保険の種類を把握しましょう。

Point①保険料と保証内容

保険会社によっては、保険料や補償内容が異なります。補償内容が充実すればするほど、保険料が高くなるため、自身の店舗に適した保険を選ぶことが肝心です。

具体的には、経営スタイル、提供する料理の種類、調理プロセス、規模、従業員数などが考慮すべき要因でしょう。

補償内容と保険料を比較し、検討の上で選択することが大切です。

Point②特約

特約とは、主契約の保険に、希望に応じて追加できるカスタマイズオプションです。

特約を選択することで、保険料や補償範囲、上限金額などの保険内容を調整でき、自分の店舗に最適な保険にカスタマイズできます。

ただし、特約を追加すると保険料が増加しますので、必要な特約だけを選択することが大切です。

Point③複数の会社を比較

保険商品を比較検討する際、異なる保険会社間で補償対象や支払保険金などが異なることを頭に入れておくべきでしょう。

例えば、店舗総合保険には、食中毒事故に対応する特定商品と、そのオプションを選ぶ形態があります。店舗のリスクに合った選択を行うために、リスクの種類や大きさを考慮して保険商品を選ぶと良いでしょう。

まとめ

この記事では、飲食店経営における保険の不可欠性に焦点を当てました。飲食業界は予測不能なリスクが常に存在し、突発的な問題に備えることが極めて重要です。

飲食店経営者は、リスクを最小限に抑えつつ、万が一の事態に備えるために、適切な保険の選択と定期的な見直しを行うことが成功への鍵です。

保険は事業の安定と継続に欠かせないサポートであり、適切な選択をしていきましょう。

飲食店に強い税理士への相談はコチラ

 

0

LineLine

この記事のURLをコピー