出店戦略の例を紹介!手順・商圏戦略・フレームワーク・失敗例

経営

2022/12/26

出店戦略の例を紹介!手順・商圏戦略・フレームワーク・失敗例

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飲食店の新規出店を成功させるためには、思いつきや勢いで進めるのではなく効果的な出店戦略に基づいて進めていくことが重要です。とはいっても、出店戦略はどのようにおこなえば良いのか分からない方も多いのではないでしょうか。

「出店戦略はどうやれば良いのか」

「出店戦略の商圏分析とは?」

「出店戦略に活用できるフレームワークはなにか」
この記事では、飲食店の出店戦略の例をもとに手順や重視すべき項目について解説していきます!出店戦略に興味のある方、疑問を持っている方はぜひ参考にしてください。

出店戦略が重要視される理由

カフェの店内そもそも、どうして出店戦略が重要視されているのか、その理由について説明していきます。

飲食店を経営するにおいて、経営者は当然売上を伸ばして事業を成長させることを望みます。事業継続に欠かせない「売上」を伸ばす方法は大きく2つあり、それは「顧客の増加」と「客単価の増加」です。効果的な出店戦略は出店立地の選定や競合店との差別化ができ、店舗の売上確保につながります。

一方で出店戦略を怠ると、売上の減少だけでなくお客さんが惹かれない店舗として認識されてしまい、新規顧客の呼び込みが困難になってしまうのです。系列店舗がある場合はブランドイメージ自体も下げてしまう可能性があります。

精度の高い出店戦略を立てることは、企業の動向を左右する重要なポイントになります。

出店戦略の例|手順・やり方を解説

飲食店を開業する際に、まずおこなうべきことが出店戦略です。新規開業や他店舗展開、増店などさまざまな出店状況がありますが、出店戦略は必ず実施するべき工程です。ここでは、出店戦略の手順の一例をご紹介します。

STEP1.運営の方向性・コンセプトの確定

まずはじめに、店舗の方向性やコンセプトを定めていきます。店舗の規模や販売方法、業種・業態を確定します。

「どのような店舗で何をどのような方法で販売するのか」というお店の基本を決めたうえで、具体的なコンセプト設計に移りましょう。ここではお店の雰囲気やテーマ、ターゲットを細かく決めていきます。

開業前のコンセプト設計を明確にすることで、一貫性のある店舗を構築できます。店舗の方向性とコンセプトにズレがないかを確認しながら進めていき、幹部層だけでなく従業員全員に共有していくことも重要です。

STEP2.現状把握・分析

出店戦略のなかで店舗の現状把握や分析は欠かせない重要事項です。企業や店舗の「ヒト・モノ・カネ」などの資源を再確認して分析を進めていきましょう。

資金面は十分にあるのか、出店するエリアに需要はあるのかなど現状把握とともに分析をすることで、今後の事業計画がスムーズになっていきます。顧客の年代や生活スタイルといった様々な視点から分析していくと、売上や利益目標の具体的な設定に繋がります。

STEP3.目標・戦略の決定

最後に、店舗の目標や戦略を定めていきましょう。売上金額がどのくらい見込めるかなど、現状把握や分析によって見えてきた大まかな数値を適切に設定していきます。

目標数値を設定する際の注意点は「適正数値」であることです。現実味の無い高すぎる目標は達成が難しく諦めてしまい、あまりにも低すぎる目標は目指すべき数値として適切ではありません。必ずしも計画が予定通りにいくわけではないことを理解し、不確定要素やイレギュラーが生じることも考慮しながら目標を定めることが大切です。

具体的な目標設定が完了したら、その目標を達成するための「戦略」を決めていきます。まずメインターゲットを明確にすることで、適切な立地や店舗のスタイルなどの出店計画が立てられます。

出店地を決める商圏戦略「エリアマーケティング」

エリアマーケティングとは、出店戦略を練る際に用いられているマーケティング手法です。特定地域における競合や顧客などの市場分析をおこない、そのエリアに特化した戦略をたてる手段を指します。

出店を成功させるためには「出店する地域に住んでいる方の生活スタイルや需要と、自店のサービスが合うか」という部分がとても重要です。エリアマーケティングをおこなうことで出店エリアを適切に定めることに繋がります。

商圏分析に重要となる4項目

出店エリアを決める際の商圏分析にあたり、重視したい4つの項目をご紹介します。

1.人口の増減・現状の把握

商圏分析に必要な項目のひとつは「エリア内の人口」です。現在どのくらいの人口があるのか、将来的な増減はどう予想されるのかを把握します。これから人口が増えるエリアなのか、過疎化していくエリアなのかという部分の調査も怠らずにおこないましょう。

あわせて年齢別人口や家族構成なども調査することで、出店予定の店舗に合ったエリアであるかどうかも把握できるでしょう。

2.生活様式と購買力

エリア内に住んでいる人々の生活スタイルや購買力も、店舗とのマッチ度を図る項目として有効です。実際に対象エリアに訪れ、移動手段や商業施設の利用頻度などを調査をしていきます。

