飲食店が確定申告しないとどうなる?不要なケースと申告のメリット

経営

2023/04/11

飲食店が確定申告しないとどうなる?不要なケースと申告のメリット

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「今年度から個人で飲食店の経営を始めたけど、確定申告はどうしたら良いのだろう…」

このように、確定申告をすべきかどうか悩んでいる飲食店経営者の方は多いのではないでしょうか。

飲食店経営者のなかには、確定申告をすべき人とそうでない人がいます。それでは、飲食店における確定申告の有無は、どのような基準で判断すればよいのでしょうか。

「飲食店で確定申告が不要なケースとは?」

「飲食店が確定申告しないとどうなる?」

「飲食店が確定申告をすると得られるメリット」

この記事では、上記のような疑問を徹底解決していきます!確定申告を不安視している飲食店経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

飲食店経営者が確定申告しないでもよいケース

飲食店の店員「飲食店で思うように収益が出ていないから確定申告はしない」という方もいるでしょう。確定申告が不要となる条件は細かく定められているため、本当に自分は確定申告が不要かどうかを、ここでしっかり確認しておきましょう。

事業所得が48万円以下

飲食店経営によって得ている年間の事業者所得が48万円以下で、かつ他の所得が無い方は確定申告は必要ありません。なぜなら、所得税の基礎控除が48万円であるため、飲食店の所得が48万円に満たない場合は所得税の課税対象額が0円以下になるからです。

ここで事業所得についておさらいしておきましょう。事業所得は飲食店の売上ではありません。飲食店の売上から、人件費や食材原価などの必要経費を差し引いて残る利益が事業所得です。

たとえば、売上が200万円で必要経費が160万円ある飲食店の事業所得は40万円になり、確定申告は不要と判断できます。

副業所得が20万円以下

飲食店経営者がほかに副業をしていたとしても、その収入が20万円未満の場合は確定申告の義務はありません。副業をしている場合は20万円を超える金額の所得があるかどうかで確定申告の有無は変わります。

ここで注意しなければいけない点が、収入ではなく所得ということです。事業所得の考え方と同じように、収入から経費を差し引いた金額によって判断します。

たとえば、給与所得者が副業をしていて、年間30万円の収入を得たとします。そのうち経費が15 万円発生したとしたら「30万円−15万円=15万円」と計算できるため、このケースの場合、確定申告は必要ありません。

ただし、この副業所得が20万円以下の場合は確定申告が不要になるルールが適用される人は給与所得者のみです。個人事業主として飲食店を経営している方は該当しないので注意しましょう。

2,000万円以下の給与所得者

会社と雇用契約を結ぶ飲食店経営者(給与所得者)で、かつ給与が2,000万円以下の方は確定申告は不要です。言い換えると、個人事業主ではない飲食店経営者は、給与2,000万円を超えると確定申告が必要ということになります。

2,000万円というと一般的に高額収入であり、当てはまる人は割合としては少ないですが、飲食店経営者の方のなかには超える人もいるでしょう。

給与所得者は、基本的に会社で年末調整をおこないます。しかし、2,000万円を超える収入の場合、会社では年末調整をおこなえないため自身で確定申告する必要が出てきます。

会社と雇用契約を結んでいる飲食店経営者の場合でも、場合によっては確定申告が必要になる場合があるため、毎年きちんと確認するようにしましょう。

飲食店が確定申告しないとどうなる?

飲食店経営者の場合でも、とくに給与所得者は確定申告が不要なケースが多いことがわかりました。しかし、確定申告が必要な飲食店であるにも関わらず申告しないという場合は、さまざまなデメリットやペナルティがあります。

ここでは、飲食店が確定申告しないと起こるリスクについてご紹介します。

追加で徴税される

確定申告の義務がある飲食店が確定申告をしないと、追加で徴税されるペナルティがあります。本来納めるべき税金にくわえて、さらに罰金が発生するのです。罰金の重さは状況によって異なりますが、主に以下の税金が課せられます。

