経営
2025/02/09
「今年度から個人で飲食店の経営を始めたけど、確定申告はどうしたら良いのだろう…」
このように、確定申告をすべきかどうか悩んでいる飲食店経営者の方は多いのではないでしょうか。
飲食店経営者のなかには、確定申告をすべき人とそうでない人がいます。それでは、飲食店における確定申告の有無は、どのような基準で判断すればよいのでしょうか。
「飲食店で確定申告が不要なケースとは?」
「飲食店が確定申告しないとどうなる?」
「飲食店が確定申告をすると得られるメリット」
この記事では、上記のような疑問を徹底解決していきます!確定申告を不安視している飲食店経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
「飲食店で思うように収益が出ていないから確定申告はしない」という方もいるでしょう。確定申告が不要となる条件は細かく定められているため、本当に自分は確定申告が不要かどうかを、ここでしっかり確認しておきましょう。
飲食店経営によって得ている年間の事業者所得が48万円以下で、かつ他の所得が無い方は確定申告は必要ありません。なぜなら、所得税の基礎控除が48万円であるため、飲食店の所得が48万円に満たない場合は所得税の課税対象額が0円以下になるからです。
ここで事業所得についておさらいしておきましょう。事業所得は飲食店の売上ではありません。飲食店の売上から、人件費や食材原価などの必要経費を差し引いて残る利益が事業所得です。
たとえば、売上が200万円で必要経費が160万円ある飲食店の事業所得は40万円になり、確定申告は不要と判断できます。
飲食店経営者がほかに副業をしていたとしても、その収入が20万円未満の場合は確定申告の義務はありません。副業をしている場合は20万円を超える金額の所得があるかどうかで確定申告の有無は変わります。
ここで注意しなければいけない点が、収入ではなく所得ということです。事業所得の考え方と同じように、収入から経費を差し引いた金額によって判断します。
たとえば、給与所得者が副業をしていて、年間30万円の収入を得たとします。そのうち経費が15 万円発生したとしたら「30万円−15万円=15万円」と計算できるため、このケースの場合、確定申告は必要ありません。
ただし、この副業所得が20万円以下の場合は確定申告が不要になるルールが適用される人は給与所得者のみです。個人事業主として飲食店を経営している方は該当しないので注意しましょう。
会社と雇用契約を結ぶ飲食店経営者(給与所得者)で、かつ給与が2,000万円以下の方は確定申告は不要です。言い換えると、個人事業主ではない飲食店経営者は、給与2,000万円を超えると確定申告が必要ということになります。
2,000万円というと一般的に高額収入であり、当てはまる人は割合としては少ないですが、飲食店経営者の方のなかには超える人もいるでしょう。
給与所得者は、基本的に会社で年末調整をおこないます。しかし、2,000万円を超える収入の場合、会社では年末調整をおこなえないため自身で確定申告する必要が出てきます。
会社と雇用契約を結んでいる飲食店経営者の場合でも、場合によっては確定申告が必要になる場合があるため、毎年きちんと確認するようにしましょう。
飲食店経営者の場合でも、特に給与所得者は確定申告が不要なケースが多いことがわかりました。しかし、確定申告が必要な飲食店であるにも関わらず申告しないという場合は、さまざまなデメリットやペナルティがあります。
ここでは、飲食店が確定申告しないと起こるリスクについてご紹介します。
飲食店は、現金商売のため、売上をごまかしているのではないかと税務署から疑われやすい傾向があります。
税務調査に入られると、帳簿や領収書などの提出を求められ、過去の申告内容を細かくチェックされます。もし、無申告や過少申告が発覚した場合、重いペナルティを課される可能性があります。
確定申告の義務がある飲食店が確定申告をしないと、追加で徴税されるペナルティがあります。本来納めるべき税金にくわえて、さらに罰金が発生するのです。罰金の重さは状況によって異なりますが、主に以下の税金が課せられます。
無申告加算税:確定申告の期限までに申告をしなかった場合
延滞税:税金を期限までに納税しなかった場合
重加算税:確定申告をしない場合のもっとも重い罰金
税務調査があり、税金が納められていないことが判明したら無申告加算税として15%または20%の税率が課せられます。
しかし、調査が入る前に自分で確定申告をした場合は5%の税率に抑えられるため、確定申告の期日が過ぎた場合でも諦めず、できるだけ速やかに申告するようにしましょう。
確定申告をしないと収入を証明する書類がなくなるため、市町村から納税証明書を発行してもらうことができません。
確定申告は収入に対する適切な税金を納めるためだけのものではなく、収入を証明する役割も担います。収入の証明ができないと、飲食店を大きくするための資金調達や各種補助金、給付金の申請もできなくなる恐れがあるのです。
特に個人事業主で飲食店を経営する方は、所得の少ない場合でも収入を証明するための書類として確定申告をおこなう必要があるでしょう。
確定申告をおこなうことで、所得や税額からさまざまな控除を受けられることをご存じですか?
