飲食店開業を自宅で!必要な資格・届出・許可や確認事項を紹介

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2023/06/13

飲食店開業を自宅で!必要な資格・届出・許可や確認事項を紹介

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飲食店開業を検討する際に、店舗用の物件を新たに取得するのではなく、自宅での営業を選択肢に入れている方もいるのではないでしょうか。1階はカフェの経営、2階は自宅として利用する経営体系は珍しくありません。

そこで今回は、自宅での飲食店開業を検討している方が気になる以下の疑問や悩みについて解説していきます!

「自宅で飲食店を開業するときに必要な資格は?」

「自宅で飲食店を開業するときはどんな許可が必要?」

「飲食店を自宅で開業するときの条件は?」

自宅で飲食店を開業するメリット・デメリットや、開業前に確認したい項目についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

自宅での飲食店開業に必要な資格

自宅でカフェ飲食店を開業するときは、自宅かどうかに関わらず「食品衛生責任者」は取得必須の資格であり、店舗規模によっては「防火管理者 」も必要になります。

1.食品衛生責任者

食品衛生責任者は、食品や設備の衛生を管理する役割がある資格です。飲食店1店舗につき1人以上の配置が求められます。

食品衛生法に基づいて作成された「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関するガイドライン」によって、設置が義務付けられているため、食品衛生責任者が不在で飲食店は開業できません。

食品衛生責任者の資格は、主に以下の方法で取得できます。

  1. 食品衛生協会が実施する「食品衛生責任者養成講習会」を受講する
  2. 免除条件となる資格(調理師・栄養士など)を取得する

「食品衛生責任者養成講習会」では、食品衛生法や衛生管理、食品の取り扱いなどの講義を受け、食品衛生に関する知識や技術を取得できます。

自治体によって講習開催日は異なり、年間を通して講習回数も多くないため、飲食店の開業を決めたら余裕を持って受講しましょう。申し込み方法や講習スケジュールは、食品衛生協会のホームページより確認できます。

 2.防火管理者

防火管理者は、飲食店に30人以上が収容される場合に必要となる資格です。店舗火災を未然に防ぐために対策をとったり、火災時の対応を取りまとめ管理する役割を持ちます。

具体的には、消防機器のチェックや消防計画の作成をおこない、飲食店の火災を回避します。

ここで注意したい点が、防火管理者は店舗の収容人数が30名以上の場合に必要な資格ということです。客席数でもお客さんが入る人数でもなく、お客さんと従業員を合わせた人数が30名以上であれば、資格取得が必要です。

また、飲食店の延床面積によって取得資格が異なるため、併せて確認しておきましょう。

  • 甲種防火管理者:延床面積300平米以上
  • 乙種防火管理者:延床面積300平米未満

防火管理者は「防火管理者講習」を受講し、効果測定に合格することで取得できます。

資格の種類によって講習時間や受講料が異なるだけでなく、消防署や防火協会によって受験日程も違います。余裕を持った詳細確認がおすすめです。

調理師免許は必須の資格ではない

飲食店の開業を検討している方がよく誤解しているのが「調理師免許」の扱いです。飲食店を営業する際に調理師免許はあって越したことはありませんが、取得必須の資格ではありません。

調理師免許は調理技術や食に関する専門知識を保有していることを証明する資格です。

ホテル内やレストランの調理人の求人の応募要件として明記されていることはありますが、調理師免許を取得せずとも、自宅で飲食店は開業できます。

自宅での飲食店開業に必要な届出・許可

自宅で飲食店を開業する際には、資格だけでなく許可や届出が必要になります。ここでは、自宅で飲食店を開業するために必須なものと、場合によって必要になる届出をご紹介します。

1.飲食店営業許可(保健所)

飲食店営業許可とは、文字通り飲食店を営業するために必ず取らなければいけない許可です。食品衛生法に基づいた基準を保健所に検査してもらい、許可書の交付を受けなければいけません。

飲食店営業許可は、基本的に以下の手順によって取得できます。

  1. 所轄の保健所に手続き方法・必要書類を確認する
  2. 必要書類を揃えて保健所へ申請する
  3. 保健所による飲食店(自宅)の実地検査がおこなわれる
  4. 検査結果に問題ない場合は営業許可が発行される
  5. 自宅で飲食店の開業ができる

保健所への相談から営業許可が交付されるまでは、通常2週間ほどかかります。ただし、実地検査によって問題が見つかった場合には、その問題が解決するまでは許可がおりません。

開業予定日から逆算して考え、余裕を持って取得しましょう。

2.開業届・税務書類(税務署)

自宅で飲食店を開業するときは、開業届とさまざまな税務書類を税務署へ提出する必要があります。

開業届とは、新たに事業を開始したとき・廃業したときに提出が求められる届出です。期限は事業開始から1ヶ月以内で、税務署の窓口に持参、または郵送で提出しましょう。

その他、必要に応じて以下の税務書類も提出します。

  • 青色申告承認申請書
  • 給与支払事務所などの開設届出書
  • 事業開始等申告書
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書

税務書類の作成は複雑であり、知識がないと難しいケースも多いです。正確な書類を提出できるように、不安点や疑問点はそのままにせず、速やかに税理士へ相談しましょう。

場合によって必要な届出一覧

自宅での飲食店開業の場合でも、規模や業種、営業時間などの条件によって必要な届出は異なります。

先述した許可や届出のほかに、場合によって必要となる届出を一覧にしてご紹介します。

届出 対象となるケース 提出先
防火管理者選任届 店舗収容人数30名以上 消防署
防火対象使用開始届出 自宅飲食店の内装工事を実施した 消防署
深夜酒類提供飲食店営業開始届 深夜12時以降に酒類を提供する 警察署
風俗店営業許可 自宅で接待を伴う営業を開始する 警察署
法人成立届出 自宅飲食店を法人化する 税務署
雇用保険適用事業所設置届 従業員を雇って営業する 公共職業安定所
雇用保険被保険者資格取得届 従業員を雇って営業する 公共職業安定所
労働保険の保険関係成立届 労働保険の適用事業となった 労働基準監督署