また、国勢調査における統計データの分析も、エリアの購買力を把握するために役立つでしょう。

3.交通の状態・アクセス環境

出店を検討しているエリア内の「商圏バリア」の有無も重視すべきポイントです。商圏バリアとは、お客さんが店舗を訪れる際に障害になりうるものです。

例えば、大きな川や山、線路などが挙げられます。ただし、これらが必ずしも来店の障害になるとは限りません。店舗が山のなかにあったとしても、周囲に適切な店舗がほかになければ、お客さんは来店を躊躇うことはないでしょう。

このような商圏バリアの存在を把握し分析するためには、実際に現地に訪れて様々な視点で検討することが1番効果的です。

4.ライバル店の動向調査・分析

商圏分析に重要な項目の4つ目は「競合店調査」です。エリア内に競合店はどの程度存在するのか、収益はどのくらいであるかなどの調査や分析をおこないます。

業種が異なる飲食店であっても競合となる可能性は十分にあるため、コンセプト内容からメニューの質まで、きちんと見極める必要があるでしょう。競合調査をおこなうことで、そのエリア内のお客さんのニーズもあわせて把握できます。

商圏内を独占する「ドミナント戦略」

飲食店の出店戦略として「ドミナント戦略」が多く活用されています。ドミナント戦略とは、特定の地域に出店を集中させることで商圏内を実質的に独占状態にするマーケティング戦略のことです。

成功すれば競合店と比べて優位に立つことができる戦略の1つで、飲食店がチェーン展開をする場合や多店舗展開のケースに用いられます。特定の地域に出店を集中させることで、認知度の向上や店舗のブランド化が期待できます。

成功すればライバル店よりも優位にたてることから、飲食店の出店戦略のひとつとして知っておくと良いでしょう。

出店戦略に活用できる5つのフレームワーク例

新規開業の飲食店ここでは、飲食店の出店戦略を立てる際に活用できるフレームワークの例を5つご紹介します。

フレームワークとは、解決したい課題を特定の型に落とし込むことで問題の早期解決を図るための思考の枠組みです。すでに確立されているフレームワークを用いることで競合他社との差別化が図れるだけでなく、経営者の意思を従業員に共有することが容易になります。

①3C分析

1つ目にご紹介するのは「3C分析」です。「Company(自社)」「Customer(顧客)」「Competitor(競合他社)」の3つの視点の関連性を踏まえて情報を分析する方法で、効率的な出店戦略を立てられます。

お客さんと競合を「外部環境」自店を「内部環境」と捉えて、お客さんのニーズや競合分析し、出店の成功要因の把握に役立ちます。現在の自店の価値や魅力を再確認でき、立ち位置を理解したうえで出店戦略を立てることができるでしょう。

②4C分析

「4C分析」は3C分析よりもお客さんの目線で分析を進める手法です。「Customer Value(顧客価値)」「Cost(顧客の費用・負担)」「Convenience(顧客の利便性)」「Communication(顧客対話)」の4つの視点から、自店のサービスのアプローチ方法を検討します。

顧客のニーズを深く理解するために有効なフレームワークです。

③4P分析

「Product(製品)」「Price(価格)」「Promotion(販促)」「Place(流通)」の4つのPを用いて出店戦略の課題や競合他社との違いを見つける方法です。4つの視点から、自店には何が不足しているのか、何が出来ているのかを明確にしていきます。

どんな製品を、どのくらいの価格で、どのような販売方法で、どのようにお客さんに届けるのか、という部分を戦略的に考えていきます。3C分析や4C分析によって自店が求められていることを理解し、4P分析で最適なサービスを検討することによって他社との差別化を叶えられるでしょう。

④SWOT分析

「S:Strength(強み)」「W:Weakness(弱み)」の内部要因、「O:Opportunity(機会)」「T:Threat(脅威)」の外部要因から分析する方法がSWOT分析です。

この4つを表に書き出していくことで、自店の強みを機会によって最大限に活かす方法や、弱みと脅威が重なることで起こるリスクを回避する方法を事前に考えることができます。

⑤PEST分析

最後にご紹介する分析方法が「 PEST分析」です。 「Politics:政治」「Economy:経済」「Society:社会」「Technology:技術」の4つの外部要因を分析します。

効果的な出店戦略を練るには、消費者の生活スタイルや流行の変化、さらに最新の技術に関する情報を追いながら自店に与える影響の分析が必要になります。例えば、増税による駆け込み需要の予測や最新管理ツールやシステムの導入の判断に役立ちます。

出店戦略を怠ることによる失敗例

飲食店において出店戦略はとても重要ですが、手間がかかることから調査を怠る方も少なくありません。しかし、出店戦略を怠ることによって以下のような失敗が起こり得ます。

・店舗のメインターゲット層と周囲に住む人がマッチしない
・出店したエリアに競合店が多数存在した
・店舗のコンセプトや価格と地域のニーズが合わなかった

例えば、年配の方に向けて割烹を出店したのに学生の多いエリアだったケースが具体的な失敗例として挙げられます。

同じコンセプトや価格帯であっても、出店する立地によってニーズは異なります。出店戦略をおこなうかどうかによって店舗の売上に大きな影響を与えるため、事前に入念に取り組むべきでしょう。

まとめ

この記事では、飲食店における出店戦略の流れや活用できるフレームワーク、失敗例などをご紹介しました。店舗の開業において出店戦略はとても重要です。出店戦略を怠ると出店の失敗にもつながってしまうため、入念におこなっていきましょう!

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