飲食店が実践すべき税金対策とは?過度な節税によるリスクも紹介!

経営

2023/05/30

飲食店が実践すべき税金対策とは?過度な節税によるリスクも紹介!

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税金は、飲食店の売上から必要経費を差し引いて手元に残った「利益」に対して課せられます。飲食店の利益率は10%程度といわれており、他の業界と比べて少なくなりがちです。

そんなときに、役に立つのが税金対策です。無駄な税金を抑えられ、手元に少しでも多くのお金を残すことができます。

そこでこの記事では、飲食店経営者が気になる以下の疑問

「飲食店経営者が把握すべき税金の種類とは?」

「飲食店が実践できる税金対策の具体例を知りたい」

「節税対策のし過ぎによるリスクやデメリットは?」

などについて徹底解説していきます!効果的な税金対策を実践するために、税金の種類や過度な税金対策によるリスクについても押さえておきましょう。

税金対策するために!把握すべき飲食店の税金

飲食店のお金飲食店にかかる税金にはさまざまな種類があり、個人事業主か法人かによっても支払うべき税金の種類は変わります。効果的な税金対策をするためには、支払うべき税金の種類をきちんと把握しておくことが重要です。

個人事業主が経営する飲食店の場合

個人事業主として飲食店を経営している場合、発生する主な税金は以下のとおりです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 消費税

その他にも、人によって固定資産税や源泉所得税などが発生する場合がありますが、代表的な税金は上記の4種類です。

所得税は労働や売買によって一定以上の利益を得た場合に課せられ、住民税は居住する都道府県に対して支払いの義務が発生します。

これら2つの税金は会社員の方も支払いが発生するものであり、利益額や居住地によって金額は異なります。

一方で個人事業税は、個人で事業を営んでいる方に対して発生する税金です。個人事業税はすべての個人事業主にかかるわけではなく、1年間で得た事業所得が290万円以下の場合は免除されます。

注意したいのが消費税の扱いです。個人事業主の場合、開業してから2年間は消費税は免除となります。また、3年目以降も基準期間の課税売上高が1,000万円未満であれば、消費税の支払義務は発生しません。

消費税が課せられるかどうかは、基準期間の課税売上高が1,000万円以上か未満かで、年度ごとに判定されることを覚えておきましょう。

法人が経営する飲食店の場合

法人が飲食店を経営する場合はとくに覚えておきたい税金が以下の3つです。

  • 法人税
  • 法人住民税
  • 法人事業税

これらの税金は名称こそ違いますが、考え方は個人事業主の「所得税」「住民税」「個人事業税」と同様です。

たとえば、法人税とは会社の所得に対して発生する税金のことで、個人事業主で言うところの所得税にあたります。会社が所在している都道府県に対して支払いの義務が発生する税金が法人住民税です。

法人事業税は個人事業税と同じく、事業を営む法人に対して課せられる税金を指します。

飲食店ができる税金対策の具体例

それでは、飲食店が実践できる具体的な税金対策についてご紹介します。

1.青色申告制度を利用

個人事業主の場合、白色申告ではなく青色申告制度を利用して確定申告を実施することで、事業所得から最大65万円を控除することができます。

具体的に、売上600万円・経費200万円の飲食店を想定して、青色申告制度を利用するケースとしないケースの税額の差を見ていきましょう。

ここでは、所得控除などは考慮せずに考えます。

【青色申告制度を利用する】

600万円-200万円-青色申告特別控除65万円=335万円(所得)
所得335万円×税率20%-控除額427,500円=242,500円(税額)

【青色申告制度を利用しない】

600万円-200万円=400万円(所得)
所得400万円×税率20%-控除額427,500円=372,500円(税額)

このように、青色申告制度を利用した税額は242,500円、利用しない場合は372,500円となり、青色申告制度を利用すると、13万円も節税できることが分かります。

青色申告制度は複式簿記という、少し複雑な記帳をおこなう必要がありますが、その節税効果は絶大だといえるでしょう。

2.中小企業退職金共済・小規模企業共済などに加入

飲食店が加入できる中小企業退職金共済や小規模企業共済などの制度も、節税対策として有効です。なぜなら、これらに支払う掛金は、個人事業主の場合は経費、法人の場合は損金として計上できるからです。