自宅で飲食店を開業する場合でも、従業員を雇ったり、深夜に酒類を提供したりするなど、内容によって手続きは異なります。

どのような飲食店を開業するのか、イメージしている飲食店を開業する場合はどんな許可が必要なのかをきちんと確認することが大切です。

飲食店を自宅で開業するメリット・デメリット

飲食店の店内自宅に飲食店を開業する際に必要な資格や許可だけでなく、事前にメリット・デメリットも押さえておくことも重要です。活かせるメリット、対策できるデメリットを知り、安定した経営に繋げましょう。

メリット|リスクを抑えて始めやすい

自宅で飲食店を開業する1番のメリットは、低コスト・低リスクであることです。

たとえば、自宅とは別に店舗を取得すると80〜300万円程度の費用がかかり、規模やこだわり方にもよりますが、合計で500〜1,000万円程度の開業資金がかかります。

一方で、自宅で飲食店を開業するときは物件取得の必要がないため、従来の賃料のみで済み、低コストで開業が叶います。

万が一うまくいかなかったときも、退去費用や違約金を払う必要がないため、リスクを最大限に抑えて飲食店がスタートできるでしょう。

さらに、将来的には実店舗を持ちたいと考えている方の練習や修行として活用することも可能です。自宅での小さな飲食店から始め、経営ノウハウや利益を蓄積し、実店舗を開業するという選択肢もあるでしょう。

デメリット|近隣トラブル・セキュリティリスク

自宅を飲食店として利用するときに気をつけたいのが、近隣トラブルです。

飲食店からの調理のにおいや煙、お客さんの声などが原因で近隣住民から苦情が出ると、トラブルになるだけでなく、飲食店の評価が下がり閉店に追い込まれる可能性も考えられます。

とくに住宅など、物件が集まっている地域に飲食店を開業する場合は、排気口を住宅地に向けない工事や常に清潔に保つ、防音加工をおこなうなどの工夫が必要です。

また、自宅のセキュリティ対策も怠ってはいけません。自宅を飲食店として開業すると、不特定多数の方が敷地内を出入りすることになります。すると、気づかないうちに居住スペースに侵入されていたり、お客さんを装った空き巣に入られたりするリスクが上がるでしょう。

居住スペースと店舗スペースの境目を明確にする、住居と客席の間を厨房で挟み外鍵をつけるなど、万全なセキュリティ対策が必要です。

飲食店を自宅で開業する際の確認事項

最後に、自宅で飲食店を開業する前にあらかじめ確認しておくべきポイントをご紹介します。

ご自身の自宅は飲食店を開業する条件をクリアしているか、事前に確認しましょう。

開業できる立地条件か

自宅で飲食店を開業するときに、まず確認したい項目が「立地条件」です。都市計画法では用途地域ごとに面積等が定められているため、自宅の立地によっては飲食店の開業が制限される可能性があります。

用途地域といっても種類は13もあるため、制限される内容はさまざまです。代表的な制限は、開業予定の自宅が商業地区内であれば開業可能、住居専用地域であれば開業不可というものです。

そのほかにも、第二種低層住居専用地域に自宅がある場合は「店舗床面積は50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満」「喫茶店の場合は店舗床面積が15㎡以下かつ2階以下」といった制限などがあります。

飲食店の種類によっても制限の内容は異なるため、自宅が該当する用途地域と制限内容は自治体に問い合わせることをおすすめします。

施設基準を満たしているか

施設基準とは、自治体で定められている営業施設が満たすべき条件です。自宅を飲食店として開業する場合でも、施設基準をクリアしないことには営業できません。

施設基準には、すべての飲食店が満たす必要のある「共通基準」と、特定の業種の場合に限り共通基準に加えて満たさなければいけない「特定基準」があります。

たとえば、手洗設備の個数やサイズに加え、自動式や足踏み式などの蛇口の構造などの条件が定められていたり、調理者以外の出入りを制限するための厨房と客席の扉を設置する必要があったりします。

自宅で飲食店を開業するときの条件も決められているため、管轄の保健所に確認し、チェック項目に基づいて店舗設計を進めましょう。

開業資金は調達できたか

自宅での飲食店開業を検討している人は、開業を進める前に開業資金を確認しておきましょう。

店舗を設ける開業方法よりはコストを抑えられるとはいえ、開業資金の調達は必要です。施設基準を満たすために改装が必要な場合は、内装工事費用も発生します。

開業する飲食店の業種や規模によっても変動しますが、内装工事費数十万〜数百万に加え、各種設備や備品費用やお店が軌道に乗るまでの運転資金も必要です。

事前に予算を確認し、予算にあわせた店舗設計をおこなったり、必要に応じて融資を受けたりしていきましょう。

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まとめ

この記事では、自宅で飲食店を開業するときに必要な資格・許可、メリット・デメリットについてご紹介しました。

コスト面を抑えて開業できるため、 実店舗を持つための足がかりとして自宅で飲食店を始めるケースも少なくありません。ご紹介した開業前の確認事項を事前に確認したうえで、開業を進めていきましょう!

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