経営
2024/04/15
飲食店を経営する方の悩みとして1番大きいものが「社員・スタッフの教育や育成」なのではないでしょうか。どの飲食店でも人材不足が目立つ中、目指すべきは社員やスタッフが辞めずに成長し、長く働いてもらえる店舗です。
スタッフの教育する時のポイントを押さえることによって、苦戦しがちなスタッフ教育を円滑に進められるだけではなく、より良いお店作りにも直結します。
「飲食店の社員やスタッフを教育する際の重要なポイントは?」
「飲食店の社員やスタッフの教育をすることでどんなメリットがある?」
「飲食店の社員やスタッフが辞めないための育成方法ってある?」
今回は、主に上記の疑問について解説していきます!社員・スタッフの教育は飲食店の成長にもつながるため、ぜひ参考にしてください。
まずはじめに、「そもそも社員やスタッフを教育するのはそんな重要なことなの?」などの疑問を持つ方に向けて、スタッフ教育の重要性についてご紹介します。
「スキルは業務をこなしながら身につけていくもの」という考えを持つ方もいるかもしれません。確かに業務の量をこなすうちにスキルアップしていくことはあります。しかし、基礎となる部分が育成されていないスタッフが、質の良いサービスをお客さんに届けられるでしょうか?
まずはじめに入念な教育によって土台となるものを作ったスタッフと、何も教えられずに見よう見まねで業務をこなすスタッフではスキルの質が違います。飲食店の営業では予想外のトラブルが起こることもあるため、クレーム対応を知っているだけで大ごとにならずに済むケースもあるでしょう。
飲食店の社員・スタッフに適切な教育をすることで、一人ひとりが成長し、店舗の売上・利益向上にもつながります。
飲食店において社員やスタッフを教育することには多くのメリットがあります。メリットを通して人材育成の必要性を再確認しましょう。
新入社員向けの研修は、飲食店において重要な役割を果たします。
これから入社する社員・スタッフに安心感を提供でき、仕事への不安や緊張を軽減することが期待できるでしょう。
正しい接客方法や業務の手順を習得することで、新入社員は自信を持ち、スムーズに業務に取り組むことができます。
また、求人応募の時点で「教育体制が整っている」というポイントを重視する方も少なくありません。
教育体制がきちんと整っている会社であることをアピールできれば、求人応募がなかなか来ない、といった悩みを解消することにもつながります。
求人応募の対策についてはこちらで詳しく解説しています。
参考記事:飲食店の求人応募が来ない原因とは?
お客さんが飲食店に対して抱く印象は、スタッフの接客態度が大きく影響します。メニューを気に入って来客される方もいますが、お店の雰囲気やサービスの質を含めてファンになってくれる方も多いです。そのため、接客態度がよければ何度も足を運んでくれるでしょう。
一方で、接客態度が悪ければ、どれだけ料理が素晴らしくても2度と来てくれない可能性が高くなります。飲食店にはアルバイト自体が始めての学生や、社会人経験が浅い社員もいます。そのため、社会人としてのマナーや正しい言葉遣いをきちんと理解していないケースも珍しくありません。
しっかりと社会人のマナーや常識、適切な接客を身につけてもらうことで、店舗の信頼度に繋げられます。
社員やスタッフの教育をおこなうことで、業務に必要なスキルや知識を学べます。入社したてのスタッフの不安の軽減や、スタッフ自身が成長を実感しやすくなるため、モチベーションが高まりやすくなるでしょう。
スタッフが働く上でモチベーションを維持するために必要な要素のひとつは「やりがい」です。店長が社員やスタッフの育成に熱心だと、自然とやりがいも感じてもらいやすくなります。
スタッフにやりがいを持って勤務してもらうことで、優秀な人材が育ち、離職率の低下にも繋がります。
社員・スタッフ教育によってスキルが向上すれば、一つひとつの作業効率が高まり、店舗全体の生産性も高まります。生産性が高い店舗は少人数でお店を回せ、人手不足の問題に悩まされることもありません。
また、飲食店における業務のノウハウやスキルを教育に含めることで、提供する料理や接客などのサービスの質の均一化が叶います。調理する人によって味に差がでることがなく、お客さんはいつ来ても同じサービスを受けてもらえます。
従業員のスキル向上により、業務の幅が広がり、結果的にコスト削減に繋がります。
初めは新入社員への教育には時間と費用がかかりますが、従業員がスキルを向上させることで長期的には業務の効率が向上し、コスト面での節約が期待できます。
さらに内部で教育担当者を定めることで、人材育成にかかる時間と費用を効果的に削減できます。
事前に教育担当者を指名しておくことで、新入社員が質問しやすい環境を整え、効果的なサポート体制を構築することにもつながるのです。
飲食店全体の生産性の向上、優秀な人材の定着が期待できる社員・スタッフ教育ですが、具体的にどのような方法で教育すれば良いのでしょうか。
ここでは、スタッフが辞めない飲食店にするためのポイントを4つご紹介します。
飲食店におけるマニュアルとは、業務に関する流れを正確に記したものです。「マニュアル=正しいルール」であるため、作成すると社員・スタッフ全員で共通認識を持つためのツールとして有効活用できます。
マニュアルがあれば、教育者によって指示内容が異なるといった問題が起きないだけでなく、教育者の負担軽減にも繋がります。飲食店のマニュアルは、主に業務フロー、接客マナー、キッチン業務、トラブル時の対応などがあり、それぞれ作成すると良いでしょう。
