経営
2023/07/26
飲食店のなかには、多くの従業員で営業する店舗もあれば、1人の従業員で営業する店舗もあります。すべての業務を1人でおこなわなければいけないワンオペ営業ですが、人件費が削減できるなどメリットもあります。
ワンオペ営業を検討している飲食店経営者の方は、以下のような悩みや疑問を抱えているのではないでしょうか。
「ワンオペ営業の飲食店は違法？」
「ワンオペ営業の飲食店の売り上げを上げる方法を知りたい」
「ワンオペ営業の飲食店の売り上げ低下が心配。防ぐ方法はあるのか」
そこでこの記事では、飲食店のワンオペ営業で売上を増加させるコツや売上を低下させないための注意点についてご紹介します。
飲食店のワンオペ営業とは、1人で店舗の運営や業務をおこなうことを指します。オーナーや経営者、また従業員が料理の調理から接客、清掃まですべてを担当するスタイルです。
ワンオペ営業は小規模な飲食店や個人経営者によく見られます。効率的な業務プランニングや自己管理能力が求められる営業方式です。
ワンオペ営業を検討する飲食店経営者のなかには、その違法性や限界を不安視している方もいるのではないでしょうか。
ここからは、ワンオペ営業について深堀していきます。
ワンオペ営業は、1人で飲食店の運営や業務をおこなうスタイルですが、法的には違法ではありません。特別な届出や許可も不要です。
注文の受け付けから調理、配膳、片付け、洗い物まですべての業務を1人でこなさなければいけないことから労働環境の面で問題視されることもありますが、法令を遵守していれば違法性はありません。
ワンオペ営業は1人で飲食店を運営するスタイルですが、その限界も存在します。目安としては、10席程度の小規模な店舗が対応の限界でしょう。なぜなら、料理の調理、接客、清掃など、多岐にわたる業務を1人でおこなうため、時間的な制約や業務の遂行において限界が生じるからです。
ワンオペ営業は一定の限界があるため、店舗の成長や顧客サービス向上のために、適切な対策を講じることが求められます。
飲食店がワンオペ営業を成功させるためには、安定的な売上が欠かせません。
ワンオペ営業の飲食店はどのように売上を増加させれば良いのでしょうか。3つのコツをご紹介します。
ワンオペ営業の飲食店が売上を上げるためには、レイアウトやオペレーション、動きやすさなどの工夫が必要です。
ワンオペ営業では、1人ですべての業務をこなさなければなりません。そのため、たとえばキッチンやカウンターを効率的に配置し、作業スペースを最小限に抑えることで移動時間や手間を減らすことができるでしょう。
また、オーダーシステムやPOSレジを導入することで、注文受けや会計の処理を効率化することも有効です。
ワンオペ営業では、メニューの選定も重要なポイントです。1人で調理・提供できる簡素なメニューやセットメニューを用意することで、効率的なオペレーションが可能になります。
また、調理時間の短い料理や予め仕込んでおけるメニューを選ぶことで、スムーズな提供ができます。人気のあるメニューやオリジナルメニューを取り入れて集客力を高めることも意識しながら、ワンオペに適したメニュー選定をおこないましょう。
最近では、ワンオペ営業をおこなうための新しい形態として、ゴーストレストランが注目されています。ゴーストレストランとは、実際の店舗を持たずにデリバリーサービスやテイクアウトのみを提供する形態のことです。
この方式では、レストランの運営に必要な費用や手間を最小限に抑えることができ、ワンオペ営業に適しています。また、オンラインの口コミやデリバリーアプリの活用によって集客を図ることも可能です。
複数の飲食店でキッチンをシェアするクラウドキッチンを利用すれば、初期費用・設備投資も最低限に抑えることができます。
ワンオペ営業の採用後に売上が低下しては元も子もありません。飲食店でワンオペ営業をおこなうさいには以下の点に注意しながら取り組みましょう。
ワンオペ営業では1人ですべての業務を担当するため、品質の維持が課題となります。