確定申告では、基礎控除・医療控除などの制度を利用して、所得から対象の金額を差し引くことが認められています。たとえば、年間の医療費の自己負担額が一定額を超えていたら「医療費控除制度」として払い戻しを受けられます。
しかし、これらは確定申告をすることではじめて利用できる制度のため、申告しなければ損をすることになるのです。
所得控除と同じく、還付金も確定申告をしないと受けられない制度のひとつです。還付金とは、所得税の納めすぎなどの理由によって、返還されるべき税額のことを指します。
すでに支払い済みの税金が1年間の所得に対する税額より多い場合は、確定申告をすることで差額が還付されます。
確定申告をしないことにはいくら高額な還付金があったとしても返還されることはないため、注意が必要です。
先述した「飲食店経営者が確定申告しないでもよいケース」に該当したとしても、確定申告をおこなうことでメリットを得られる場合があります。
最後に、義務のない飲食店が確定申告をおこなうと、具体的にどのようなメリットがあるのかについてご紹介します。
飲食店が赤字で、かつ青色申告を申請している場合は、確定申告をすると最長3年間赤字を繰り越せるというメリットが得られます。
これは青色申告をした人のみ利用できる「繰越控除」という制度で、次年度以降の黒字額から赤字額を相殺して申告できるものです。
たとえば、飲食店で去年は100万円の赤字で、今年は500万円の黒字だった場合、去年の赤字100万円を今年分から差し引き、400万円の黒字として申告できます。
飲食店経営は経営が不安定だったり、初期投資に費用がかさんだりして事業が赤字になるケースも少なくありません。そんなとき、青色申告をしておけば、翌年の所得から相殺でき、大きく節税することができるのです。
飲食店経営者でも、報酬を受け取る際に源泉徴収として先に納税をおこなっているケースは多いです。しかし、その源泉徴収では所得控除や必要経費が考慮されておらず、税金を多く収め過ぎてしまっている状態にあります。
確定申告の義務がない場合でも、納め過ぎた分の税金の還付を受けることができるケースが少なくありません。
義務がない人でも、確定申告をおこなうことでさまざまな節税メリットがあります。確定申告をおこなうときには基礎控除以外の所得控除が複数あり、主に以下の種類の控除が受けられます。
基礎控除以外の所得控除の中から受けられる控除をきちんと申告すれば、納税額を軽減することができます。少しでも自己負担額を減らすために、漏れなく申告するようにしましょう。
確定申告を行うことで、事業の収益状況や経営状態を客観的に把握することができます。この情報は、公的な補助金や助成金を申請する際に、重要な判断材料となります。
確定申告書を提出することで、補助金や助成金の審査がスムーズに進み、受給の可能性が高まることがあります。
ここでは、飲食店経営ならではの経費計上について、計上できるものとできないものを具体的に解説します。
飲食店経営では、日々の食材仕入れから店舗運営に関わる様々な費用が発生します。 これらの経費を正しく計上することで、適正な所得を算出し、節税につなげることが重要です。
しかし何が経費として認められるのか、判断に迷うこともあるでしょう。
そこで、飲食店経営者が特に注意すべき経費計上のポイントを、具体的な例を交えながら解説していきます。
飲食店経営における主要な経費として、まず挙げられるのが食材費です。
食材費は、料理の提供に直接必要な材料の仕入れにかかる費用であり、売上原価として計上されます。品質の良い食材を安定的に確保しつつ、コストを抑えることが、利益率向上のポイントとなるでしょう。
また、従業員に支払う人件費も、経営における大きな割合を占める経費の一つです。
給与、賞与、社会保険料など、従業員を雇用するために必要な費用は、すべて人件費として計上できます。適切な人員配置と効率的な労務管理によって、人件費をコントロールすることが重要といえるでしょう。
次に、店舗の家賃も、固定費として毎月発生する重要な経費です。
店舗の立地や広さによって家賃は大きく変動するため、売上に見合った物件を選ぶことが大切です。賃貸契約の内容をしっかりと確認し、更新料や共益費なども含めて計上しましょう。
そして、水道光熱費も、店舗運営に欠かせない経費です。
電気代、ガス代、水道代は、季節や営業時間、使用する厨房機器によって変動します。 省エネ設備の導入や節水などを心がけ、無駄なコストを削減することが重要です。
主要な経費を適切に管理し計上することで、経営状況を正確に把握し、改善につなげることができるでしょう。
