経営
2024/07/16
飲食店の売上アップに関する課題は、すべての経営者が共通して抱える悩みのひとつです。長年お客さんに愛され、安定した利益を得るためには、常に飲食店の売上について考え続ける必要があります。
そこで今回は、飲食店の売上アップに関する以下の疑問を解消していきます!
「飲食店の売上アップに必要なこととは?」
「飲食店の売上をアップするためのアイディアを知りたい」
「飲食店の売上アップに必要な客数を増やす方法を知りたい」
飲食店の売上アップに必要な要素や売上を増やすアイディアまで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
飲食店の売上アップを目指す前に、まずは売上を作る要素を理解していきましょう。
飲食店は①客数②客単価③購入頻度(来店頻度)④認知度⑤配荷率の5つの要素を高めることで売上アップを叶えられます。
飲食店の売上は「来客数×客単価×購入頻度」で算出でき、来客数はさらに「消費者数×認知度×配荷率」と分解できます。
つまり、飲食店の売上は「客数(消費者数)×認知率×配荷率×客単価×購入頻度(来店頻度)」で求められ、この一つひとつの要素を高めることで売上アップが叶うのです。
飲食店の売上に課題を抱えている方は、5つの要素を高めるアイディアを検討していきましょう。
まずは飲食店が売上アップを成功させるために抑えなくてはならないポイントをご紹介します。
売上を向上させるための具体的な方法に目を向けがちですが、まずは現状を正確に把握することが最も重要です。店舗の現状を把握せずに売上向上の施策に取り組むのは、自分の位置や進むべき道がわからないまま無計画に進んでしまうようなものです。
最初に取り組むべきは、売上を構成する要素の中でボトルネックとなっている部分を特定することです。
例えば、客単価が低いことがボトルネックである場合、広告を出したりSNSでの発信を強化するよりも、提供するメニューを見直すことが優先されるべきかもしれません。
さらに、ボトルネックがどの程度改善されるべきかを具体的に把握することも重要です。これが明確でないと、実行する施策の規模や期間を適切に設定することが難しくなり、結果の評価も困難になります。
課題と目標はできるだけ詳細かつ具体的に設定することが成功への鍵です。
現状の詳細な分析と明確な目標設定により、適切な施策を効果的に実施し、確実に売上を向上させることができるでしょう。
顧客情報は売上向上のための戦略を考える上で欠かせない重要なデータです。売上が上がるのは顧客満足度が高いからであり、その満足度を高めるためには、まず顧客について詳しく知ることが必要です。
以下のような基本的な顧客情報を把握することが求められます。
新規顧客とリピーターの割合:どれくらいの顧客が初めて来店しているのか、どれくらいの顧客がリピーターなのかを把握することで、マーケティングやサービスの改善に役立ちます。
どのメニューが特に人気があるのかを知ることで、そのメニューを中心にプロモーションを展開することができます。
年齢層や性別、職業など、どのような属性の顧客が多いのかを把握することで、ターゲットに合わせたサービスやキャンペーンを実施することができます。
リピーターが特に好むメニューや避ける料理を知ることで、個々のニーズに合わせたサービスを提供することができます。
顧客がどのくらいの頻度で来店しているのかを把握することで、顧客のロイヤリティを測ることができます。
また、社会情勢や時代背景によって消費者の行動やニーズは変化します。
売上を向上させるためには、こうした消費者行動の変化をしっかりと捉えることも重要です。
時代の流れに合わせて顧客のニーズを的確に把握し、それに応じた戦略を立てることで、継続的な売上向上を目指すことができるでしょう。
売上向上のための施策を実行するには多大な労力が必要ですが、実行しただけで満足せず、その効果を測定することが重要です。
どの施策も一度実施しただけで劇的な売上アップをもたらす魔法のようなものではありません。効果測定を通じて、何が成功し、何がうまくいかなかったのかを客観的に評価し、その結果をもとに継続的な改善を図ることが大切です。
効果測定を行う際には、以下のポイントに注意しましょう。
売上や来店数などの数値データは効果を測定するための基本となります。施策前後のデータを比較することで、施策の影響を明確に把握できます。
ユーザーの感想やフィードバックなどの質的データも重要です。アンケートを実施したり、来店時に直接感想を聞くことで、ユーザーの本音を引き出すことができます。
接客を担当するスタッフに施策の手応えをヒアリングすることも有効です。現場のスタッフは顧客との接触機会が多いため、貴重なフィードバックを提供してくれます。
