開業
2023/03/28
飲食店の開業に憧れを持つ方のなかには、どのくらいの年齢に出店するのが良いか、タイミングに悩んでいる方も多いのでは無いでしょうか。
若いうちに経験を積んでから開業すべきなのか、年を取ってからの開業は遅いのかなど、どの年代でも不安は感じてしまうものです。
そこでこの記事では、飲食店の開業の年齢に関する疑問を徹底解説していきます!
「飲食店を開業する平均年齢ってどのくらい?」
「20代で飲食店を開業するときのメリット・デメリットは?」
「飲食店を開業するときの注意点を年代別に知りたい」
上記の疑問を解消するほか、全年齢共通する開業の心得についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「飲食店を開業したいけど、自分の年齢はまだ早いのかな」または「もう遅すぎるのかもしれない」と感じて、なかなか開業に踏み出せない方も少なくありません。
実際に、飲食店開業と年齢に深い関係はあるのでしょうか。開業の平均年齢や傾向を確認しながら解説していきます。
日本政策金融公庫が公表する「2021年度新規開業実態調査」によると、開業した方の平均年齢は43.7歳で、2013年度以降上昇する傾向にあることが分かりました。
開業時の年齢別割合は、以下のとおりです。
年代 | 割合 |
---|---|
60歳以上 | 7.0% |
50歳以上 | 19.4% |
40歳以上 | 36.9% |
30歳以上 | 31.3% |
29歳以下 | 5.4% |
開業時の年齢は40代の割合がもっとも多く、次いで30代となっていますが、開業の主要な担い手が30・40代である傾向は1990年代から長期的に変わっていません。
また、女性の開業の割合は調査開始以降、緩やかに増加している傾向が見られます。
開業の平均年齢から見ると、30・40代がもっとも多いですが、これは仕事に対する経験やノウハウを熟知しており、事業を始める事や飲食店を開業するにあたって最適な年齢と考えられるからです。
しかし、開業して成功する方のなかには10代で開業したケースから50代以降に開業したケースまでさまざまなパターンが見られます。
働き盛りの30代40代は、仕事にやりがいを感じたり、会社で実績を評価され始めたりしたところで、あえて事業を始める理由が見当たらない人も多いでしょう。
つまり、飲食店を開業する年齢に遅い・早いといった決まりはないと言えるでしょう。
開業するにあたって、それぞれの考え方や事情は同じではありません。年齢から開業する最適な年齢は推測できるものの、それが正解とは言い切れないのです。
飲食店を開業したいという志と、開業するために必要な知識を押さえられたら、自信をもって開業へと進みましょう。
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飲食店の開業に適した年齢は人によってさまざまですが、それぞれの年代によって強みや弱みは異なります。開業を成功に導くためには、年齢を活かした行動が不可欠です。
また、年齢ごとの注意点を理解し準備をおこない、開業直後のリスク回避に努めましょう。
近年では、大学生でキッチンカーを経営するなど、10代で開業するケースも珍しくなくなってきました。高校生や専門学生、大学生を対象としてビジネスプランコンテストも自治体や教育機関などによって開催されています。
10代の強みは、枠にとらわれない豊かな発想や目線です。あふれる情熱や勢いも大きな武器となるでしょう。
10代が飲食店を開業するケースは増えてきたものの、まだまだ少ないことから注目されやすく、メディアに取り上げられたり支援を得やすかったりする点もメリットのひとつです。
一方、学生の場合は時間の制約があること、未成年という社会的信用の低さが弱みとして挙げられます。他の年代から比べて社会経験や知識が少ないため、より大きな努力と学びが必要になります。
近年は男女関係なく20代で開業するケースが増えており、なかでも女性の開業率は年々増加傾向です。これは、若くして家庭をもちたいという考え方ではなく、キャリアウーマン思考が増えているからだと予想されます。
20代も10代と同様に、機動力や行動力、柔軟な発想力が活かせます。飲食店においても進むデジタル化や業務効率化にも、すぐに対応することができるでしょう。
資金不足が懸念材料となりますが、まだ年齢が若いことから比較的融資は受けやすくなります。
20代は取引企業や仕事をともにおこなう方からの信用を得ることに注力しなければいけません。若い年齢であり経験も浅いと言う理由からはじめから信用されるのは難しいですが、開業する飲食店のアピールポイントを確立し、コンセプトや強みを明確化し、きちんと伝えましょう。
会社での地位を確立したり、社会的制約や環境的制約も薄れたりしてくる年齢である30代は、もっとも開業しやすい時期であると言えます。将来の事業計画や資金調達もある程度できている可能性が高いでしょう。
30代で飲食店を開業する大きな強みは、これまでの経験や知識、スキルを活かせるところです。前職も飲食業やマネジメント業などの場合は、より直接的に活用できるでしょう。
しかし、30代は人生の大きなイベントも多い時期であるため、子どもや養うべき家族ができると、開業にともなうリスクを取るのが難しくなる可能性も考えられます。
すでに家族がいる場合は早めに了承、理解を得るなど計画的な行動が必要です。
40代は、30代よりもさらに知識や経験を積み、経済力もあることが多く、スムーズに開業できる年代と言えます。
なんといっても社会的な信頼と安定した経済状況が武器となる40代は、取引企業からの信用も得やすいでしょう。また、それまでに培った人脈は、スムーズな事業立ち上げにも貢献します。計画的に資金を貯めていた場合は、金融機関の融資を打診する場合にも有利です。
しかし、もともと飲食店を開業する予定だったわけではなかった場合、なかなか家族の同意を得られないケースが多いようです。
ある程度子どもが成長してきて進学費用が必要だったり、飲食店の労働に対する体力的な心配があったりと、不安視される確率は高いでしょう。
開業を検討している時点で、その気持ちや事業計画や将来設計を綿密に伝えることが大切です。
子どもが自立し、精神的にも経済的にも余裕が生まれやすい50代は、昔から憧れていた飲食店の開業に挑戦する方も少なくありません。
50代以降で飲食店を開業する場合は、退職金を自己資金に充て、リスクを抑えられる点がメリットです。退職後に新しいことに挑戦することは、心身の健康維持にも貢献します。
一方で、若い年齢のときと比べると体力や集中力、思考の柔軟性が失われていることに注意しなければいけません。飲食店は臨機応変な対応が求められるケースが多いため、柔軟な考え方や時代に応じた経営を意識づけましょう。
最後に、どの年齢で開業する場合でも心に留めておきたいポイントをご紹介します。
飲食店を開業するときは、知識や経験があるほど成功する可能性が高いとおもわれがちですが、必ずしもそうとは限りません。
年齢の分だけ堅実な開業計画が立てられるということはなく、会社での経験が長い分だけ固定概念が強く時代のニーズに沿わず失敗するケースも多くあるのです。
飲食店の開業を成功に導く原動力は、適切な事前準備と開業後も現行維持に徹することなく挑戦する前向きな行動力と信念です。
開業することに不安な気持ちがあるのは当然ですが、「どのように開業して、成功率を高めるか」という考え方を持つことが重要だと言えるでしょう。
この記事では、飲食店の開業における年齢についてご紹介しました。
開業する年代の多くは30・40代ですが、近年は10代、20代の若年層での開業も増加傾向にあります。自身の年代独自の強みを活かし、注意点をふまえた行動で、理想的な開業を目指しましょう。
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