開業
2023/08/24
日本の国民食として長く親しまれているカレーは、家庭でも外食でも人気があります。カレーの人気が長期間安定しているため、将来的にはカレー屋を開業を考えている方もいるでしょう。
そこで本記事では、カレー屋を開業を考えている方に向けて、必要な資金や許可、資格などについて詳しく解説します。
「カレー屋を開業するメリット・デメリットとは?」
「カレー屋の開業資金はどれくらい?」
「カレー屋を開業するのに必要な資格」
カレー屋を開業する際のメリットや、経営を助けるポイントについてもお伝えしますので、カレー屋の開業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
カレー屋を開業する場合だけでなく、何か新しいことを始める際には、メリットとデメリットをしっかりと把握することが重要です。
以下では、カレー屋の開業におけるメリットとデメリットについて詳しくご紹介します。
カレー屋の主なメリットは以下の3つです。
カレーはその美味しさと多様なバリエーションから、幅広い世代に愛されています。若い世代からシニア層まで、幅広い年齢層の人々がカレーを楽しむことができます。
そのため、ターゲット顧客層を広く設定することができ、潜在的な顧客層も多いことが特徴です。
カレーは手軽に食べられるメニューであるため、飲食店の中でも比較的短時間での来店と退店が可能です。
これにより、カレー屋は回転率が高い傾向にあります。特にランチ時や仕事帰りの「ちょい飲み」など、スピーディーな提供が求められるシーンでの需要が高くなります。
高い回転率は売上の増加につながるため、経営効率の向上にも繋がります。
カレー屋の開業では、様々な出店スタイルから選択が可能です。例えば、カフェスタイルのカレー専門店、テイクアウト専門のカレー店、屋台やフードトラックでの展開などがあります。
経営者のニーズや目指す店舗のイメージに合わせて、最適な出店スタイルを選ぶことができます。出店スタイルを変えて展開することで、より幅広い顧客層にアプローチできる利でしょう。
もちろん、デリバリーによる販売方法も考えられます。
店舗での出店には一定の資金が必要ですが、将来の店舗経営を見据えて、資金やコンセプトに合わせた形態での開業を検討しましょう。
一方でカレー屋で考えられる主なデメリット(注意点)は以下の2つです。
カレー屋のデメリットとして挙げられるのは、客単価を上げることが難しい点です。カレーは一般的に手軽な料理として親しまれており、安価な価格帯を維持することが求められます。そのため、高級な料理と比べると利益率が低くなりがちです。
カレーはカジュアルなイメージが強く、メニューの価格を高額に設定することは、お客様に受け入れてもらいにくいことがあります。そのため、利益を確保するにはコスト管理が重要であり、工夫が必要となります。
カレーの人気は幅広い世代に広がっていますが、その人気ゆえに競合他社も多いというデメリットがあります。特に都市部では老舗のカレー屋から新規参入のカフェまで、様々なカレー店がひしめいています。顧客を獲得し、維持するためには差別化や独自の魅力が必要不可欠です。
カレーは日本人に愛され続けてきた国民食であり、多くの人が懐かしさや親しみを感じる料理です。そのため、カレー市場には数多くの企業が参入しています。
顧客のニーズやトレンドにも常にアンテナを張り、柔軟に対応することが成功の鍵となるでしょう。
カレー屋を開業する際には、様々な費用がかかります。ここでは、カレー屋の開業資金の目安として、主な費用項目を紹介します。
カレー屋の開業には、物件契約費、内外装工事費、設備投資費、広告宣伝費などの初期費用が必要です。一般的には約350万円から800万円程度が目安ですが、キッチンカーを使う場合は約200万円程度で済むこともあります。
また、フランチャイズを利用する場合は、初期費用にかなりの差があり、2,000万円から3,000万円のところもあれば、100万円から300万円で収まるケースも少なくありません。
カレー屋の開業後は、店舗を運営していくためのランニングコストが発生します。主に、物件の賃貸料、人件費、原材料費、水道光熱費、広告宣伝費などが含まれます。
ランニングコストは、出店場所の賃貸料だけでなく、提供するカレーによっても原材料費が異なります。たとえば、素材にこだわるスープカレーであれば、肉や野菜の原材料費が高くなるでしょう。
一般的に、少なくとも月に100万円程度のコストがかかりますが、キッチンカーを使用する場合は、賃貸料が不要となります。