効果測定の結果をもとに、良かった点はさらに強化し、改善が必要な点は修正して、次の施策に活かすことが重要です。
このPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を継続的に回すことで、施策の精度を高め、確実に売上向上を目指すことができます。
飲食店の売上アップを狙うためには5つの要素を高めることが重要ですが、具体的にどのような施策が効果的なのでしょうか。ここでは、各要素を高め売上アップを狙うためのアイディアを紹介します。
まず、飲食店の売上アップに欠かせないポイントである「客数」を増やす方法を見ていきましょう。
飲食店の客数を増やすなら、テイクアウトやデリバリーの導入がおすすめです。
飲食店は、主に店舗周辺に住む方が消費者となるため、客数を大幅に増やすことは簡単ではありません。なぜなら、離れた土地に住む方やなかなか店舗を利用できない方にとって、利用するきっかけがないからです。
テイクアウトやデリバリーを導入することで、店舗から離れた土地に住む方、外食をしない方などにも飲食店を利用してもらえるきっかけになり、客数を増やし、結果的に売上アップにもつながります。
飲食店が客数を増やすには「これまでと違う客層」をターゲットにすることがポイントです。
「客数を増やす=新規顧客を増やすためのアイディアが必要」と思い込みやすいですが、回転率を上げることも客数を増やす効果的な方法です。
店内の空間を活用して客席を増やしたり、メニュー提供を速やかにおこなったりすることで、お客さんの待ち時間が短くなり、より多くの方に利用してもらえます。
具体的にはオペレーションを改善して仕込みや調理を効率的にする、POSレジやセルフオーダーシステムの導入を検討すると良いでしょう。
ただし、回転率ばかりを意識してしまい、飲食店全体のサービスの質が低下することにならないように注意が必要です。
多くの方がインターネットで情報収集する現在、SNSの活用は飲食店の客数を増やすために必須です。SNSを見た方が「これを機会に行ってみよう!」「こんなイベントをしているなら行こうかな」と思える施策を考えましょう。
たとえば、SNSのアカウントのフォロワー限定でクーポンを配布したり、リツイートした方のなかから抽選でデザート1品無料をプレゼントしたりと、来店を促すお得なキャンペーンがおすすめです。
飲食店に訪れたお客さんの単価を上げると、当然売上アップにつながります。客単価を上げる方法はさまざまですが、より効果が大きい3つのアイディアをご紹介します。
お客さんに違和感を持たせず客単価を上げる方法として、セットメニューの提供がおすすめです。ランチタイム・ディナータイム・カフェタイムなど、その飲食店の営業時間に合わせてセットメニューを開発すると良いでしょう。
メインメニューの他にサラダ・ミニデザート・ドリンクをセットにすることで、お客さんには「お得感」を演出でき、自然に客単価を上げられます。
既存メニューはそのままで、値段を上げなくても客単価アップは可能です。安易なメニュー変更や値段改定をおこなうまえに、まずは接客サービスの工夫から始めてみましょう。
具体的には、注文を受けたときに「本日は旬のデザートがおすすめですが、食後にいかがですか?」「お飲み物はいかがでしょうか」とひとこと追加するなどの工夫が挙げられます。
また、常にお客さんの様子を伺う接客をし、追加注文しやすい、居心地の良い空間を作ることも自然と売上アップにつながる重要なポイントです。
飲食店のメニュー内容を定期的に見直し、改良することも客単価を上げる方法のひとつです。現在の人気メニューやジャンルを分析し、改善点や新メニュー開発に役立てます。
注文数の少ないメニューを外し、新しいタイプのメニューを入れてみる、追加オーダーしやすい安価な単品メニューを用意することもおすすめです。
飲食店の顧客にマッチしたメニューを常に提供することで、結果的に売上アップが見込めます。
飲食店を多くの人に認知してもらい、来店のきっかけを作りましょう。店舗のことを認知している「見込み顧客」を増やすことで、客数や来店頻度も大きくできます。
今の時代、インターネットを介した情報発信は、チラシよりも大きな宣伝効果を持ちます。飲食店を開業するときは、ホームページの開設に加え、InstagramやTwitterのアカウント開設が必須と言えるでしょう。
ホームページやSNSを利用することで、お客さんの目に止まりやすくなり認知度を大幅に高められます。
たとえば、「ラーメン屋 ◯◯市」などと検索した際に飲食店が発信した情報が出てきたり、飲食店を利用したお客さんが情報を拡散してくれたりなど、より多くの方にお店をしってもらえるきっかけ作りになるでしょう。
飲食店の外観を工夫して、店舗への興味をもってもらうことも可能です。とくに看板の設置は古くから存在する宣伝方法のひとつですが、認知率を高めるためにとても有効な方法といえます。
