飲食店開業に必要な資格について|手順や注意事項を解説

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2025/11/12

飲食店開業に必要な資格について|手順や注意事項を解説

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飲食店を開業するのに必要な資格や許可申請は何がいるの?必要な資格を準備せずに開店準備を進めてしまうと、いざ開店しようという時に開店できない事態もありえます。無許可で経営すると罰則がある場合も。

今回の記事では飲食店を開業しようとしている皆様の疑問である、以下の疑問について解説してきます。

「飲食店を開業するにあたって必要な資格はあるの?」

「調理師免許は必要ではないの?あると良い資格は?」

「それぞれの資格を取得するのに必要な期間と費用はどれくらい?」

飲食店開業にこの資格はいるの?と悩んだ方は必見です。必要な資格を忘れずに申請してスムーズな開業を目指しましょう。

飲食店開業で必ず必要な資格について

ビールサーバーまず飲食店を開業するうえで必ず必要な資格について説明をしていきます。しっかりチェックしていきましょう。

「食品衛生責任者」と「食品衛生管理者」の違い

飲食店の営業許可に必須なのが「食品衛生責任者」です。

施設ごとに1名以上を設置し、日々の衛生管理(計画・手順書の周知、記録、見直し)を担います。講習修了や有資格者で充足でき、一般的な飲食店ではこの設置が前提です。

これに対し「食品衛生管理者」は、ハム・ソーセージ、粉乳、添加物など一部の製造・加工業で義務づけられる国家資格相当の専任者で、該当業種の工場等に置きます。

なお、食品衛生管理者は食品衛生責任者を兼ねることができますが、逆は不可ですので違いを覚えておきましょう。

まずは絶対必要な”食品衛生責任者”

飲食店を開店すると決まったら「食品衛生責任者」を取得しましょう。食品衛生責任者は飲食店全てで必要な資格で、保健所に店舗の営業許可申請をする際に必要です。お店の誰か1人が必ず持っている必要がありますが、店長でなくても問題はありません。

ただし同じ1人の食品衛生責任者に複数店舗を任せることは原則出来ないため、注意しましょう。

食品衛生責任者ってどんなものなの?

食品を取り扱う施設の衛生管理をする責任者のことで、各都道府県の食品衛生法施行条例で以下のように定められています。

①食品衛生上の危害発生防止のため、施設の衛生管理及び食品又は添加物の取扱い等に関する計画を作成し、食品又は添加物を取り扱う者及び関係者に周知徹底を図ること。

②施設設備、機械器具の構造及び材質並びに食品の製造、加工、調理、運搬、貯蔵又は販売の工程を考慮し、これらの工程において公衆衛生上必要な措置を適切に行うための手順書を必要に応じて作成すること。

③衛生管理の実施状況を記録し、保存すること。なお、記録の保存期間は、取り扱う食品又は添加物が使用され、又は消費されるまでの期間を踏まえ、合理的に設定すること。

④衛生管理計画及び手順書の効果を検証し、必要に応じてその内容を見直すこと。

食品衛生責任者養成講習会より一部抜粋

食品衛生責任者は各都道府県等の食品衛生協会実施の講習会を受けて取得可能です。以下に東京の場合ですが、講習費用と講習時間を記載しておきます。

食品衛生責任者取得費用と講習時間

食品衛生協会実施 食品衛生責任者養成講習会(東京の場合)

・食品衛生学  2時間30分

公衆衛生学  30分

・食品衛生法  3時間

計6時間(テスト含む)

費用:12,000円(教材費込み)

似たような資格で「食品衛生管理者」がありますが、こちらは国家資格で食品衛生責任者とは異なります。「食品衛生責任者」は1日講習を受けるのみで受講修了書をもらえます。また調理師免許や栄養士、製菓衛生師の資格を持っている場合や特定の大学を卒業していた場合は食品衛生責任者の講習が免除となります。

ここで注意して欲しい点は、取得していた人が退職した場合は新たに食品衛生責任者を置く必要があり、手続きをしない場合、営業停止などの罰則もありえます。取得するまでに時間がかかるため、誓約書を提出することで少しの期間、食品衛生責任者不在でも営業は可能です。以下に手順をまとめておくので、取得していた人が退職した際は気をつけましょう。