無申告加算税:確定申告の期限までに申告をしなかった場合
延滞税:税金を期限までに納税しなかった場合
重加算税:確定申告をしない場合のもっとも重い罰金

税務調査があり、税金が納められていないことが判明したら無申告加算税として15%または20%の税率が課せられます。

しかし、調査が入る前に自分で確定申告をした場合は5%の税率に抑えられるため、確定申告の期日が過ぎた場合でも諦めず、できるだけ速やかに申告するようにしましょう。

収入の証明ができない

確定申告をしないと収入を証明する書類がなくなるため、市町村から納税証明書を発行してもらうことができません。

確定申告は収入に対する適切な税金を納めるためだけのものではなく、収入を証明する役割も担います。収入の証明ができないと、飲食店を大きくするための資金調達や各種補助金、給付金の申請もできなくなる恐れがあるのです。

とくに個人事業主で飲食店を経営する方は、所得の少ない場合でも収入を証明するための書類として確定申告をおこなう必要があるでしょう。

所得控除ができない

確定申告をおこなうことで、所得や税額からさまざまな控除を受けられることをご存じですか?

確定申告では、基礎控除・医療控除などの制度を利用して、所得から対象の金額を差し引くことが認められています。たとえば、年間の医療費の自己負担額が一定額を超えていたら「医療費控除制度」として払い戻しを受けられます。

しかし、これらは確定申告をすることではじめて利用できる制度のため、申告しなければ損をすることになるのです。

還付金が受け取れない

所得控除と同じく、還付金も確定申告をしないと受けられない制度のひとつです。還付金とは、所得税の納めすぎなどの理由によって、返還されるべき税額のことを指します。

すでに支払い済みの税金が1年間の所得に対する税額より多い場合は、確定申告をすることで差額が還付されます。

確定申告をしないことにはいくら高額な還付金があったとしても返還されることはないため、注意が必要です。

義務のない飲食店が確定申告するメリット

飲食店の店長先述した「飲食店経営者が確定申告しないでもよいケース」に該当したとしても、確定申告をおこなうことでメリットを得られる場合があります。

最後に、義務のない飲食店が確定申告をおこなうと、具体的にどのようなメリットがあるのかについてご紹介します。

1.最長3年間赤字を繰り越せる

飲食店が赤字で、かつ青色申告を申請している場合は、確定申告をすると最長3年間赤字を繰り越せるというメリットが得られます。

これは青色申告をした人のみ利用できる「繰越控除」という制度で、次年度以降の黒字額から赤字額を相殺して申告できるものです。

たとえば、飲食店で去年は100万円の赤字で、今年は500万円の黒字だった場合、去年の赤字100万円を今年分から差し引き、400万円の黒字として申告できます。

飲食店経営は経営が不安定だったり、初期投資に費用がかさんだりして事業が赤字になるケースも少なくありません。そんなとき、青色申告をしておけば、翌年の所得から相殺でき、大きく節税することができるのです。

2.納め過ぎた分の税金が還付される

飲食店経営者でも、報酬を受け取る際に源泉徴収として先に納税をおこなっているケースは多いです。しかし、その源泉徴収では所得控除や必要経費が考慮されておらず、税金を多く収め過ぎてしまっている状態にあります。

確定申告の義務がない場合でも、納め過ぎた分の税金の還付を受けることができるケースが少なくありません。

3.所得控除を受けられる

義務がない人でも、確定申告をおこなうことでさまざまな節税メリットがあります。確定申告をおこなうときには基礎控除以外の所得控除が複数あり、主に以下の種類の控除が受けられます。

  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 扶養控除
  • 配偶者控除・配偶者特別控除
  • 医療費控除
  • 雑損控除
  • 障害者控除
  • 勤労学生控除
  • 寄附金控除
  • ひとり親控除・寡婦控除

これらの中から受けられる控除をきちんと申告すれば、納税額を軽減することができます。少しでも自己負担額を減らすために、漏れなく申告するようにしましょう。

まとめ

飲食店を経営する方は、確定申告が必要なケースと不要なケースに分かれますが、義務があるにも関わらず確定申告をしないと、通常の税金にくわえて追徴課税も課せられます。

確定申告をおこなうことで赤字を繰り越せたり、さまざまな控除や還付が受けられたりするため、義務がないから確定申告しないのではなく、必要性に合わせて申告することがおすすめです。

確定申告の有無や、やり方がわからない方や不安な方は、まず税金のプロである税理士へ相談してみましょう。

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