金融機関のことを知ろう

融資

2020/07/15

金融機関のことを知ろう

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融資をスムースに受けるためには、まず資金の出所である金融機関といかに信頼関係を築いていくかが重要となります。

しかし、飲食企業の多くは金融機関との密接な関りを避ける傾向があります。古い体質の方の中には、いまだに社内向けと金融機関向けの2通りの事業計画を用意している方も少なくありません。それを「資金調達のコツ」と言ってはばからない経営者もいますが、それは大きな間違いです。

 

金融機関は事業計画をもとに、貸したお金が遅れなく返済できるかを判断してその融資の可否や貸出額を決定します。その前提となるものが誤っていれば、たとえ事業が計画通りに進んだとしても資金ショートに陥る危険性が高い。その結果、設備資金として借りたお金を運転資金に回すといった「自転車操業」の事態を引き起こしかねないのです。

そうした金融機関に対する姿勢を改めるためにも、まずはその仕組みを正しく理解する必要があります。

そのうえで、金融機関を「事業の成長を支えてくれる力強いパートナー」として捉え、信頼関係を築いていくことが重要になってきます。

 

金融機関の種類を知ろう

金融機関とひと言でいってもさまざまな形態に分かれています。金融機関は大きく3つに分類できます。

 

・普通銀行:都市銀行・地方銀行・ネット専業銀行などの〇〇銀行の名前のもの

・協同組織金融機関:〇〇信用金庫、〇〇信用組合、労働金庫、農業・漁業協同組合

・政府系金融機関:日本政策金融公庫、商工組合中央金庫

 

この中でまず関ることとなるのが、協同組織金融機関と政府系金融機関です。大半の開業者は日本政策金融公庫から融資を受けて開業に臨みます。そして、営業が軌道に乗り、多店舗経営に着手する段階で信用金庫や信用組合などから融資を受け始めるのが標準的な流れと言えるでしょう。

 

日本政策金融公庫について知ろう

日本政策金融公庫は、2008年10月に国民生活金融公庫や中小企業金融公庫などの政府系金融機関が統合され、株式会社化された金融機関です。

株式会社にはなりましたが、その株主は日本国なので政府系金融機関なのは変わりがありません。もともと国民生活金融公庫は民間の金融機関から融資を受けるのが難しい新規開業者や零細企業の資金援助を行っていました。日本政策金融公庫はその業務をそのまま引き継いでいるので、開業予定者にとって最も頼りになる金融機関なのです。

 

協同組織金融機関について知ろう

開業時に日本政策金融公庫で借入をし、2店舗目、3店舗目と多店舗経営に着手する際に頼りになるのが協同組織金融機関です。

日本政策金融公庫でも融資限度額はかなりあるため、多店舗展開時にも日本政策金融公庫のお世話になる企業もたくさんありますが、政府系金融機関のため民間金融機関と比較すると、融資制度や条件などが画一的で、手続きや返済期間等の変更などの融通が利きづらいのが難点です。

また、日本政策金融公庫は資金の貸出が主要な業務のため、貸出後の相談などのフォローが手薄です。それに比べて協同組織金融機関は地元密着で零細・中小事業者を顧客としていますので、地域性や業種の特性などを考慮した独自の融資制度を用意していたり、取引業者の紹介や各種の相談に乗ってくれるなどのきめ細やかなフォローが受けられます。

 

将来的な事業成長を見据え、開業時に最寄りの信用金庫・信用組合の支店に口座を開設し、売上現金の預入や業者・スタッフへの振込を行っておくことをお勧めします。

そうすることで口座の内容から信用金庫・信用組合サイドも店の財務状況を正確に把握できているため、開業から黒字を続けていれば融資の話も順調に進んでいくことが多くなります。

 

普通銀行について知ろう

開業後3年程度の期間が経ったら、お店の近くの普通銀行の支店で口座を開設し、売上現金の預入や業者・スタッフへの振込を信用金庫・信用組合からスイッチしておくといいかもしれません。

口座の動きを把握させたうえで5店舗目、6店舗目を目途に融資の申込が可能となってきます。協同組織金融機関の融資は信用保証協会(保証料を払うことで、連帯保証人と似た立場になってくれます)付きの融資が主流ですが、普通銀行では信用保証協会の保証なし(プロパーといいます)の融資が受けやすいのがメリットです。

また、お店の財務状況が良ければ破格の金利や返済条件での借入を受けることができるので、キャッシュフローが有利に働くことが期待できます。

 

今まで口座もない金融機関に飛び込んで「新店を作るので、融資を受けたい」というのは、結構無謀なお願いです。会社の拡大に合わせて計画的に売上現金の預入や業者・スタッフへの振込をスイッチし取引金融機関をステップアップしていきましょう。会社のステージと金融機関のステージを合わせることで、円滑な資金調達が可能となります。

 

読んでいただいた皆さんの資金調達が順調にいくことを祈念しています。

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