食品衛生責任者の講習免除の対象と必要書類

調理師・製菓衛生師・(管)栄養士・船舶料理士、食鳥処理衛生管理者、と畜場法の衛生管理責任者等、または食品衛生管理者/監視員の資格要件を満たす方は、養成講習の受講が免除されます。

免除で手続きする際は、該当資格の免許証や修了証など資格を示す書類の写し、本人確認書類の提示・提出が求められます(細目は所管保健所で確認)。

食品衛生責任者が退職した際の手順

  1. ①新しい食品衛生責任者を決める
  2. ②食品衛生責任者養成講習会に申し込む
  3. 管轄の保健所に講習会の受講予約票と「食品衛生責任者設置誓約書」を提出する
  4. ④受講終了後、食品衛生責任者変更届を保健所に提出する

上でも少し記載しましたが、食品衛生責任者が不在のまま営業したり、他人名義で営業すると、食品衛生法により2年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

防火管理者

店舗の規模によっては「防火管理者」も必要な資格になってきます。スタッフを含めた収容人数が30人以上になる場合に必要となる資格です。都道府県、消防署、日本防火・防災協会実施の講習会を受けて取得可能です。防火管理者も食品衛生責任者と同じく講習だけで取得できます。

また防火管理者には甲種、乙種の2類あり、店舗の規模によって異なります。甲種は全ての防火対象物、乙種は比較的小規模な防火対象物の場合となります。

一例ですが、店舗が300㎡以上の場合は甲種、300㎡未満の場合は甲種か乙種の講習を受講することとなります。一例と記載したのは、店舗の用途、規模、収容人員によって変わってくるので事業所を管轄する消防本部(局)、消防署に問い合わせてみましょう。

防火管理者の役割

防火管理者の主な役割は、火災の発生を未然に防ぎ、万が一火災が発生しても被害を最小限にとどめる対策をすることです。主な仕事は、消防計画の作成、消防訓練の実施、避難路等の維持管理です。

防火管理者取得費用と講習内容

・甲種

防火管理の意義及び制度、火気管理、施設・設備の維持管理、防火管理に係る訓練及び教育、防火管理に係る消防計画など

おおむね10時間講習、2日間

費用:8,000円

・乙種

甲種の講習事項のうち、基礎的な知識及び技能

おおむね5時間、1日間

費用:7,000円

日本防火・防災協会より参照

こちらの防火管理者も取得していた人が退職した場合は新たに防火管理者を置く必要があり、速やかな変更が行われなかったり、不在のまま経営すると罰則などがあります。以下に手順をまとめておくので、変更する際は忘れずに手続きしましょう。

防火管理者が退職した際の手順

  1. ①前任者を解任する(解任届出の提出)
  2. ②後任者を選任する
  3. ③管轄の消防所長に届け出て、防火管理者の仕事を担う

食品衛生責任者とは異なり、前任者を解任する必要があるので気をつけましょう。防火責任者も不在のまま営業したり、他人名義で営業すると、消防法により6ヶ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金(防火管理者選任命令に従わなかった場合)に処せられる可能性があります。

調理師免許は必ず必要な資格ではないの?

よく飲食店を開業する際に「調理師免許は必要?」と思われる方が多いのですが、調理師免許はなくても開業可能です。調理師は調理師と名乗れる資格で、資格を持っていない人が調理師を名乗ると法律で罰則があります。

調理師としてキャリアアップしたい人、ホテルや給食提供などの仕事に就きたい人は、調理師免許を取得すると良いでしょう。

調理師免許がいる際のメリット

  1. ・調理師と名乗ることが出来る
  2. ・食の管理や衛生に幅広い知識
  3. ・お客様に「調理師が作った料理」と安心感を与えられる

調理師免許を取得したい場合、以下の方法があります。

調理師を養成する施設や専門学校を卒業する

厚生労働大臣が指定した施設や学校でないと取得出来ないため気をつけましょう。

施設や飲食店で調理の実務を2年以上経験し、調理師試験に合格する

調理師試験は6科目あり、調理理論、食品衛生学、公衆衛生学、栄養学、食品学、食文化概論で、費用は各都道府県により異なりますが、6,000円前後かかります。

飲食店開業で必ず必要な許可申請について

先ほどは「食品衛生責任者」と「防火管理者」について説明しました。今からはそれ以外の必要な許可申請について説明していきます。

営業許可の有効期間と更新

食品営業許可の有効期間は原則5年間。満了後も営業を継続する場合は、期限前に「継続申請」をして、保健所の施設確認(立入)と、食品衛生責任者の実務講習受講を経て、更新許可証の交付を受けます。