飲食店の外観に設置される看板は、行き先を決めずに飲食店を探している方やただ散歩をしている方など、不特定多数の人の目に触れるきっかけになります。
ジャンルやおすすめ商品、飲食店の雰囲気が伝わる看板を設置すると良いでしょう。
飲食店における配荷率とは、飲食店を認知している人のなかで実際に来店する割合を指します。飲食店を認知している人数は多くても、実際に店舗に訪れる人が少なければ売上は上がりません。
配荷率は売上アップに影響する大きな要素のひとつなのです。
「この飲食店に行きたい!」とお客さんに選んでもらうためには、来店したくなる魅力を増やす工夫が必要です。自慢の目玉商品・看板メニューを開発して、わざわざ足を運んででも食べたいほどの魅力を提供しましょう。
魅力的な目玉商品があると自然と口コミも広がり、配荷率が高まるだけでなく新規顧客やリピーターの獲得にもつながります。
「他店では得られない特別感」の提供は、数ある飲食店のなかから選ばれるきっかけになります。料理・サービス、システム、コンセプトなど、他店には無いなにかがあることは「あえてこの飲食店に行く」理由づくりになるのです。
競合店を調査し、他店にはない工夫を凝らしたオリジナリティーの高い商品やサービスで、利用者の来店意欲をくすぐりましょう。
お客さんがどれくらいの頻度で利用してくれるかによって、飲食店の売上は左右します。売上アップするためには、来店頻度を増やす工夫も忘れてはいけません。
同じ飲食店を何度も利用するお客さんは、すでに料理の味やお店の雰囲気など、店舗自体を気に入ってくれている方が多いです。そんなお客さんの来店頻度を高めるには、すこしでもお得に店舗を利用できるきっかけ作りとして「ポイント制度」が効果的といえます。
好きな飲食店が2店舗あり、どちらも同じような価格で提供している場合「せっかくだからポイントが貯まるお店にしよう」と考えやすくなります。
ポイントが貯まったらクーポンとして使える、限定メニューの提供など、貯めたポイントで顧客がお得感を得られるサービスを考案しましょう。
来店頻度を高めるためには、飲食店の存在を思い出させることが大切です。お客さんがお店を思い出し、来店するきっかけをつくる仕組みづくりをおこないましょう。
近年のLINEの普及率増加により、メールの使用頻度が大幅に減少しました。そこで活用したいのが「公式LINE」です。
LINEアカウントを追加してもらい、そこから新商品やキャンペーン、公式LINE限定クーポンを配布することで、来店のきっかけづくりができるでしょう。
売上を伸ばすための施策として割引や値上げは有効な手段ですが、これらは慎重におこないましょう。
一律に割引を適用すると多くの顧客が来店して売上が増加する可能性がありますが、その反面、利益率は低下します。
逆に値上げを行うと付加価値が向上する可能性があっても、価格が高くなりすぎると顧客が離れてしまうリスクがあります。
割引や値上げを効果的に行うためには、店舗のコンセプトや顧客層をしっかりと考慮し、「どのメニューをどの価格で提供すれば顧客満足度が向上するか」「集客にプラスになるか」「どこで利益を確保するか」という視点を持つことが重要です。
例えばアルコールを提供する店舗が開店直後に集客を図るために「ハッピーアワー」として時間帯割引を実施することがあります。
この場合、ディナータイムに使用できるクーポンを配布するなど、次の来店を促す施策と組み合わせることで効果を高めることができます。
また、ボリューム重視の男性客をターゲットにしている店舗であれば、「メニューを3割値上げする代わりに、従来の倍量を提供する」という方法も有効です。倍量の提供は原価率の低下につながり、店舗側は顧客に高い満足感を与えつつ、利益を確保することができます。
このように割引や値上げは闇雲に行うのではなく、顧客満足度と利益のバランスを見極めながら、店舗の特性やターゲット層に合わせて戦略的に実施することが成功の鍵です。
はじめに飲食店の売上でとくにどの要素を改善すべきなのか、目標とするところはどこかを明確にしましょう。
その施策は誰に向けたものなのかターゲットを定め、施策による効果測定もおこないます。
施策を実行しただけで満足するのではなく、それによって何が変わったのか、どのような効果が得られたのかをきちんと分析してから2回、3回と続けて取り組んでいくことが大切です。
この記事では、飲食店の経営者が悩みやすい売上アップのアイディアをご紹介しました。
①客数②客単価③購入頻度(来店頻度)④認知度⑤配荷率の5つの要素を高めることが飲食店の売上アップにつながります。今回ご紹介したアイディアを正しい手順で実行し、売上アップを叶えましょう!
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