共済への加入は税金対策としてはもちろん、退職金の準備や経営難の事態への備えなど、さまざまなメリットがあります。月の掛け金は最低1,000円から設定できるなど、負担になりにくいところも利点のひとつです。

3.配偶者などへの所得の分散

日本では「累進課税制度」という、所得が多ければ多いほど税率が上がる仕組みが採用されています。所得税の税率は5〜45%(住民税を合わせたら15〜55%)です。

つまりこれは「所得を誰かに分散できれば、税負担を減少させられる」ということです。具体的には、配偶者を従業員にして給与を支払う方法で所得を分散させることができます。

とくに給与によって所得を分散させると「給与所得控除」も適用されるため、税金対策として非常に効果的な方法といえます。

所得に応じて節税できる金額の大小は異なりますが、所得を分散することで、所得税の支払いが少なくなるという仕組みは念頭に置いておくと良いでしょう。

4.経費を正確に計上

所得が少ないと、その分課せられる税額も小さくなるため、経費はできるだけ正確に計上しましょう。

経費は事業を営むうえで発生する出費のことですが、経費にできる範囲をきちんと把握しておらず、所得が大きくなっている飲食店経営者も少なくありません。

たとえば、普段から取引している仕入れ先の方との食事会は「交際費」、飲食店の研修を受けた場合は「研究開発費」として経費計上が可能です。

飲食店の経営とは直接関係ない費用に感じるものでも、実は経費として認められるケースもあるため、判断に迷う場合は一度税理士に相談してみましょう。

5.法人化の実施

個人事業主として飲食店を経営している場合は、法人化すること自体が税金対策になるケースもあります。

法人化を検討する基準はいくつかありますが、代表的なのが課税所得が900万円を超えるかどうかです。

個人事業主の場合は、課税所得が900万円を超えると所得税が33%まで上がりますが、法人の場合は所得800万まで15%、800万を超える場合は23.2%です。

そのため、課税所得が900万円を超えている、もしくは超えると予想されるなど、事業が成長している場合は法人化の実施を検討しましょう。

飲食店の過度な税金対策によるリスク

飲食店の店員ここまで、飲食店がおこなえる税金対策をご紹介しましたが、あまりにも節税しすぎると逆にデメリットが生じます。とくに飲食店を営む個人事業主は社会からの信用度が下がることにもなりかねません。

飲食店の過度な税金対策が招く、3つのリスクについても事前に把握しておきましょう。

資金調達の融資審査に通らない

飲食店が成長してきたら、多店舗展開を目指したいという経営者も多いでしょう。しかし、過度な税金対策をしてしまうと、資金調達の融資審査に通らないという事態が起きてしまうのです。

なぜなら、融資審査で重視される項目に「返済能力」があり、節税によって所得が小さくなりすぎると「返済能力がない飲食店」と判断されてしまうからです。

良かれと思って税金対策をしていても、結果的に事業拡大のチャンスを逃してしまうことになります。

物件取得が難しい

また、過度な税金対策によって飲食店の物件取得ができなくなることもあります。これも、融資審査と同じで、所得が小さすぎることで信用が得られなくなったケースです。

物件取得の際には、管理会社や大家さんから所得証明書の提出を求められることがあります。このときの所得が小さすぎると、家賃滞納の可能性があると判断され入居を断られてしまうのです。

入居するときのクリアラインは物件や立地によっても異なりますが、所得の30%を超える家賃は入居が難しいとされており、断られる率も高くなるでしょう。

休業による保険金が少ない

とくに少ない人数で営業している飲食店の場合だと、予期せぬ怪我や病気が理由でしばらくお店を休まなければいけなくなることもあるでしょう。このような事態に備えて加入しておく保険が「休業補償(所得補償)保険」です。

休業補償の保険金は「平均月間所得金額」に基づいて算出されるため、節税対策で所得を低くしていると、支払われる保険金も少なくなってしまいます。

まとめ

飲食店の税金対策になる行動はいくつもあり、対策を全くしていない場合はかなり多くの税金を支払っている可能性があります。税金の負担が減ることで手元に残るお金が増えるため、より安定した経営ができるようになるでしょう。

ただし、過度な税金対策によって社会からの信用度が下がってしまうリスクもあるため、税理士に相談しながら、適切に実施していきましょう。

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