手数料や運用は自治体条例で定められているため、管轄保健所の案内を事前確認しましょう。

食品営業許可

「食品営業許可」は調理したり、料理を提供して飲食してもらう場合は必ず保健所に申請する必要があります。申請すればすぐもらえる許可ではなく、保健所の審査に合格する必要があるため、余裕を持って開店する2〜3週間に申請をしておきましょう。無許可営業は罰則もあります。

食品営業許可の申請方法

  1. ①管轄の保健所へ事前に相談する
  2. ②電子又は窓口申請
  3. ③立会い調査
  4. ④許可証の受け取り

①の事前相談がポイントで、食器棚や手洗いなど設備について細かい決まりがあるため、工事の着工前に保健所へ相談し確認することで、手直しする必要がなくなり無駄が省けます。もし可能なら設計者の方と一緒に行くのがおすすめです。また相談の際に申請に必要な書類についても確認しておきましょう。

飲食店の営業許可を取得する際の費用については、飲食店の営業形態や、地域、保健所によって異なりますが、10,000円〜20,000円ほどと言われています。こちらも合わせて保健所で確認するようにしましょう。

HACCPに沿った衛生管理の基本

2021年6月1日以降、全ての食品等事業者に「HACCPに沿った衛生管理」が義務づけられています。

小規模飲食店を含む多くの店舗は「考え方を取り入れた衛生管理」で足りますが、いずれも以下のPDCAが基本です。

  1. ①衛生管理計画の作成(一般衛生管理+重要管理のポイント)
  2. ②計画の実施
  3. ③実施結果の記録と保存
  4. ④定期的な検証・見直し

各業界別「手引書」を使うと、様式・記録例までそのまま使え、工事前の設計検討や開店前準備がスムーズになります。

菓子製造業許可申請

「菓子製造業許可申請」はパンやお菓子のテイクアウトや卸売業の場合に必要となってきます。

お店で焼いたパンやお菓子を店内で飲食する場合は飲食店営業許可のみで大丈夫ですが、テイクアウトや通信販売をする場合は菓子製造業許可の申請が必要です。必要か分からない場合は各都道府県の保健所に確認しておきましょう。

個人事業の開廃業等届出書

法人ではなく個人事業主として開業する場合は開業届が必要です。提出先は所轄の税務署で特に講習会や手数料はありません。開業後1ヶ月以内に提出しなければ公式に開業したと認められません。

開業届を出す際に、一緒に「青色申告承認申請書」も提出しておくと良いでしょう。青色申告は、確定申告時に最高65万円の控除が受けられます。

深夜における酒類提供飲食営業開始届出書

「酒類提供飲食営業開始届出書」は、深夜0時以降に酒類を提供する場合に警察署へ申請が必要です。住居地域では営業が出来ないため、0時以降も酒類を提供する場合は物件契約前に不動産屋などに確認しておきましょう。営業開始10日前には申請しておく必要があるので、早めに準備しておきましょう。

警察署によって必要書類が異なるため、管轄の警察署に確認してみてください。申請に手数料はかかりません。

こまでで必要な資格や申請について説明しましたが、上記以外にも業態によっては必要な届出もあるため、自分の店にはどんな届出が必要なのかを確認するようにしましょう。

飲食店開業であると便利な資格について

飲食店スタッフ先ほどは必ず必要な資格と申請について説明しました。次は飲食店を開業する際にあると便利な資格についてご紹介していきたいと思います。

栄養士免許

栄養士と管理栄養士の免許があり、どちらも栄養や食事ついてアドバイスや管理を行いますが、対象が異なります。栄養士は、主に健康な人を、管理栄養士は、国家資格で健康な人だけでなく傷病や特別な配慮が必要な人を対象にしていて、学校や保育園、病院でアドバイスもします。