開業するスタイルによってコストが異なるので、よく考慮して計画することが重要です。
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カレー屋を開業する際、法的に必須な資格のほかに、取得しておくと良い役立つ資格があります。ここでは、カレー屋の開業に必要な資格について見ていきます。
飲食店を開業するときには、全業態共通で以下の資格の取得が必須です。
カレー屋をキッチンカーで営業する場合は保健所が設ける施設基準を満たす必要があります。地域によって施設基準が異なるため、事前に営業が認められるか保健所で確認しましょう。
飲食店の開業に必要な資格については、以下の記事で詳しく解説しています。
カレー屋を開業する上で必須ではないものの、知識を持つことで役立つ資格があります。特におすすめなのは「カレーマイスター」と「カレーエキスパート」の2つです。
カレーマイスターは、日本野菜ソムリエ協会が発行する資格で、カレーに関する知識をアピールできます。
カレーエキスパートは、日本カレー機構が発行する資格で、カレーの専門家として活動できます。カレーの実務経験が必要で、認定試験の合格や講座の受講などが必要です。取得が難しい分、店舗の信頼度や顧客からの信頼度が向上します。
カレーの知識を持つことはメニュー開発や他社との差別化にもつながります。興味のある方は、資格取得を目指してみるのも良いでしょう。
カレー屋の開業を成功に導くための重要なポイントがあります。その中でも特に注目すべきは、以下の2つのポイントです。
成功するカレー屋の第一歩は、明確なコンセプトを持つことです。
自分のカレー屋がどんなスタイルで、どんなテーマ性を持つかをしっかりと考え抜きましょう。カレーの種類や辛さ、提供するサイドメニューやドリンク、店内の雰囲気やデザイン、ターゲットとする顧客層など、細かな部分までを練り上げることが大切です。
一貫性のあるコンセプトは、顧客に強烈な印象を与え、ファンを増やす基盤となります。
カレー屋の成功に欠かせないもう一つの要素は、オリジナル性のある味を提供することです。スパイス配合にこだわり、他の店とは一味違う独自のカレーを創り出しましょう。
地域や文化に合わせた特色あるレシピや、新しい組み合わせのトッピングなど、アイデア次第で無限の可能性が広がります。
お客様に「ここでしか味わえないカレー」という体験を提供することで、リピーターを増やし、口コミで評判を広げることができます。
全業種に共通して言える成功のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:飲食店を開業しても失敗してしまう原因は?
最後に、カレー屋の開業に興味がある方からよく寄せられる質問にお答えします。皆さん共通の疑問があるようですので是非参考にしてみてください。
カレー屋の平均年収は、さまざまな要因によって異なります。店舗の規模や立地、集客力、料理の質などが影響しますが、一般的には500万円から600万円程度が目安とされています。
ただし、成功するカレー屋はより高い収益を上げることもあり、もちろん1,000万円を超えるケースも存在します。
カレー屋では、一皿の価格が高くないことが多いため、1日に多くのお客様を呼び込むことが年収に大きな影響を与えます。
一般的な原価率は30%程度です。ただし、カレー店によって原価率は大きく異なります。
具材や香辛料・調味料などにコストを重視する店舗では、原価率が35%〜になることもあり、一方で、大量にまとめて作れば原価を下げることができる場合もあります。
カレー専門店でない場合は、業務用のレトルトを使用して原価を抑える考え方もありますが、味では他の競合店に劣る可能性があるでしょう。あるいは、カレーの原価にこだわりつつも、サイドメニューやドリンクでバランスを調整することも考慮されます。
カレーの原価にとらわれず、全体的なコストを考慮することが重要です。
カレー屋の開業時に外国籍の方が働く場合は、在留カードと在留資格が必要です。在留資格は個人によって異なり、就労ビザを持たない場合は「在留資格認定証明」や「資格外活動許可」の手続きが必要です。
雇用前にしっかり確認しましょう。
カレー屋の開業は幅広い世代に人気があり、高い回転率が期待できますが、客単価を上げるのは難しく、競合も多いです。
開業には約350万円〜800万円の資金が必要で、食品衛生管理責任者資格などが必須になります。
今回ご紹介した成功のポイントを活かして慎重に計画し、成功を目指しましょう。