入社したての方でもわかりやすいように、文字だけでなく写真やイラストを交えながら詳細に記すと、よりサービスの質を一定に保てます。
「飲食店のオペレーション」についての記事はコチラ
マニュアル制作だけでなく、マニュアルを元にした研修も実施しましょう。研修制度が整備されていると、新人スタッフの不安を軽減するだけでなく、スタッフ全員のスキル向上にも繋がります。
研修制度のなかでも飲食店の店舗でおこなえる「OJT」はコストもほとんどかからず実施できるおすすめの研修です。実際の業務を通して実施するため、マニュアルを確認するだけではわかりづらい細かな作業導線や使用する物の置き場所なども理解できます。
教育研修を実施する大まかな手順は以下の通りです。
社員やスタッフの受け入れ体制としてオリエンテーションを設けることをおすすめします。新人スタッフの勤務初日からいきなり教育研修を実施するのではなく、オリエンテーションをおこないましょう。
なぜなら、勤務初日は緊張しやすく、入社する飲食店に対するイメージも左右されやすいからです。そのため、勤務初日はオリエンテーションを実施し、入社してくれた社員やスタッフの心の準備をする時間にしましょう。
オリエンテーションでは、企業理念や飲食店のコンセプト、こだわりや就業規則などを共有すると良いでしょう。
適切な評価制度を導入することで、社員・スタッフのモチベーションの維持に繋がります。評価制度は、スタッフ一人ひとりのスキルや能力を視覚化し、評価項目を明記した物です。基本業務・業務別能力などの大きな項目に分類し、挨拶・調理工程の正確さなど細かな項目に分けて評価していきます。
半年に1回に評価制度を実施し、店舗が立てた目標を達成した場合は時給をあげるなどの仕組みを設けると、よりやりがいを感じて業務に従事してもらえます。
ただし、正当に評価されなかったスタッフが不満を持ち、離職するといったケースもあるため、公正な評価項目・基準を定めましょう。
教育体制を整えれば良いというわけではありません。飲食店の社員やスタッフに教育する際にはいくつか注意すべきことがあります。
最後に注意点を押さえて、胸を張って「教育体制が整っている」と言える飲食店になりましょう。
新人教育では単なる業務の手順だけでなく、店舗独自の「方針」や「理念」を徹底的に教えることが重要です。
これは、具体的な業務だけでなく、考え方やサービスの提供姿勢など、従業員が一貫して持つべき価値観を構築する上でかなり重要になります。
店舗の方針や理念を理解することで、従業員は業務の本質を理解し、高品質なサービスの提供を目指すことができます。
これにより、他店との差別化が図れ、店舗独自のサービスの強みが生まれることにもつながるでしょう。
また、店独自の細かいルールやポリシーに対する理解が深まることで、スタッフは理念や方針に従って行動しやすくなります。
店舗のコンセプトや目指す店舗イメージをスタッフに共有することは、ただ業務をこなすだけではなく、スタッフが顧客とのコミュニケーションやサービス提供において主体的な役割を果たすためにも大きく関わってくるのです。
社員やスタッフの教育において難しいのは「正解」が一律に存在しないという点です。
人間はそれぞれ異なる個性を持っており、教育の進み具合が違うのも当然。一人ひとりに合った教育を提供することが求められます。
基本的に教育は、「計画 → 実行 → 評価 → 改善」のサイクルを意識して進めると良いでしょう。
計画: どのような仕事を行うか、何を学んでもらうかを明確に計画します。
実行: 具体的な手本を見せ、実際に作業を行ってもらいます。
評価: 達成した部分に対して評価を行います。
改善: 改善が必要な部分に焦点を当て、改善点を示します。
このサイクルを繰り返すことで、スタッフのスキルや理解度を逐次向上させていくことができます。
できていることだけでなく、できた部分をしっかりと評価することが重要です。できていない部分だけを強調すると、スタッフは自信を喪失してしまう可能性があります。
個々の習得スピードやモチベーションを考慮しながら、徐々に業務範囲を広げていくことで、アルバイトのモチベーションを維持しつつ効果的に育成することができます。
スタッフ同士のコミュニケーションが不足すると、スタッフの教育が効果的に進まず、早期離職のリスクが高まります。
スタッフ同士が円滑にコミュニケーションをとることは、職場環境の向上や協力関係の構築にも寄与します。
指導者と新人スタッフだけでなく、全体のチームが良好なコミュニケーションをとるための仕組みや工夫を考えることが不可欠です。
例えば定期的に交流会や意見交換の面談を実施する、同僚や部下からのフィードバックを取り入れる360度評価の導入などがあります。
さまざまなアプローチを組み合わせて、入社した社員やスタッフが定着する職場環境作りが大切です。
この記事では、飲食店における社員やスタッフの教育について解説していきました。スタッフ教育は飲食店の成長・存続には欠かせないものです。教育をきちんとおこなうことで、お店の信頼度・生産性が向上するだけでなく、優秀な人材の定着にも繋がります。
マニュアルの作成や評価制度、オリエンテーションなどの教育体制を整え、社員・スタッフを育成していきましょう!
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