もし野菜料理やヘルシーさを売りにするお店の場合、管理栄養士や栄養士がいるとセールスポイントになるでしょう。

接客サービスマナー検定

「接客サービスマナー検定」は、NPO法人日本サービスマナー協会が行なっている民間資格です。接客サービスの高度な能力・知識の検定のため、飲食店だけでなくホテルやブライダルでも活用出来ます。

NPO法人日本サービスマナー協会より参照

コーヒーマイスター

日本スペシャルティコーヒー協会が発行している認定資格です。コーヒーマイスター養成講座を修了して認定試験に合格すると、コーヒーマイスターとして認定されます。

コーヒーに対するより深い知識と基本技術の習得をベースとして、お客様へ豊かなコーヒー生活が提案出来るプロのコーヒーマン(サービスマン)として認定されます。

コーヒーを取り扱うお店の場合、お客様へのセールスポイントにもなります。

日本スペシャルティコーヒー協会より参照

ワインソムリエ

ワインソムリエは保存や管理だけでなく、お客様に合ったワインを選び、分かりやすく説明する専門家のことです。

海外ではソムリエは国家資格のため世界で通用する資格として取得したい場合は海外で試験を受ける必要があります。日本は国家資格ではなく民間資格のため、誰でも試験を受けることが可能です。

日本のソムリエ認定をする民間団体は「日本ソムリエ協会(JSA)」「全日本ソムリエ連盟(ANSA)」の2つの団体があります。受験資格(実務経験があるか)が大きな違いとしてあげられます。

日本ソムリエ協会(JSA)は、一定期間アルコールを扱う仕事で働いていた実務経験がないと受験することができず、全日本ソムリエ連盟(ANSA)は、実務経験がなくても受験が可能です。

ワインソムリエの資格を持っていることでお客様からの信頼が得られて大きなセールスポイントとなるでしょう。

一般社団法人日本ソムリエ協会(JSA)より参照

全日本ソムリエ連盟(ANSA) より参照

日本酒ソムリエ(唎酒師)

日本酒ソムリエという資格はありませんが、日本酒のソムリエと言われている資格として「唎酒師(ききざけし)」という資格があります。唎酒師は日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)による認定、NPO法人FBOが公認する提供販売者の資格です。

唎酒師は日本酒に関する知識だけでなく、テイスティング方法や提供の仕方など、日本酒のプロフェッショナルのことを言います。唎酒師の資格を持つことで、日本のお客様だけでなく海外からのお客様にも喜ばれることも多く大きなセールスポイントになります。

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会より参照 

失敗しやすい資格・届出のミス事例とその回避策

飲食店の開業準備は多岐にわたり、特に資格取得や行政手続きには細かいルールが存在します。しかし、スケジュール管理の甘さや書類の不備によって、開業が遅れる・営業停止になるといったトラブルも珍しくありません。

この章では、飲食店の開業時によくある「失敗事例」と、それを未然に防ぐための具体的な対策をご紹介します。

食品衛生責任者の取得が間に合わない

開業前に受講が必須となる「食品衛生責任者講習」は、人気の自治体では数週間〜1ヶ月先まで予約が埋まっていることもあります。

直前に申し込もうとして開業スケジュールに遅れが生じるケースが多いため、物件契約前から講習スケジュールの確認が必須です。

営業許可申請時の図面ミス

営業許可の取得には、厨房・手洗い・ゴミ置き場などの配置図が必要ですが、不備や書式違反で保健所に差し戻されることがあります。

専門業者に図面作成を依頼する、もしくは事前相談で確認を受けるのが安全です。

深夜営業に関する届出漏れ

22時以降に酒類提供を行う飲食店は、「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」が必要です。これを提出せずに営業を始めると、行政からの指導や営業停止リスクが発生します。

夜間営業を計画している場合は早めの確認が重要です。

まとめ

今回の記事では、飲食店を開業する際に必要な資格や許可申請について説明しました。食品衛生責任者と防火管理者は取得者が退職した場合、手続きも必要なので気をつけましょう。無許可で営業すると罰則もあります。

また開業に必要ではない場合でも、自分のお店の売りに出来るような資格を持っているとお客様へのセールスポイントにもなるので、是非コンセプトにあった資格取得も目指してみてください。

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