自家消費とは、店舗の商品や食材を、事業主自身や家族が個人的に消費することを指します。税務上、自家消費は売上として計上する必要があり、仕入れ価格または販売価格の70%のいずれか高い金額で評価します。
たとえば、夕食に店の食材を使った場合や、家族が店内で食事をした場合などが該当します。 自家消費分を適切に処理することで、税務調査での指摘を防ぐことができるでしょう。
一方、従業員に提供するまかない代は、一定の条件下で経費として計上できます。
まかないの材料費のうち、従業員が半額以上を負担し、かつ店舗側の負担額が月額3,500円以下であれば、福利厚生費として計上可能です。
この条件を満たさない場合は、給与として課税対象となります。 まかないの提供状況や従業員の負担額を記録し、適切に処理することが求められるでしょう。
自家消費とまかないは、飲食店特有の経費であり、税務上の判断が難しい場合があります。
日頃から記録をつけ、税理士などの専門家と相談しながら、適切な会計処理を行うようにしましょう。
経費を計上する上で、領収書は重要な証拠となりますが、紛失してしまうこともあるでしょう。領収書がない場合でも、諦めずに経費として計上できる可能性があります。
たとえば、クレジットカードの利用明細や銀行の振込明細など、支払いを証明できる書類があれば、領収書の代わりとして認められる場合があります。
また、出金伝票を作成し、支払日や支払先、金額、用途などを詳細に記録することも有効です。
特に、交通費や慶弔費など、領収書が発行されない費用については、出金伝票が重要な証拠となります。
ただし、税務調査では、領収書の有無だけでなく、その取引の妥当性も確認されるでしょう。領収書の代わりに利用明細や出金伝票を保管するだけでなく、取引の内容を具体的に説明できるようにしておくことが重要です。
また、どうしても証明が難しい場合は、少額な経費として計上するか、計上自体を見送ることも検討しましょう。
日頃から、領収書やレシートを整理し、紛失しないように管理することが、最も確実な対策です。
万が一、領収書を紛失してしまった場合は、上記の方法を参考に、できる限りの証拠を揃え、税務署に適切に説明するようにしましょう。
確定申告は、飲食店経営者にとって、税金や経営状況を把握する上で重要な手続きです。しかし、確定申告には複雑な手続きや専門知識が必要となるため、多くの経営者が疑問や不安を抱えています。
ここでは、飲食店経営でよくある確定申告に関する疑問にお答えします。
確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日までです。
提出方法は、税務署に直接持参する方法、郵送する方法、e-Taxを利用して電子申告する方法の3つがあります。e-Taxを利用すれば、自宅やオフィスから簡単に申告手続きを行うことができます。
e-Taxで申告する場合、提出期限は3月15日の23時59分までです。 郵送の場合は3月15日の消印が有効です。
飲食店で経費にできるものは、事業に直接関係する費用です。食材や飲料の仕入れ費用、人件費、家賃、水道光熱費、広告宣伝費などが代表的な例です。
ただし、プライベートで使用した費用は経費として認められません。飲食店経営では、公私混同が発生しやすい点に注意が必要です。
確定申告ソフトは、複雑な計算や書類作成を自動化してくれるため、時間と労力を大幅に削減することができます。
特に、青色申告を選択する場合は、複式簿記による記帳が必要となるため、確定申告ソフトの利用がおすすめです。
また、会計ソフトと連携できる確定申告ソフトであれば、日々の経理業務も効率化できます。
税理士に確定申告を依頼するメリットは、専門知識と経験に基づいた的確なアドバイスを受けられる点です。複雑な税務処理や節税対策、税務調査の対応なども安心して任せられます。
確定申告を税理士に依頼することで、青色申告特別控除の最大額である65万円の控除を受けるための要件を満たしやすくなるでしょう。
税理士は、飲食店経営で発生しやすい自家消費や従業員のまかないの処理、自宅兼店舗の場合の家賃按分など、税務上の注意点についても適切なアドバイスをしてくれます。
飲食店での税理士の必要性についてはコチラ
飲食店を経営する方は、確定申告が必要なケースと不要なケースに分かれますが、義務があるにも関わらず確定申告をしないと、通常の税金にくわえて追徴課税も課せられます。
確定申告をおこなうことで赤字を繰り越せたり、さまざまな控除や還付が受けられたりするため、義務がないから確定申告しないのではなく、必要性に合わせて申告することがおすすめです。
確定申告の有無や、やり方がわからない方や不安な方は、まず税金のプロである税理士へ相談してみましょう。