ワンオペ営業ということはお客様にとっては関係のないことです。忙しさのあまり接客が雑になったり、料理提供に時間がかかりすぎたりすると、結果的に客足が遠のき、売上も低下してしまいます。
食材の新鮮さや調理方法、提供のタイミングなど、お客様に満足いただける品質を維持することが重要です。
食材の仕入れには信頼できる卸業者を選び、厳しい品質管理をおこなうこと、また、メニューの簡素化や調理工程の見直しをおこなうことで、品質を保ちながら効率的な調理ができるようになります。
ワンオペ営業では、1人で多岐にわたる業務をこなす必要がありますが、その中でやるべき業務を疎かにしないことが大切です。
注文受けや調理、提供だけでなく、清掃やレジ業務、顧客対応などもこなす必要があるワンオペ営業ですが、忙しくなると洗い物や掃除をこなす余裕がなくなることがあるでしょう。
本来やるべき業務ができていないと、翌日の従業員が負担したり、溜まった洗い物や汚れた店内がお客様の目にとまったりしてしまうでしょう。すると、従業員の不満がたまるだけでなく、お客様が飲食店に対して悪い印象を抱きかねません。
業務の優先順位を明確にし、時間管理を徹底して効率的に業務を遂行することや、作業手順の改善や業務の分担を検討することが重要です。
ワンオペ営業では、1人の従業員が担当するため、その人材の重要性は高まります。
従業員の離職や体調不良による欠員が生じた場合、業務の継続が困難となります。そのため、従業員の定着を促すために働きやすい環境づくりや福利厚生の充実が必要です。
さらに、予備のスタッフやアルバイトの採用を検討し、急な欠員にも対応できる体制を整える必要があるでしょう。
ワンオペ営業においては、労働基準法に基づいた環境づくりが不可欠です。従業員の健康と働きやすさを考慮し、法定労働時間や休憩時間の遵守、適切な労働条件の提供をおこなうことが求められます。
労働時間の過重や過労は従業員の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、売上低下やサービス品質の低下にも繋がります。万が一、労働基準法に抵触すると法的に罰せられる恐れもあり、飲食店のイメージも大きく低下するでしょう。
従業員の安全に配慮し、労働環境の改善や安全対策の徹底も重要です。これにより、従業員のモチベーションや生産性の向上、結果的に売上の増加につなげることができます。
この記事では、飲食店のワンオペ営業の売上に関して解説してきました。最後にワンオペ営業のメリットとデメリットをまとめました。
メリット・デメリットを把握したうえで、自店に適しているかどうかを判断しましょう。
飲食店のワンオペ営業の大きなメリットは、人件費の削減と人材不足の解消です。従業員を1人で運営することで、給与や労務管理にかかる費用を節約することができます。
また、人材不足の時にワンオペ営業を導入することで、従業員の補充に悩むことなく業務を継続できます。
ワンオペ営業は経営の安定性や収益性向上の貢献につながる、コスト面でのメリットが大きいと言えるでしょう。
一方で、ワンオペ営業にはいくつかのデメリットも存在します。
まず、防犯対策が重要となります。複数人で営業している飲食店と比べると強盗に狙われやすい傾向にあるため、セキュリティ対策の強化や緊急時の連絡手段の確保など、十分な対策が必要です。
また、1人で店舗を切り盛りするため、万が一のトラブルや緊急事態に対応するのが難しくなります。予期せぬイレギュラーな状況にも1人で柔軟に対応する必要があるため、効果的な業務プロセスやトラブル時の対応策の事前準備が必須です。
この記事では、飲食店のワンオペ営業の売上を高めるコツや注意点についてご紹介しました。
ワンオペ営業は1人ですべての業務をおこなわなければいけないため、お店作りに工夫が求められます。
1人が大きな負担を抱えることのないような対策をおこない、人件費を抑えながら売上も安定的に確保する飲食店を作り上げましょう！
